ボクシングの聖地ラスベガスがある「アメリカ」
「アメリカ」は、ボクシングの聖地と言われるネバダ州ラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナがある。そこで行われる試合は1試合で10億円以上稼ぐプロボクサーもいるため、プロボクシング選手はみんな、ビックマネーを求めてラスベガスを目指すと言われるほどだ。
そこを目指すアメリカのボクサーは強い選手が多く、特に人気のある重量級では多くの世界王者を輩出している。世界ヘビー級王者のモハメド・アリ、マイク・タイソン、イベンダー・ホリフィールドのほかに、中量級では黄金のミドルを盛り上げたとされるシュガーレイ・レナード、史上初の6階級制覇に成功したオスカー・デ・ラ・ホーヤ、史上初の無敗で5階級制覇を達成したフロイド・メイウェザー・ジュニアなど、そうそうたる選手達がいる。
ロシア、ウクライナ、カザフスタンの「旧ソ連」の国々
ロシア出身のボクサーには、現WBA・IBF・WBO世界ライトヘビー級スーパー王者のセルゲイ・コバレフがいる。ウクライナ出身のボクサーには、元WBA・IBF・WBO世界ヘビー級スーパー王者ウラジミール・クリチコ、WBO世界フェザー級、WBO世界スーパーフェザー級の世界最速の2階級制覇王者ワシル・ロマチェンコがいる。
カザフスタン出身のボクサーには、元WBA世界ライトヘビー級スーパー王者、WBA世界クルーザー級王者のベイブット・シュメノフと、現WBA世界ミドル級スーパー王者、WBC世界ミドル級王者、IBF世界ミドル級王者のゲンナジー・ゴロフキンがいる。
旧ソ連の国々には数々のボクシングの世界王者がいるが、強い選手を多く輩出している理由として、広い国土があることと、冷戦時代からアマチュアボクシングに力を注いで来た選手、指導者の育成力が実った成果だと言える。
軽量級の強豪選手といえば「メキシコ」
メキシコは、軽量級の強豪選手を輩出している国だ。5階級制覇を果たしたホルヘ・アルセ、4階級制覇を果たしたエリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケス、3階級制覇を果たしたフリオ・セサール・チャベスなど、軽量級の突出した選手が非常に多い国だ。
メキシコ人はアメリカ人に比べると比較的小柄な体格の人が多いだが、メキシコは標高が高く、空気が薄い環境の中でハードな練習をしていることから、他の国の選手と比べてスタミナがある選手が多いという特徴を持っている。また、経済的な格差もあることから、ハングリーな選手が多いことも理由のひとつだと言えるだろう。
パッキャオ、ドネアを輩出した国「フィリピン」
フィリピンのボクシングの強豪選手には、史上2人目の6階級制覇王者であるマニー・パッキャオと世界5階級制覇王者であるノニト・ドネアがいる。
パッキャオは、フィリピンでは英雄と評されている中量級の王者で、ボクサー以外に政治家としても活躍している。ドネアは、軽量級屈指のスターで、得意としている右フックで数々の強豪を倒してきた。
フィリピンのボクサーは、パワー系のイメージがある。ウエイトトレーニングを取り入れたり、ガードに拘ったりというところを研究して取り組んできた結果が出ているのではないかと思われる。
民放のテレビ中継でも見られる「日本」
今まで挙げた国々以外にも強豪選手を輩出している国は他にもたくさんあるが、敢えて日本に注目させていただいた。
日本は、世界的には体格が小さい方でもあり、軽量級の選手がほとんどだが、現在の日本人の軽量級の世界王者は7人。
WBC世界バンタム級王者 山中慎介(帝拳ジム)
WBC世界スーパーバンタム級王者 長谷川穂積(真正ジム)
WBO世界スーパーフライ級王者 井上尚弥(大橋ジム)
WBA世界ライトフライ級王者 田口良一(ワタナベジム)
WBO世界ミニマム級王者 高山勝成(仲里ジム)
WBA世界フライ級王者 井岡一翔(井岡ジム)
IBF世界ライトフライ級王者 八重樫東(大橋ジム)
軽量級の強豪国と言っても過言ではない。背景には日本が経済的に有利な面もあるとは思うが、近年の日本人ボクサーは技術力が高いだけでなく、パワーも兼ね備えている選手も多く見られるところが理由のひとつと言える。軽量級は世界王者以外の選手にも強豪選手が多く、今後が楽しみだ。
まとめ
ボクシングが強い国は、その理由として、強くなりたい目的(高額なファイトマネー、世界王者になること)があったり、国ごとに強化している内容、特徴が違ったりと、ボクシングを研究して努力を積み重ねているという背景があることがわかった。
日本で放送される試合は日本人選手中心になるが、相手選手がどの国の選手かぜひチェックしてみてほしい。普段とはまた違った視点でボクシングを楽しめると思う。