ともにWBSS準決勝進出
もしかしたら“最短男対決”が実現するかも知れない。ボクシングのWBA世界バンタム級王者・井上尚弥が出場中のWBSS(ワールド・スーパー・ボクシング・シリーズ)は、1回戦全てが終わり来春に準決勝が行われる。
1回戦を日本選手の世界戦史上最短となる70秒でKO勝ちした井上は、準決勝でIBF王者エマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)と対戦することが決まっている。10月20日に行われた1回戦、ロドリゲスは2-1判定でモロニ-を下し19連勝(12KO)と無敗記録を伸ばした。
トーナメントで行われるWBSS。準決勝のもう1試合はアロイヤン(ロシア)を3-0判定で下したWBO王者ゾラニ・テテ(南アフリカ)と、WBAバンタム級スーパー王者ライアン・バーネットを破った5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)が対戦する。
いずれもハイレベルな選手ばかりなので予想するのは困難だが、もし井上とテテが勝ち上がれば、決勝は最短ノックアウト記録を持つ者同士の激突となる。
井上が70秒ならテテは11秒
井上は日本選手が出場した世界戦最短の70秒KOで評価を高めたが、テテは全世界戦の最短KO記録を持っている。
2017年11月18日、イギリスで行われたWBO世界バンタム級戦で、同じ南アフリカ出身のシボニソ・ゴニャを開始早々、右フック一発でノックアウト。KOタイムはなんと1ラウンド11秒で、それまでの最短記録だった17秒を6秒も更新した。
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テテはバンタム級にしては長身の175cmでリーチは183cmもあるサウスポー。27勝(21KO)3敗の戦績が示す通り、体格を生かした左右のパンチは身長165cmの井上にとっても脅威だ。最短記録はともかく、両者が戦えばノックアウトは必至だろう。
日本では内藤大助が記録保持者
他の最短KO記録を見てみると、日本選手が出場した世界戦では内藤大助がポンサクレックに挑戦した2002年のWBCフライ級戦の34秒KO負けがワースト。内藤は初回から仕掛けたが、逆に王者の左を顎にもらい、屈辱的な敗戦となった。
しかし、内藤は日本タイトル戦での最短KO勝利記録を持っている。日本フライ級王者として臨んだ2004年10月の小嶋武幸戦。従来の記録を21秒も短縮する24秒で試合を終わらせ、初防衛に成功した。キャリアを積んだ3年後の2007年7月、内藤はポンサクレックに雪辱して世界フライ級王座を獲得。さらに初防衛戦で亀田大毅を下し、人気王者となった。
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また、タイトル戦以外も含め全ての試合での世界最短ノックアウトは、1994年にコロンビアで行われたフェザー級10回戦で、エベル・ベレーニョがギジェルモ・サルセドをたった5秒で仕留めた試合だ。日本では、2005年のスーパーウェルター級4回戦で記録された8秒が最短となっている。