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三浦隆司がボクシング界に残した功績

2016 10/24 19:31
三浦隆司Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

豪快なパンチでKOを量産した"ボンバーレフト"三浦隆司選手の生い立ちや戦績、業界に与えた影響を紹介する。

”ボンバーレフト”三浦隆司とは?

三浦隆司は強烈な左ストレートを繰り出す、荒々しいスタイルのファイターで、そのパンチの威力から「ボンバーレフト」と呼ばれた。

WBC世界スーパーフェザー級チャンピオンとして4度の防衛に成功し、戦績は37戦31勝(24KO)4敗2分。世界王座を獲得した試合を含めて世界戦でメキシコ人選手に4連勝したことから「メキシカン・アサシン(暗殺者)」との異名もある。

三浦隆司の生い立ち

1984年、秋田県出身。元日本フェザー級王者だった叔父の三政直の影響からか、小学生の頃からボクシングに興味を持ち、中学3年生で秋田市内のボクシングジムに通い始めた。

身体能力が高く、金足農業高校時代の2002年によさこい高知国体で優勝している。2003年にプロテストでB級に合格するまでのアマチュア戦績は40戦34勝(22KO・RSC)6敗。パンチ力のある左ファイターとして話題になった。

寡黙なファイターが生み出す豪快なノックアウト

2003年7月、横浜光ボクシングジムからプロデビュー。1引き分けを挟んで12連勝をマークし、2007年に日本スーパーフェザー級王者・小堀祐介に挑んだが、10回判定負けを喫した。2009年1月には矢代義光に挑戦して引き分けたが、同年7月の再戦でTKO勝ちし、日本スーパーフェザー級王座を獲得した。

4度の防衛を経て、2011年にWBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志に挑戦するも8回TKOで敗れ、帝拳ジムに移籍する。再起後4連勝をマークして、2013年4月にWBC世界スーパーフェザー級王座に挑戦。王者ガマリエル・ディアスにKO勝ちして王座を獲得し、4度の防衛に成功した。4度のうち3度はKO勝ちだった。

2015年11月、ラスベガスでフランシスコ・バルガスに9回TKOで敗れ王座陥落。2017年7月、バルガスからタイトルを奪ったミゲール・ベルチェルトに挑戦したが判定負けし、この試合を最後に引退した。

世界に通用するパワーを証明

三浦を語るときに外せないのは「強烈な左」だ。パワーにものを言わせた好戦的なスタイルで、劣勢でも一発当たれば…と期待できるパンチ力。また、攻撃を受けても下がらずに向かっていく根性と打たれ強さも魅力の一つだろう。

バルガスとの一戦はボクシングの聖地・ラスベガスのマンダレイ・ベイ・ホテル&カジノ・イベンツセンターで行われた。激しい打ち合いとダウンの応酬が続く展開に、本場の目の肥えたファンも熱狂し、2015年の年間最高試合に選出。日本人がラスベガスで戦い、年間最高試合に選ばれるのは異例で、三浦のファイトスタイルは世界に通用するエンターテイメントとしての一面を証明したと言える。

ボクシングファンでなくても興奮させるような熱いファイトを重ねた三浦。まさに記録より記憶に残るファイターだった。