まず「プロとしての素質」があるかが問われる
プロテストを受けるためには、まずプロのキックボクサーとして試合をこなせる素質がなければなりません。その判断は所属するジムのスタッフなどによって行われますが、多くの団体やジムでは、「プレ・プロテスト」ともいうべき昇級試験を設けています。レベル別のスパーリングを段階的にこなし、合格しない限りはプロテストを受けられないわけです。
もっとも、競争の激しいボクシングに比べれば、キックボクシングのプロテストの受験資格は(普段の練習を怠らなければ)比較的容易に得られると考えてよいでしょう。
プロテストは短期決戦で乗り越えろ!
プロテストの内容は団体によって異なりますが、通常は筆記試験と実技試験(スパーリング)を同日に行います。年間のプロテスト実施回数は団体によって異なりますが、2ヶ月に一度程度が多いようです。
キックボクシングのプロテストは、ボクシングと違って年齢制限がないのが通例です。そのため、正社員として働きながら終業後ジムに通い、プロテストを受験するという人が多いのが特徴です。
しかし、キックボクシングはボクシングと違って脚の動きを多用する格闘技なので、加齢からくる足腰の衰えがダイレクトに戦績に影響します。そのため、プロテスト合格を目指すなら、できるだけ早期に対策をして、短期決戦で決めることが重要です。
筆記試験は公式ルールから出題される
プロテストには筆記試験も出題されます。内容は団体によって異なりますが、多くの場合、各団体の公式ルールやキックボクシングの最低限の知識(反則技など)を問われることが多いようです。
テキストは団体のルールブックを渡されて参考書とすることが多いようですが、実際に問われる内容は非常に簡単で、「分厚いルールブックを一生懸命暗記したのがまったく無駄だった!」という体験談も散見されます。
試験内容は当然非公開のため、過去問集のようなものはありません。
実技試験のスパーリングでは技術をチェックされる
筆記試験の後は実技試験として受験者同士によるスパーリングが行われます。スパーリングの目的はプロと宣言できるだけの技術、能力の有無をチェックすることにあります。したがって、相手をKOすることは合格の条件ではありません。
キックボクシングは特にキックの技術が重要なので、審査員も受験者のキックの技術を重点的にチェックします。キックの技術といっても、攻撃だけでなくディフェンスも含まれることは当然です。たとえば、ミドルキックを打つ場合なら、キックを放つと同時に両腕を使ってガードすることも必要となります。また、攻撃を受ける側も、ブロックやスウェーなどディフェンスの基本技術をしっかり見せることが必要です。
もしスパーリングの限られた時間だけで十分に技術を見せられなかった場合は、再度のスパーリングが課せられることもあるようです。
番外編~テストを受けずにプロとなる道
プロテストはすべての団体で実施されているわけではありません。プロとは、要するに「この競技でお金を稼げる実力がある」という意味です。したがって、所属する団体でプロライセンスを必要とせず、かつプロに匹敵する実力を持つアマチュアの場合、「俺は今日からプロになる!」とプロ宣言をすればプロのキックボクサーとして活動できるわけです。
もっとも、実際にはそのようなケースは稀です。ノーテストでプロになれるのは、有名なアマチュアの大会で何度も優勝を重ねた選手など、ごく限られた実力者だけの特権といえるでしょう。
まとめ
キックボクシングのプロテストについて基本情報をご紹介しました。
プロの格闘家として生計を立てるのは至難の業。プロデビューしてからもアルバイトをしながらチャンピオンになる夢を目指して必死に努力する選手が大半です。
キックボクシングを心から愛するのであれば、一度はプロテストにチャレンジしてみてはいかがでしょうか!