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拳からほとばしる熱さ!日本が誇るおすすめのボクシング漫画

2017 5/8 19:55SOL
ボクシング
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Photo by Sergey Nivens/Shutterstock.com

最近5年間で12人の世界チャンピオンを生み出し、これまでにない好調ぶりを見せている日本のボクシング界。本稿では、チャンピオンたちも夢中になっていたかもしれない、日本が誇るボクシングをテーマにしたおすすめ漫画を紹介する。

昭和を代表するスポ根漫画の最高傑作「あしたのジョー」

まず忘れてならない名作といえば、やはり「あしたのジョー」だろう。梶原一騎原作、ちばてつやが作画を務めた、昭和を代表するスポ根漫画のひとつだ。週刊少年マガジンで1967年から7年にわたって連載された。
主人公は天性のボクシングセンスを持つ少年・矢吹丈。丹下段平という名伯楽との出会いをきっかけに、街中の不良少年からボクシング界にデビュー。さまざまな困難にぶつかり、葛藤を繰り返しながらも世界チャンピオンへと駆け上がっていくサクセスストーリーを描いた名作だ。

「あしたのジョー」が生みだしたさまざまな記録

原作だけでなく、1970?71年にかけて放映されたテレビアニメも記録づくめだった。全79話中の最高視聴率は29.2%、平均視聴率20%前後という、まさに国民が熱狂したアニメだったのだ。
ちなみに、矢吹丈の声を務めたのは、俳優のあおい輝彦さん。プロの声優ではなく若手俳優が声の仕事をするのは当時では稀なことだった。しかしこれがあまりにもはまり役だったため、以降のリメイク作品でもあおいさんが起用されることになった。
そして最も有名なエピソードが、矢吹丈の永遠のライバルである力石徹の作中での死についての話だ。対戦に向けた激しすぎる減量が原因で、激闘の後に死亡するというストーリー展開に日本中が涙し、悲しみに暮れた。劇作家・寺山修司さんの呼びかけで力石を追悼するための葬儀が開催。多くの読者が詰めかけたという逸話もある。

連載27年目を迎える超ロングラン作品「はじめの一歩」

1989年の連載開始から、時の若者たちを虜にし続ける超ロングラン作品が「はじめの一歩」だ。作者は森川ジョージさん。週刊少年マガジンで連載されている本作は2012年には連載1000回の大台を突破。2017年4月現在で1180話まで到達しているほか、単行本も既刊117巻と、化け物級。昨年連載が終了した「こち亀」に続くロングラン作品となっている。
主人公の幕之内一歩が世界王座を獲るまでのストーリーを描いているが、連載27年目で25戦を終えて23勝2敗、ようやく世界王座前哨戦を終えたところ。デビュー当時は18歳だった一歩も現在24歳。作中で描かれた試合数は155を数えており、まだまだストーリー展開は終わりが見えず、読者をひきつける要因にもなっているようだ。

あらゆるボクサーの要素が重なって形成された幕之内一歩

実在のプロボクサーにヒントを得たキャラクターが多数存在する「はじめの一歩」。まず主人公である幕之内一歩、そのプレースタイルはマイク・タイソンとも昭和の名ボクサー・浜田剛史とも評されている。
また、一歩オリジナルのラッシュは「デンプシー・ロール」と呼ばれるが、これはアメリカで1920年代に活躍し「拳聖」の異名をとったジャック・デンプシーから由来。なお、デンプシー・ロール開発の際にはマイク・タイソンの試合のビデオから研究している一幕もあり、ボクシング史に残るハードパンチャーの影響も受けていると考えられる。

そのほかにも実在のプロボクサーをモデルにしたキャラがいっぱい

作中に登場する他のボクサーも実在したボクサーに由来している。作中最強のボクサーであるリカルド・マルチネスは、2002年に引退するまで無敗のキャリアを誇ったリカルド・ロペスがモデル。
また主人公である一歩の友人でもあり、ライバルとして2度にわたり拳を交えたヴォルク・ザンギエフのモデルは勇利アルバチャコフだ。ソビエト代表としてモスクワ五輪で金メダルを獲得、WBCフライ級王座を9度防衛したファイターで、旧ソビエトにルーツを持ちながら日本で戦い続けるヴォルク。
リング上では「野生」を前面に押し出した強さを発揮するものの、リング外では心優しい青年として描かれ、似た性格を持つ一歩の理解者とも呼べるキーパーソンだった。

まとめ

本稿ではボクシング漫画の金字塔とも呼べる2作品を紹介した。漫画をきっかけにその道を志したアスリートが多数いるという事実を踏まえると、こういった漫画のスポーツ界への貢献度は果てしなく高いものだということがわかる。次の世界チャンピオンがまだ見ぬ読者の中から生まれるかもしれない。以上、おすすめのボクシング漫画紹介だった。