毎年昇格クラブを輩出
現在のBリーグのシステムにおいて、B1の舞台で戦うためにはB3からの昇格を目指すしかない。Bリーグの登竜門と言えるB3には今季12クラブが所属する。
厳密に言えば、B1&B2、B3は運営団体が違い、B1とB2は「ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ」、かたやB3は「ジャパン・バスケットボールリーグ」と“プロ”を標榜しておらず、今季も2つが企業形態のクラブとして活動する。
こうしたプロ・アマ混在のリーグではあるが、昇格を目指すクラブの鼻息は荒い。初年度から毎年昇格クラブが生まれ、自動入替に加えて入替戦でも昇格を果たしている。一昨季(2017-18)は東京八王子ビートレインズ、昨季(2018-19)は越谷アルファーズがB2の最下位クラブに勝利。B1とB2間は入替戦での昇降格はなかったものの、B2とB3では2ケースも起きている。つまりB2下位とB3上位の差はほとんどないと言っても過言ではないのだ。
1年での昇格を目指す八王子には、NBA契約経験のあるナッシュが在籍
4年目を迎える今季のB3は、先述したとおり12クラブが各60試合を戦って優勝を目指す。昨季まではファーストステージ、レギュラーシーズン、ファイナルステージの3ステージ制で優勝が争われていたが、今季は1シーズン制となる。ファーストとファイナルはプロクラブのみ、レギュラーは企業クラブも合わせて試合が行われ、それぞれのステージでの順位に応じてポイントが与えられていた。
ステージ制の利点は、チームの軌道修正ができる点。昨季を振り返れば岩手ビッグブルズが先の2ステージで計10勝38敗と苦しい戦いを強いられたが、ファイナルステージで戦力補強やチームの方向性を修正し、6勝6敗と奮闘した。
しかし今季はステージ制が廃止され、全クラブが1シーズン制で60試合を戦う。その中で優勝候補として挙げられるのが東京八王子ビートレインズ。昨季はB2で戦ったが、ケガ人が相次ぎ最下位に沈み、無念の降格となった。
B3降格となれば戦力ダウンも避けられない中、八王子は主力を確保してシーズンに臨むことに成功した。中でも注目なのは#2ルブライアン・ナッシュ。出場は叶わなかったが、ヒューストン・ロケッツと契約した経歴があり、得点力の高いフォワードとして日本でも実績がある。昨季はケガのためシーズン途中に帰国。いったんは契約満了となったが、再び八王子のユニフォームに袖を通すことになった。
日本人選手もB2、B3で実績のある選手を揃え、優勝候補最右翼と言えそうだ。
新規参入クラブも手堅く補強、最短でのB2昇格を目指す
今季はベルテックス静岡、トライフープ岡山、佐賀バルーナーズと3クラブが新規加入したが、各クラブとも最短でB2に昇格できるような戦力を揃えた。静岡は地元密着を掲げ、実に5名が静岡の出身。中には#0大澤歩、#1大石慎之介とB1、B2を経験した選手がおり、彼らを中心に堅実なバスケットを展開しそうだ。
3人制バスケットの強豪で知られる岡山には、昨季地域リーグを戦ったメンバーをベースに、富山グラウジーズから#13比留木謙司が加入した。B3には日本人ビッグマンが少なく、比留木のような存在は貴重で、今季は出場時間が増えそうだ。またバンビシャス奈良から#4ジェフリー・パーマーを獲得したことも大きく、インサイドはリーグ随一の布陣となった。
そして佐賀はスタッフ人事でサプライズを起こした。スペイン代表の現役アシスタントコーチのルイス・トーレスをヘッドコーチに据え、アシスタントコーチには熊本ヴォルターズを率いていた保田尭之が就いたのである。メンバーを見ても奈良から#13小松秀平、熊本から#47並里祐と強力なベテランが加わった。ほか、万能選手の#2ゲイリー・ハミルトンも獲得し、スタッフ陣、選手ともに顔ぶれは豪華だ。
この他、東京サンレーヴスも着実に選手を補強し、企業クラブながら豊田合成スコーピオンズも有望な若手が揃う。B2昇格を目指すクラブの熱い戦いに注目だ。