バスケットボール関連の営業収入が300億円の大台を突破
Bリーグが2018-19シーズンのクラブ決算概要を発表。(A東京・SR渋谷・川崎・新潟・三遠・三河・名古屋D・大阪・山形・FE名古屋は決算月が異なるため、シーズン直前の決算を反映)
クラブ全体の営業収入は221億円で、Bリーグ本体やJBAも含めると308億円と初めて300億円の大台を突破した。
Bリーグが始まる前の2015年に2020-21シーズンまでの目標として、リーグ戦入場者数300万人、バスケットボール関係の収益300億円、日本人1億円プレイヤー誕生を掲げていた。そのうち、バスケットボール関係の収益(308億円)と1億円プレイヤー誕生(千葉・富樫勇樹)を当初よりも2シーズン早く達成できた。
B1クラブ営業収入合計は166億円(平均9.2億円)。クラブ別では千葉が2シーズン連続1位で17.6億円となり、B1全体の10%を占めることになった。次いで三河、A東京、宇都宮、大阪と、千葉も含めた5クラブが営業収入12億円を達成。宇都宮と千葉は平均入場者数が4,000人超となり、営業収入と合わせて2026年B1クラブライセンス新基準を突破した。
営業収入の科目の一つである入場料収入では、宇都宮が千葉を抜いてトップに躍り出た。
「アリーナの満員感を出すために、毎年自前でブレックスアリーナ宇都宮の改修を重ねてきた成果」
大河正明チェアマンはそう評価する。
B2の営業収入合計は54億円(平均3.0億円)。クラブ別トップ5のうち、4クラブ(広島、島根、茨城、仙台)がオーナーチェンジをし、昨年度よりも収入を伸ばした。思い返せば、Bリーグ開幕前のB1参入条件として、営業収入合計が2.5億円を超える事を条件としていた。B2の営業収入平均が2018-19シーズンで、Bリーグ開幕前のB1基準を上回ったことになる。
ここまで見れば、Bリーグも順調にステップを踏んできたと感じるだろう。Bリーグも2019-20シーズンで4シーズン目を迎えた。過去の2リーグ(NBL、bjリーグ)分裂時点と比較する事とはもう別れを告げてもいいだろう。
債務超過クラブが7クラブ 福島と奈良が見通し立たず
Bリーグ全体の財務は順調に成果を上げているが、一方で厳しい状況を迎えているクラブもある。クラブライセンス交付に関連する2期連続赤字クラブと債務超過クラブが発表された。
2期連続赤字クラブは、富山(B1)と仙台(B2)、金沢(前シーズンB2・現B3)。こちらは2020年6月期時点で、当期(2019-20シーズン)純利益見込みがマイナスの場合、ライセンス交付不可の可能性があり、3期連続赤字にならないための政策を求められる。そして、債務超過クラブは福島、金沢、八王子(前シーズンB2・現B3)、奈良、香川、福岡の6クラブ。このうち、福島と奈良は「債務超過解決の見通しが立ってない」(大河チェアマン)そうだ。
※東京EXは昨シーズンB3所属で、現在B2所属だが債務超過
さらに純資産が少ないチーム(純資産額500万円以下)も公表され、6クラブ(新潟、富山、東京Z、西宮、島根、愛媛)の名前が挙がる。このうち、東京Zは資本政策終了と発表された(11月25日に東京冷蔵工業株式会社とトップパートナー契約締結発表)。
2018-19シーズンB1赤字クラブが過去最多の6クラブ その見通しは
Bリーグは、2018-19シーズンにおけるクラブ全体の営業収入合計を221億円と発表したが、営業利益と当期純利益はともに赤字に終わった(営業利益▲6.9億円、当期純利益▲6.3億円)。
そして、2018-19シーズンのB1赤字クラブとして6クラブ(A東京、SR渋谷、川崎、横浜、富山、福岡)が発表され、これまでの3シーズンで単年度B1赤字クラブ数は最多となった。SR渋谷、川崎、横浜、福岡は今回初めての赤字クラブ。Bリーグも4シーズンを迎えており、改めてBリーグトップに位置するB1の状況を整理しておきたい。
B1赤字クラブと発表された中で、川崎は2018年7月にクラブ運営を現会社(株式会社DeNA川崎ブレイブサンダース)へ承継しており、承継前3か月のクラブ運営にかかる収入・一部費用が含まれていない。実質9か月分の収入に対して、9か月分の支出に事業承継準備費用を加えたものになるため、実際には発表された3.6億円ほどの赤字にはならない見込み。
「アリーナ内のお客様満足度を高めているので、チケット収入と集客は増えていくだろう」
2019-20シーズンにおいてそうBリーグも見込んでいるため、問題は無さそうだ。
福岡は1.5億円の赤字を計上した。2019-20シーズンのライセンス判定時に、確定していた資金の入金を期限までにクリアできず、B2ライセンス交付に至った。そのため、今回はB2クラブとしてカウントする。
