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【Bリーグ第2節】横浜がアグレッシブなディフェンスで今季初勝利

2019 10/16 17:00マンティー・チダ
横浜ビー・コルセアーズの田渡凌選手Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

【第2節 GAME1】ホーム開幕戦で秋田に逆転勝利

ホーム開幕戦に秋田を迎えうった横浜。前半は31-37と秋田にリードを許した横浜だったが、後半開始早々、秋田の攻撃を凌ぐと、直後に#2橋本尚明が3pを沈めて3Qでの先制に成功。続けてバックショットを入れて追撃態勢を整える。

さらに#21田渡凌の3p、#42ジェイソン・ウォッシュバーンのジャンプショットで逆転。ディフェンスにおいても、得点した橋本がフロントコートから秋田・伊藤にボールを入れさせないように動くなど、アグレッシブにプレッシャーをかけていった。その後、秋田#43カディーム・コールビーに得点を許して再度勝ち越されるシーンもあったが、ウォッシュバーンが決めて横浜は1点のリードを守った。

しばらく点数の取り合いで拮抗した展開であったが、横浜は途中からコートに入っていた#16牧全が得点し、49-45とすると、秋田にショットクロックバイオレーションをコールさせて攻撃権を奪う。エンドラインからボールを運んだ#10アキ・チェンバースがそのままリングに持ち込みレイアップを入れてリードを広げることに成功。

終盤、秋田に点差を詰められたものの、田渡と橋本の得点で引き離し、横浜が秋田に57-52として3Qを終了。

横浜ビー・コルセアーズの橋本尚明選手Ⓒマンティー・チダ

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4Qは、立ち上がりから残り8分12秒までスコアが動かなかったが、#7レジナルド・ベクトンのポストアップをきっかけに、チェンバースの速攻からウォッシュバーンがファストブレイク、ベクトンがダンクを叩き込み、横浜はリードを2桁に乗せた。

最後まで横浜ペース。チェンバースのレイアップでチーム70点目に到達。結局、横浜が75-60で秋田を下し、ホーム開幕戦で今シーズン初勝利を飾った。

「ハーフタイムに『自分に負けるな』と声をかけた」ウィスマンHC

横浜は第1節で、昨シーズンの残留プレーオフを戦った北海道を相手に連敗。トーマス・ウィスマンHCも「プレッシャーに負けてしまって、色んなターンオーバーやミスがあった」と振り返るほど悔しい2連戦だった。

そして、横浜文化体育館で迎えたホーム開幕戦。

「秋田もそれを見て自分たちにプレッシャーをかけてきた。前半うまくいかなくてターンオーバーを9本してしまい、秋田のリズムになってしまった」

前半は秋田にリードを許す展開だったが、ウィスマンHCはハーフタイムでチームへ「自分に負けるな」と声をかけていた。

実はこの試合、1Q終盤に田渡と交代でコートに入っていたPG#46生原秀将が相手選手と接触して鼻骨骨折をしてベンチに下がらざるを得ない状況となっていた。同じPGである#11ハンター・コートがベンチ外だったため、司令塔のポジションは田渡一人のみとなってしまい、厳しい戦いを強いられていた。しかし後半出だしから勢いよく飛び出したのは横浜だった。

「後半ディフェンスも強度を上げてプレッシャーにも負けないように、こちらもアグレッシブに戦った。秋田を後半23点に抑えたので、チームとして素晴らしい結果だったと思います」

ウィスマンHCは後半の戦いぶりを評価した。特に4Qは秋田の得点をわずか8点に抑えていた。

「後半、田渡がステップアップしてくれて、橋本や竹田もしっかり経験を使って良いチームディフェンスができた。これまでもずっと言ってきましたが、それが出来たということで本当に素晴らしかった」

チームディフェンスを最後までやり切った結果、勝利を手繰り寄せていた。

横浜ビー・コルセアーズのウィスマンHCⒸマンティー・チダ

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「このチームはまだまだ伸び代が期待できる。ターンオーバーやフリースローのところもそうですが、どんどん練習して頑張れば、このチームはしっかり成長できる」

昨シーズンはチーム作りに苦労したが、今シーズンは大幅にメンバーを入れ替えてチームを作り直した。少しずつではあるが、ウィスマンHCが考える“ビーコルバスケ”も結果が伴ってきた。これまで代表やクラブチームで結果を残してきた名将が、昨シーズンまで残留争いをしてきた“ビーコル”をどこまで進化させられるだろうか。成長曲線をしっかり描ければ上位争いも見えてくるはずだ。

