秋田と北海道は地区格差の影響を受ける成績に
B1の残留争いにおいて、前編では中地区の争いの模様をお伝えしたが、この後編では他地区の候補となっているクラブを挙げたい。
まずはハイレベルな戦いが今季も繰り広げられている東地区。開幕時は昨季の地区王者・千葉ジェッツが下位に沈んでいたが徐々に調子を上げ、気付けば上位に。その他宇都宮ブレックス、アルバルク東京、サンロッカーズ渋谷と4クラブが7割近い勝率を誇っている。
となると、この4クラブとの対戦が多い他の2クラブにとっては、厳しい戦いとなる。今季補強に成功した秋田ノーザンハピネッツは当初5割以上の勝率をキープしていたものの、同地区上位との対戦が増えた12月以降黒星が先行。ただ何とか残留争い中位をキープしており、今季もB1に踏みとどまれそうだ。ちなみに東地区との対戦成績は5勝8敗で、他地区との成績は10勝11敗とともに負け越している。
一方、レバンガ北海道はなかなか光が見えてこない。秋田と同じく、#0橋本竜馬ら積極的な補強で12勝を挙げているが、ボーダーラインの勝率が上がっているため現在の状態では微妙な状況である。
昨季崩壊したディフェンスは改善傾向にあり、今季は接戦が多く35試合のうち10点差以内の試合は9勝10敗と決して成績は悪くない。ただ東地区のクラブとの対戦は3勝12敗と、地区格差を証明する結果に。今後は他地区との対戦が多くなるだけに、ここで勝利数を稼ぎたいところだ。
アップダウンが激しい西地区、滋賀は今季も残留成功か?
残留争いにめっぽう強いクラブとして挙げられるのが、滋賀レイクスターズである。毎年、驚異の追い上げで降格を回避している。
Bリーグ初年度は11連敗を喫するなど、前半戦は6勝24敗で最下位だった。しかし並里成(現琉球ゴールデンキングス)が加入してから調子を上げ、最終的に21勝39敗で降格を回避。最後の10試合で9勝1敗と神がかり的な追い上げを見せた。翌年も中盤に12連敗を記録しながら、最後の20試合で12勝8敗と勝ち越して残留。昨季も過去3年で最も勝率は低かったが、終盤で勝ち星を増やした。
毎年終盤に底力を見せている滋賀だが、シーズン途中の選手の入れ替えが成功しているケースが多い。シーズン中に選手を替えることにはリスクが生じるが、滋賀の場合、並里や#12ヘンリー・ウォーカーといった個人能力に長けた選手を獲得する傾向があり、彼らの活躍によってここまでは毎年成績が好転している。
そして今季は10月こそ2勝8敗と苦しんだが、その後は安定した戦いぶりを見せ中位をキープしている。#2齋藤拓実や#11佐藤卓磨の成長に加え、3Pシュートを多投するスタイルがハマり、平均成功数はリーグ3位タイの9.2本(昨季から2.0本プラス)、平均得点も75.5とアップしており、オフェンスが好調だ。その結果、Bリーグ開始以降初めて得点が失点を上回っており、安定感のあるバスケットを展開している。
不振にあえぐ京都と名古屋D、島根はまたもB1の壁にぶち当たる
京都ハンナリーズは18勝17敗。今季は外国籍選手#32ジュリアン・マブンガ、#50デイヴィッド・サイモンが残留、#43永吉佑也もフルシーズン戦えることで開幕から6連勝を記録。その後、復活したシューター#16松井啓十郎は好調をキープしているものの、やはりマブンガ、サイモンの負担を軽減できずにいる。原因は得点力不足にあり、6連勝時は88.7あったチームの平均得点も今では75.7にまで落ち込んでいる。ただスラッシャータイプの#0寺嶋良が加入後は、9勝1敗かつ得点も79.7と好成績。外国籍選手、松井、寺嶋を軸に安定感のあるバスケットを展開したい。
昨季チャンピオンシップに出場した名古屋ダイヤモンドドルフィンズは、主軸の若手フォワード陣が軒並み不調。特に比較的出場時間が長い#9安藤周人、#12中東泰斗の不調が大きく、得点こそ挙げているがチームの武器である3Pシュートの成功率を大きく下げている。彼らの外角シュートの不調により、昨季見せた内外角バランスの良い攻撃が影を潜め、平均得点は73.2と8点ダウン。ケガ人も多く、主力の調子が戻らなければ厳しい状態は続きそうだ。
そして島根スサノオマジックは、鈴木裕紀ヘッドコーチのパワハラ問題に揺れた。チームとしては11勝しか挙げられなかった一昨年よりも状態は良く、ここまで10勝を挙げている。しかし数字的には厳しい内容が並んでおり、外国籍選手に頼らざるを得ない状態だ。日本人選手は今季もB1の壁にぶち当たっている。即戦力も#21納見悠仁のみと大きな戦力の変化はないため、10点差以内の試合を11敗している接戦の弱さを克服し、着実に勝利を積み上げていくしかない。