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【Bリーグ第7節】京都・マブンガを止めた千葉・原 チームの勝利に貢献

千葉ジェッツの原修太と京都ハンナリーズのジュリアン・マブンガⒸマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

【GAME2】千葉・原が好ディフェンスを連発

GAME1で千葉は、京都に対して序盤から快調に得点を重ねながらも1点差で敗戦。ホームアリーナである船橋アリーナで連敗は避けたかった。そこでGAME2においてチームを救う活躍を見せたのが千葉#31原修太だった。1Qでの彼の活躍が試合を動かすこととなった。

1Q、千葉は京都#50デイビット・サイモンに先制を許し、追いかける展開から始まる。しばらく京都のリードで進んでおり、10-11と1点ビハインドとした残り4分23秒、千葉は流れを変えようとスタート5で出場していた#34小野龍猛から原に交代した。

原は京都の顔でもある#32ジュリアン・マブンガにディフェンスでマッチアップし、マブンガに思うようにさせないパフォーマンスを見せて、京都のスコアを止める。その間、千葉はセカンドチャンスから#21ギャビン・エドワーズが3p、#1ジョシュ・ダンカンが原の好ディフェンスをきっかけにダンクを叩き込む。京都に24秒オーバータイムとさせると、#3マイケル・パーカーがジャンパーを決めて逆転に成功。千葉・原のディフェンスがきっかけとなり、勢いを取り戻して、19-13で1Qを終了する。

2Qも京都に先制を許したものの、千葉はパーカーの速攻、#4コー・フリッピンの得点などで、リードを10点に広げる。そこから点差に変動がそれほどないまま進んでいたが、残り3分35秒、千葉は原がドライブから得点をすると、パーカーも連続で加点。最後は#2富樫勇樹が3pを沈めて39-25で前半を折り返す。

千葉ジェッツの原修太と京都ハンナリーズジュリアン・マブンガⒸマンティー・チダ

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後半3Q、千葉は開始早々で小野と#5田口成浩にファウルをコールされるが影響なく、エドワーズのダンク、富樫の速攻からレイアップなどで45-29とする。しかし、直後のディフェンスで小野と富樫もファウルがコールされ、千葉は残り7分17秒で早くもチームファウルが4つとなり、さらに残り5分21秒、千葉・ダンカンがチームファウル5つ目となる個人ファウルを受ける。千葉はこのQでファウルトラブルに苦しむものの、ファウル5つ目の直後に富樫が連続3pを沈めてリードを保った。

4Qに入り、コートに戻っていた#15藤永佳昭が3pを沈めると、フリッピンもバックショットで得点。オフィシャルタイムアウト前には、藤永のスティールからパーカーがシュートを決めてリードを広げていく。京都はマブンガ、サイモンをコートに下げて、#10鶴田美勇士や#15玉木祥護といった若手の投入を試みるも、ダンカンの得点などで京都に隙を与えず、88-61で千葉が京都を下し、このカード1勝1敗とした。

「考えないでやれている時こそ良いプレーができている証」千葉・原修太

千葉は、この試合何としても勝たないといけなかった。GAME1では序盤からランで14-0と突き放すものの逆転負けを喫するという後味の悪い負け方をしていた。GAME1が終了した段階で5勝6敗。この試合だからこそ勝ちが必要だった。

そんな中、GAME2は“原修太(守備)VS.マブンガ(攻撃)”というマッチアップが、試合を大きく動かした。

「自分は(マブンガを)抑える事が仕事」

1Qの残り4分23秒、そんな想いでコートに入っていった原。マブンガがボールを持つと、原はすぐにマッチアップを開始し、抜かれまいと必死に体を当てていく。マブンガにマッチアップする選手に対し、大野篤史HCは「左に行かせろ」と指示を送っていた。

大野HCは「GAME1で、マブンガのアウトサイドからドライブによる得点が、(マッチアップする選手に対して)右から行くと6回中5回決めていたのに対し、左から行くと7回中1回しか決めていなかった。数字に穴があると彼らに説明し、それを彼らがやるかやらないかだけだった」と話す。

「昨日(GAME1)マブンガについたのが4Qで、(マブンガに)左へ行かせることを意識しすぎた」

原はGAME1の時点で、そのデータを意識してディフェンスに取り組んでいた。だからこそ「GAME1でエクスキューションしようとしていたので、早めにコートへ入れて、長い時間プレーさせました」と大野HCは語る。GAME2において原をコートへ早めに入れたのはそういう理由であった。

「昨日(GAME1)負けてはいけない試合で負けてしまったので、今日は試合に出てディフェンスをハードにやろうと決めていました。自分のところでハードにディフェンスができればチームの起爆剤になれる。ディフェンスで今節は頑張ろうと思っていた」

原はGAME2はこのように臨んでいた。マッチアップしたマブンガは「ディフェンスの良い選手」と原のプレーぶりを認めていた。

千葉ジェッツ 原修太Ⓒマンティー・チダ

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京都のオフェンス時には、原がマブンガにマッチアップをし、マブンガにトラベリングをさせると、次のディフェンスではマブンガのシュートを好ディフェンスで阻む。さらに次のディフェンスでもマブンガをシャットアウト。これでイライラしたマブンガがこの試合2度目のトラベリングをし、千葉が攻撃権を奪うと、#43永吉佑也と交代でベンチに下がった。京都はこの間、得点がストップし、千葉はエドワーズ、ダンカン、パーカーがスコアメークして逆転に成功したのだ。

この場面について原に聞くと、至って冷静な答えが返ってきた。

「マブンガにターンオーバーさせるということまで考えずにやっていました。他の試合でもそうですが、考えないでやれている時こそ、自分の中で良いプレーができている証だと思います。試合を見直して『あー良かったな』と思いますし、駄目な部分も反省しますけど、試合中はあまり感情を出すタイプではないので、そこまで変わらずという感じです」

同じ時間帯にコートへ立っていた富樫も「かなりマブンガが嫌がっていた」と分析していた。チームメートに強烈な印象を残すほど、原のディフェンスが勝利を掴むきっかけになったことは間違いない。

GAME2は得点でも5選手が2桁得点をマーク。原と同じくディフェンスを得意とする藤永もボールに喰らいつき、同様にディフェンスで活躍を見せて、攻守ともに良い形で試合を終えた。ここまで流れに乗り切れなかった千葉だったが、この日のような勝ち方ができると、この先の展望も明るい。

チームはこの日の勝利で6勝6敗。大野HCは「昨日と今日、プランを変えていない中で、ゲーム展開が違うということに彼らは気づかないといけない。1勝1敗で良かったとすると同じことの繰り返しなので」と気持ちの引き締めを忘れてはいなかった。GAME2のように、原が外国籍選手とのマッチアップよりターンオーバーを誘発させて勝利を掴んだことが、千葉にとっては大きな事。事前に用意した戦術を、相手のマークにあいながらもしっかりやり切れるかが、これからのチームの成長のカギとなりそうだ。