3・16 WBO世界フライ級タイトルマッチ
ボクシングファン待望の好カードが3月16日(土)に岐阜メモリアルセンターで愛ドームで行われる。3階級制覇した現WBO世界フライ級チャンピオン・田中恒成が、元統一ライトフライ級チャンピオンで現フライ級4位の田口良一を迎え撃つ12回戦。記者会見では両者合わせて計5本のチャンピオンベルトがズラリと並べられた実力者同士の一戦だ。
この試合をファンが待ちに待っていたのは理由がある。田口がWBA、田中がWBOのライトフライ級チャンピオンだった2017年、大晦日の対戦が内定したが、同年9月に田中が2度目の防衛戦で両目眼窩底骨折の重傷を負ったためキャンセルとなった。
その後、田口はIBFチャンピオン・メリンド(フィリピン)との統一戦を制したが、WBA王座8度目、IBF王座の初防衛戦でブドラー(南アフリカ)に敗れ、無冠となった。
一方、骨折の癒えた田中は1階級上げてWBOフライ級チャンピオンだった木村翔に判定勝ちして3階級制覇。減量苦だった田口もフライ級に上げたため、田中の初防衛戦で因縁の対決が2年越しで実現したのだ。
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田中は世界最速タイ12戦目で3階級制覇
チャンピオンの田中は中京高時代に高校4冠に輝き、2013年にプロデビュー。2015年5月に日本最速のプロ5戦目でWBOミニマム級王座に就いた。さらに翌2016年12月31日にWBOライトフライ級王座も獲得して、井上尚弥と並ぶ日本最速タイのプロ8戦目で2階級制覇。2018年9月にはWBOフライ級王座も制し、ロマチェンコ(ウクライナ)と並ぶ世界最速タイの12戦目で3階級制覇を達成した。
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これまで3階級制覇した日本人ボクサーは田中を含めて6人。防衛回数が少なく(ミニマム級で1度、ライトフライ級で2度)、選手層の薄い軽量級ということを割り引いても、12戦目での3階級制覇は驚異的だ。高校時代にアマチュアで51戦46勝5敗という豊富なキャリアがあり、基本技術やスタミナ面で下地ができていたことも大きいだろう。
まだ23歳という若さを考えれば、日本人では誰も達成していない4階級、5階級制覇という夢も広がる。
WBA・IBFライトフライ級王座を統一した田口
一方の田口も実績では引けを取らない。日本チャンピオン時代にデビュー4戦目だった井上尚弥の挑戦を受け、判定負けで王座陥落したが、再起して24戦目でWBAライトフライ級王座を獲得。着実に防衛を重ね、7度目の防衛戦ではメリンドに判定勝ちし、WBA・IBF統一ライトフライ級チャンピオンとなった。
世界のボクシングを統括する主要4団体(WBA、WBC、IBF、WBO)はそれぞれチャンピオンを認定しているため、同階級でも4人のチャンピオンが存在する。その階級で本当に世界で一番強いのは誰なのかを決めるべく行われるのが統一戦だ。
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日本人で最初に世界王座統一戦に挑んだのが渡辺二郎。WBAスーパーフライ級チャンピオンとして、WBC同級チャンピオンだったパヤオ・プーンタラット(タイ)に12回判定勝ちしたが、当時は15回戦制だったWBAがタイトルマッチとして認定せずWBA王座を剥奪。渡辺は事実上の統一を果たしながらWBAのベルトを失うことになった。
記録上に残る統一チャンピオンは3人しかいない。WBCミニマム級チャンピオンだった井岡一翔はWBA同級チャンピオンの八重樫東との死闘を制してベルトを統一。高山勝成はIBF・WBOミニマム級王座決定戦で大平剛に7回TKO勝ち、そして田口がメリンドとの統一戦を制した。
若さと勢いの田中が初防衛を果たすか、経験とテクニックの田口が2階級制覇を果たすか。井上尚弥や村田諒太に比べると知名度の低い両者だが、熱いファイトで存在をアピールしたいところだ。