基本ルール1~試合形式
キックボクシングの試合形式は、団体やルールによってさまざまです。日本で行われるオーソドックスな試合では、1ラウンド3分、休憩1分の組み合わせで進行します。新人選手(ノーランカー)の試合は、スタミナの問題もあってかトータル3ラウンド、ランカーの試合になると5ラウンドで行われるのが通常です。
ただし、一部の団体では、新人選手の試合などで1ラウンドの延長戦を設定する場合もあります。これは、新人選手は技のレベルが低く、なかなか決着がつかないことも多いため、延長戦を設けることで積極的な試合をするよう促すという意味があります。
基本ルール2~採点方法
キックボクシングの源流であるムエタイでは、圧倒的にキック重視の試合となります。これは、パンチよりもキックの方が高い得点を与えられるルールになっているからです。もちろん、ムエタイでも相手をKOできるならパンチ主体でも構わないのですが、KOできない場合はほとんどポイントを稼げないわけです。
それに対して、キックボクシングではパンチもキックと同様のポイントを与えられます。キックボクシングの発展系ともいえるK-1グランプリでは、よくボクシング出身の選手がリングにあがりますが、彼らはあまりキックが得意ではないので、ほとんどの攻撃をパンチのバリエーションで構成します。
仮にキックをまったく使わずパンチだけで試合を終えても、獲得したポイントが多ければ勝てるので問題ないわけです。
基本ルール3~有効技
KOやポイントを奪うためには、攻撃がルールにのっとった有効技でなければなりません。キックボクシングの試合で頭突きをして相手をKOしても、有効技ではないので無効となるわけです。
キックボクシングの有効技は団体によって微妙に違いがありますが、概ね共通しているのは、「グローブを着用した状態での両腕、両脚を用いたパンチ、キックであれば有効となる」という点です。
すなわち、腕を使った攻撃(ストレート、フック、アッパー、バックブロー、ヒジ打ちなど)と、脚を使った攻撃(ミドルキック、ハイキック、ローキック、前蹴り、飛び蹴り、ヒザ蹴りなど)でポイントを稼いだり、KOしたりすることになります。
基本ルール4~反則技
キックボクシングの反則技の多くはボクシングと共通しています。バッティング(頭部への攻撃)、サミング(目への攻撃)、ラビットパンチ(後頭部への攻撃)、キドニーブロー(背中への攻撃)、ローブロー(金的)、オープンブロー(グローブの内側で打つ攻撃)、レフェリーのブレイク後やラウンド終了のゴング後の攻撃などです。
団体によっては「ラウンド中に認められる蹴り技の回数」を定め、それを超える攻撃を反則とするケースもあります。また、オーソドックスなキックボクシングでは反則となるはずの関節技や投げ技を認めている団体もあります。これは、試合展開が単調にならないようルールを変化させているものと考えられます。
「首相撲」「ヒジ」「ヒザ」を禁止するルールもある
ムエタイでは、ヒジやヒザを使った攻撃はきわめてポピュラーです。特に、相手の首や後頭部をがっちり押さえこむ首相撲から、みぞおちなどに膝蹴りを入れる攻撃は、相手をダウンさせるフィニッシュ技として多用されます。
実はこの首相撲、K-1やRISEといった日本のメジャーなキックボクシング団体では禁止されています。「首相撲を認めると、疲れた選手が休息するために多用し、試合展開が消極的になるから」だといわれています。
また、ヒジとヒザは、放つ選手の体格次第では、相手に深刻なダメージを与える危険もあります。そのため、体格の良い選手の多いヨーロッパでは、ヒジ打ちと顔面へのヒザ攻撃は禁止されるのが一般的です。
これは「ヨーロッパルール」と呼ばれ、日本のキックボクシングの試合でも時々採用されることがあります。選手生命を守るという意味では必要な措置かもしれませんが、ヒジ・ヒザはキックボクシングの醍醐味でもあるので、賛否両論分かれるところでしょう。
まとめ
キックボクシングの基本ルールをご紹介しました。
特に、ムエタイとの違いである「首相撲」、ヨーロッパルールとの違いである「ヒジ・ヒザ」は、日本のキックボクシングを観戦するときに知っておくとよい知識です。
各団体のHPではそれぞれのルールを紹介しているので、試合観戦の前にぜひチェックしてみてください。