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富山・前田、滋賀・齋藤らクラブを引っ張る若手選手たち 不祥事からの復帰組も名誉挽回へ躍動【Bリーグ】

2020 1/20 17:00ヨシモトカズキ
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シュート力武器の富山・前田 新人王の最右翼に

新たなクラブへの移籍や自チームの選手の入れ替えでチャンスを得た若手が躍動した序盤戦。早くもBリーグは折り返しに差し掛かかったが、序盤から中盤にかけて活躍した若手には誰がいただろうか。

この話題で最もホットな選手は富山グラウジーズ#13前田悟だろう。前田は序盤こそベンチからの出場だったが、シュート力を武器にハイスコアを記録し10月末からスタメンに昇格した。平均得点11.7は日本人選手7位と、新人選手の中でトップの成績。3Pシュート成功率も40%と高水準だ。チームはケガ人続出で苦しんでいるものの、前田は一人気を吐いている。

そうなってくると気になるのは、マークに遭い成績が下降すること。しかし前田の月ごとの数字を算出すると、平均11〜12点を維持している。要因としてはシュート試投数の増加に加え、次第にフリースローを獲得する術を身に付け、12月以降はコンスタントに3本以上のフリースローを獲得している。77の試投数は川崎ブレイブサンダース#0藤井祐眞に次いで日本人で2番目に多い数字だ。

ドリブルからの得点も増え、平均得点は下がるどころか上昇する可能性を秘めている。順調にいけば、Bリーグ入りしてから急成長を遂げた名古屋ダイヤモンドドルフィンズ#9安藤周人のように、代表入りも期待できそうだ。

滋賀の大黒柱に成長した齋藤 次なるステップアップの準備中

毎年残留プレーオフ争いに入っていた滋賀レイクスターズが好調だ。負けが先行しているものの、勝率4割台を維持し12月以降は8勝5敗と、上位クラブからも勝利を挙げている。

そんなチームを引っ張るのは#2齋藤拓実だ。アルバルク東京から期限付きで移籍してきた齋藤は、元々アグレッシブなプレーが持ち味で高校大学では下級生の時から活躍してきた。

今季は全試合に先発出場し、滋賀の攻撃を司っている。チームが調子を上げた12月以降、齋藤自身も成績を向上させており、ここまでのシーズン平均11.7点5.1アシストに対して15.4点5.2アシストと活躍を見せている。個人の成績もさることながら齋藤と外国籍選手のピックアンドロールからの展開が得点につながることが多く、大黒柱と言っても過言ではない。

その上で、さらにガードとしての階段を登っていくために必要なのはミスを少なくすること。ボールを持つ機会が多いガードであるためターンオーバーの数が多くなることは致し方ないが、その数字は日本人ワースト3位の2.1。積極的なゲームメイクを最大限生かすためにも、自らの手で攻撃の回数を減らすことは避けたいところ。

171cmという身長のハンデはあるものの、しっかりとゲームメイクができるだけに順調に成長すれば前田同様代表入りも現実味を帯びてくる。

“不祥事”からの復帰組も各クラブで活躍

2018年夏にアジア競技大会で不祥事を起こし、無期限の出場停止という処分を受けた4人の若手選手たち。彼らは昨季終盤に復帰し、今季は2季ぶりにフルシーズンを戦うこととなり、名誉挽回へ奮闘している。

まずは新潟アルビレックスの日本人スコアリーダーとなっている#30今村佳太。特別指定選手でプレーした一昨季から能力の高さを見せていたが、今季は外角シュートを武器に2桁得点を記録。調子の波はあるが、27試合中14試合で2桁得点を挙げ、12月25日の試合では7本の3Pシュートを沈めている。

滋賀で齋藤と息の合ったプレーを見せているのは#11佐藤卓磨。197cmながらSGとSFをこなせる万能選手で、攻撃では小気味良く3Pシュート沈め、守りでは球際の強さが武器だ。特にディフェンス面では、外角の選手でありながら4.1本のリバウンドを奪い、数字に現れないようなルーズボールにも積極的に飛び込む。

今季好調の大阪エヴェッサを支えている#14橋本拓哉は、今季スタメン出場が1試合ながら9.4得点を挙げている。これはスタメン出場が10試合以下の選手で2番目の数字で、ベスト6thマン賞の候補にも挙げられている。

ドライブが得意の橋本だが、今季は3Pシュートが好調で平均1.5本の成功数を記録。成功率も42.2%と高く、攻撃の起点に。またディフェンスでも身体能力を生かし、活躍を続けている。

一度は過ちを犯した3選手だが、元々日本代表に選ばれるほどポテンシャルは高い。そして今季は各クラブを引っ張る選手となり、コート上で心身ともに成長した姿を見せている。