沖縄アリーナで開催される2021年オールスターゲーム
Bリーグは9月26日開催の定時会員総会で、2021年オールスターゲームを2020年秋供用開始予定の沖縄アリーナ(沖縄県沖縄市)で開催することを発表した。
Bリーグオールスターゲームは、第1回を2017年1月に代々木第一体育館(東京都渋谷区)、第2回を熊本県立総合体育館(熊本市西区)、第3回を富山市総合体育館(富山市)で開催し、2020年の第4回は北海きたえ―る(札幌市豊平区)で行う。
「(開催地は)富山と北海道の時は立候補制にして理事会で多数決をしてから決定しましたが、今回の沖縄開催は投票制を取っていません」
定時会員総会の後に行われた臨時理事会でチェアマン(代表理事CEO)に再任された大河正明氏は、力強く発言した。投票制にしなかった理由も明確で、2020年秋にバスケットボール界及びBリーグにとって悲願だった“夢のアリーナ”が誕生するからであった。
Bリーグが掲げる“夢のアリーナ”とはどういうものか。大河チェアマンは、2018年に開催された「SPORTEC2018」内で以下のように語っている。
「コンサートやコンベンションをいかに誘致するかというのはもはや当たり前で、命名権や広告収入を獲得していき、VIP施設や付帯施設、併設施設などを充実させていく。そうして、人が集まり、人が滞留し、企業にとって魅力を持つアリーナを仕切ることができるかが、夢のアリーナのビジネスに問われています」
地域コミュニティの創出や防災拠点としての機能を備えることを前提に、事業収入を上げて選手1人がたくさんの観客を呼び込めるようにしていくためにも、非日常を味わえる1万人規模のアリーナが不可欠である。
その“夢のアリーナ”が沖縄に建設されたのだ。

Ⓒマンティー・チダ
「これはもう投票ではないだろう」と理事会に諮って、2021年のオールスターゲーム沖縄開催に至った裏側も披露。つまり“夢のアリーナ”が沖縄に誕生するからこそ、開催が決まったのだ。
日本国内でアリーナと言えば、来年の東京オリンピックでバスケットボールの会場となる“さいたまスーパーアリーナ”やBリーグでも2シーズン連続ファイナルの会場で、今シーズンも開幕戦の舞台となる“横浜アリーナ”が思い出されるだろう。しかし、これらはコンサートを中心に利用されていて、スポーツのホームアリーナとしての活用はされていない。アリーナにおけるスポーツ行事も少ないのが現実だ。
沖縄アリーナは、琉球ゴールデンキングスのホームアリーナとしての役目がメインとなり、他にもスポーツイベントをたくさん誘致して沖縄県から日本全国を盛り上げていく役割が求められる。収容人数も1万人規模となる見込み。2023年にフィリピン、インドネシアと共同開催するワールドカップに向けて、沖縄がアジアバスケットボール界の中心に据えられることも予想される。
「開催が決まったことに身が引き締まる思い」琉球・木村達郎社長
沖縄アリーナをホームアリーナとして使用する、琉球ゴールデンキングス木村達郎氏(沖縄バスケットボール株式会社 代表取締役社長)は、先の理事会でオールスターゲームの沖縄開催決定を受けて「Bリーグに感謝したい。Bリーグのビジョンに基づいて開催が決まったことに身が引き締まる思い」と語った。
そして、沖縄アリーナについては決まっている範囲で発表があった。
・センターサークルの上に設置されるビジョンのサイズは500インチ超
・コートを囲うようにして360度リボンビジョンを配置
・ビジョンの下にはボックスシートより上のランクであるスイートの設置
木村社長は、設計のアドバイスも業務として引き受けていたことを明かした。
「主な目的の一つであるバスケットボールの最適な設定をした上で多用途にしたい。体育館のようにバスケットボール3面を確保できるようにではなく、1面をコート中央に据えた上で観客の動線を見極めたい」
現在、ホームアリーナとして使用する沖縄市体育館は、どれだけ詰め込んでも収容人数は3500人程。チケットが取れずに生観戦ができないケースもあったが、このアリーナができるとそれらの問題が一気に解決できてしまうのだ。
大河氏は「木村社長はNBAのアリーナ30会場を回って、30の会場については全て頭に入っている」と語った上で木村社長を絶賛していた。それだけ会場を見てきた木村社長は、飲食にこだわりたいとも付け加えていた。
その他の競技でも、パナソニックパンサーズ(バレーボール・Vリーグ)が沖縄をサブホームとしている関係で、沖縄で公式戦が出来るかどうか検討していることも明かした。

Ⓒマンティー・チダ
だが、課題もある。最も重要なのはアリーナまでのアクセスだ。こちらは行政当局と協議中とのことだが、1年後の供用開始時期には、アリーナ周りの環境がもっと見えてくるはずだ。バスの本数や運行時間も含めて、今後大幅な見直しが求められる。“夢のアリーナ”でオールスターゲームを華麗に成功させて、それ以降の発展に寄与したいところだ。
全貌はこれからだが、日本バスケットボール界の新しいハブ役となる沖縄アリーナ。ぜひ先頭を走ってもらいたい。
夢のアリーナ構想と共にBリーグ理事会は勝負の3期目に突入
オールスターゲーム開催地発表に先駆けて、3期目となる理事会の新体制が発表された。今回の総会にて発表された理事・監事・特任理事は以下の通り。
■チェアマン(代表理事CEO)
大河 正明 (再任)
■理事
片上 千恵 (再任)
木村 達郎 (再任)
境田 正樹 (再任)
渋谷 順 (新任)
鈴木 秀臣 (再任)
田中 道博 (再任)
田中 実 (新任)
長嶋 由紀子(新任)
中根 弓佳 (新任)
林 邦彦 (再任)
古川 宏一郎(新任)
堀 義人 (新任)
宮嶋 泰子 (再任)
■監事
岸 郁子 (再任)
山本 昌弘 (新任)
■特任理事
宇田川貴生 (新任)
鶴 宏明 (新任)
東野 智弥 (新任)

Ⓒマンティー・チダ
任期は2年。大河氏をはじめ再任された9名に加え、新任で、茨城ロボッツオーナーの堀義人氏、元横浜マリノス代表取締役社長の古川宏一郎を含めた理事6名と監事1名、特任理事3名が選出された。堀理事は壇上で「大河チェアマンからBリーグ36チームの中で最も観客動員数と売り上げが伸びたチームとして茨城ロボッツの評価をいただいた。今後はBリーグの発展に向けて貢献したい」と抱負を述べた。
今回から新設された特任理事は理事会における投票権はないが、理事会に出席して専門分野から意見をする立場として選任された。
「2年間という任期の中でどれだけのことができるのか。我々の責任だと思っている。2年より先のことは考えない」
大河氏はそう意気込みを見せた。
沖縄を皮切りに全国各地で巻き起こる“夢のアリーナ構想”と共に、Bリーグは勝負の3期目に突入する。