2シーズン連続でリーグ戦王者のA東京は、2016-17シーズンと2回目の赤字クラブとなった。B1トップチーム人件費も2シーズン連続でトップの7.6億円を計上し、昨シーズンの5.2億円から46%増。
「選手に投資をすることで、競技的な力をつけていくことも重要」
浜武恭生専務理事がこのように、チームが強くなるために投資も必要になる、と語る。2017-18シーズンは黒字で終え、純資産も約6,240万円を計上しているため、債務が僅少となることは考えにくい。
初めて赤字クラブとなったSR渋谷と横浜。浜武専務理事はSR渋谷について「強豪の東地区を勝ち抜くため、選手に投資した事が考えられる」と、それほど問題視していない。横浜については大河チェアマンが内情を語った。
「営業外費用で4,463万円の赤字を計上している。Bリーグが始まる前に抱えていた資産を償却した。他にも外国籍選手の入れ替えが多かったことも考えられる。膿は一気に出すというのがある意味鉄則なので、それをやっているという風に捉えて欲しい」
ただ「投資フェーズなので、単年度赤字だからという風な縛りをしていない。だからと言って、ずっと赤字を垂れ流しているのは良くない。財務上、ファイナンシャルフェアプレーの精神も重要」と付け加えた。
富山は、2017-18シーズンに続き赤字クラブとなった。「B1に関して大きな問題はない」と大河チェアマンはコメントしたが、純資産も約145万円とB1クラブでは一番少ない。純資産で考えると、新潟も約273万円でB1クラブでは富山に次いで少ない。新潟は2018-19シーズン当期純利益を約14.9万円とかろうじて黒字で終えたが、富山と置かれている状況はあまり変わらないと言っても良いだろう。
「これから投資をしていこうとすると、赤字がダメだと言っているわけではない。資本はしっかり積み上げてもらって、多少のことにも動じないだけの純資産にして欲しい」
大河チェアマンは要望する。
仮に単年度赤字でも、A東京やSR渋谷のように純資産を持っているクラブは、債務超過へすぐ陥ると考えにくいが、純資産が少ないのであれば、黒字体質を作っていかなければならない。富山と新潟は、入場者数では昨年度よりも伸ばしてリーグでもトップ10に位置し(新潟6位、富山9位)、他の項目もランクインしていることが発表された。
【入場者数】 新潟6位、富山9位
【営業収入における入場者収入の割合】 新潟1位、富山4位
【クラブ別選手1人あたりの入場者数】 富山4位、新潟7位
【1勝あたりのトップチーム人件費・勝敗効率】 新潟1位、富山4位
これらはコストパフォーマンスと捉えると良いが、これからの事を踏まえ、スポンサー収入でもう少し上積みしたいところだ。
「トップチーム人件費」が前年度から20%増 求められる財務強化体制
営業費用の項目としてカウントされている「トップチーム人件費(選手やベンチスタッフの人件費)」。2018-19シーズンはクラブ全体で約83億円を計上し、前年度から20%増。併せて、2019-20シーズンB1日本人選手平均年俸が1,610万円であることも発表された。これは2018-19シーズンより22.9%増で、2016-17シーズンから約2倍の数字となる。
日本人選手平均年俸が上がったことで、それに伴いトップチーム人件費も増加。富山や新潟など、勝敗効率を考えたチーム運営であれば、人件費による収入圧迫の影響を受けることも考えられる。
A東京やSR渋谷等、財務に影響があまり無いクラブでも、激戦の東地区を勝ち抜くために単年度赤字も想定の上で、トップチーム人件費を営業収入に対して高い割合で設定していた。強豪クラブを目指す上で、チーム強化は常に続けないといけない。トップチーム人件費は今後も増加傾向となるだろう。
ファンやブースターにとっては、応援するクラブが常に強豪であってほしいと願う。それに応えるよう、各クラブは強いチーム作りを目指すために、多くの人件費をかけて有能な選手を獲得する。しかし、結果を残しても財務が追いつかず、最悪のケースとして応援するクラブが消滅してしまえば本末転倒だ。
Bリーグは、2020年度B1クラブ営業収入の平均が10億円超(10.7億円)となる見込みと発表。ワールドカップやオリンピック出場による期待値、オーナーチェンジによるものだとした。次年度以降は、琉球が1万人規模の収容を誇る沖縄アリーナでホームゲームを行うために大幅な収入増が考えられる。そのようにステップを踏んでいるクラブもあれば、そうでないクラブもある。ファンやブースターの夢を壊さないためにも、どんなことに対しても動じない財務であってほしいと願うばかりだ。