「僕たちはチームとして一つになって戦えたことで結果に繋がった」田渡凌

生原の負傷により、田渡は34分48秒コートに立っていた。

「秋田はこのリーグの中でもプレッシャーをかけながら、めちゃめちゃ走ってくるアグレッシブなチームで有名なので、それを警戒して試合に入りましたが、ガードの僕も含めて前半はそのプレッシャーに負けてしまっていました」

田渡は前半でわずか2得点だった。アシストでチームの得点に貢献していたとはいえ、それほど目立った活躍では無かった。だが後半に入るとアグレッシブに戦う姿勢を見せていく。

「後半は逆に僕たちがアグレッシブに攻めていこうとハーフタイムで話をして、それがしっかり遂行できたのではないかと」

さらに、生原の負傷で田渡の気持ちは熱くなり、懸命なプレーで勝利を掴み取ったのだ。

「生原とはこのチームを変えようとたくさん話をした。僕の相棒です。あいつの為にも頑張らなければいけないという気持ちでした」

田渡の気持ちに引っ張られるように、ベテランの竹田や橋本もバックコートからボールを運び、田渡をサポートしていた。

「アクシデントがある時というのは、その後にチームが一つになるのか、バラバラになるのかのどちらかだと思います。僕たちはチームとして一つになって戦えたことで結果に繋がった。今シーズンは特にそういう所を大事にして、トレーニングキャンプから練習をやってきました。こうして試合に勝つことができると、自分たちがやってきたことは正しかったということを再確認できるので、自信を持ってもっと成長できればと思いました」

横浜ビー・コルセアーズの田渡凌選手Ⓒマンティー・チダ

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田渡は今シーズンからキャプテンに就任している。田渡が中心となって、オフから生原らと話し合いながら信頼関係を築いてきた。多くの想いが詰まったこの1勝は、こうしたプロセスを踏まえて成し遂げたもの。田渡はキャプテンとして、チームと共にステップアップすることを一番大事にしていた。テレビ番組出演で話題になっているが、チームの役割と両立することが彼自身の新たなる挑戦となる。両立できた時に、どんなプレイヤーになっているのかというところにも注目だ。

2017-18シーズン以来の復帰となったジェイソン・ウォッシュバーン

昨シーズンの横浜は、外国籍選手が7名と多く登録されており、固定できないことも低迷の一因だった。これはチーム作りにおいても影響を及ぼしてしていた。しかし、今シーズンは固定選手であるウォッシュバーンが戻ってきた。2017-18シーズン以来の復帰である。

2016-17シーズンでは18試合連続2桁得点を挙げるなど、チームの要だった。2017-18シーズンもその役目を果たすはずだったが、2017年10月の練習中に左アキレス腱を負傷し無念の横浜退団となってしまった。ウォッシュバーンは、試合中何度も観客を盛り上げるなど、久しぶりのホームゲームを楽しんでいた。

「台風が近づいている中でも、ブースターさんが会場に足を運んでくれて、ホーム開幕戦をしっかり勝てたということはすごく大きい。この前の北海道戦も勝てた試合を逃してしまったので、すごく悔しい気持ちはありました。ビーコルブースターはこれまでと変わらず素晴らしいブースターです。毎回来るたびに家族のこともウェルカムな気持ちで接してもらっているので、シーズン初勝利が出来て本当に良かったと思います」

チームの勝利を喜んでいたウォッシュバーン。しかし、前半は秋田に苦しめられていた。

「前半は秋田にハッスルされてしまったので、ハーフタイムの時に『後半は俺たちの方がしっかりハッスルしよう』と話をした。メンタル的にしっかり準備したことで後半からのディフェンスが出来たと思います」

チーム全体でここまで練習をしっかりやってきたからこそ「後半は俺たちの方がしっかりハッスルしよう」という発言になったのだろう。そして、後半から威力を増したディフェンスは最後まで落ちることが無かった。

横浜ビー・コルセアーズのジェイソン・ウォッシュバーン選手Ⓒマンティー・チダ

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「ディフェンスは本当にエナジーが大事なので、ウィスマンHCもそれを自分たちに求めている。エナジーを出してディフェンスをすること。練習からチーム一丸となってやってきているので、試合後半でしたが出来て良かったですね」

選手とHCが同じ方向を向いている証拠である。ウォッシュバーンも出場試合2試合連続17得点を達成した。この日は出場がなかったジョルジ―・ゴロマンも含めて、外国籍選手3選手がローテーションで出場し、安定したパフォーマンスを発揮している。あとは、チームとしてエナジーを出したディフェンスが更に威力を増せば、昨シーズンまでの1部“残留”争いから脱出するだけでなく、CS圏内にも顔を出してくる可能性もある。