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【Bリーグ】今季の千葉を支えた二人のシューター 石井講祐と田口成浩

千葉ジェッツシーズン感謝祭の集合写真Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

石井と田口がシューターとして役割を果たす

2季連続ファイナルに進出したものの、残念ながら昨季の雪辱を果たすことはできなかった千葉ジェッツ。しかし、レギュラーシーズンは52勝8敗で最高勝率を達成し東地区も2連覇、天皇杯3連覇と輝かしい成績を残した。

昨季はシックスマンとして活躍していた#27石井講祐が、今季は58試合でスターティングメンバーに入っていた。また、今季は秋田から#5田口成浩が移籍したことにより、石井と二人でシューティングカードを担ってきた。

二人で守ってきたこのポジション。シーズンが終わって、どのような心境なのか伺った。

「人として選手として成長できた」田口成浩

田口は、秋田から移籍してきた当初、チームにアジャストすることに苦労していた。

「何とか自分の色を出してやろうと意識し過ぎていた。その力みもあって、自分の良さがなかなか出せない。軌道修正しないといけないという状況で、後半戦はよくなってきた」

さらにその中で「良くも悪くもいろいろあったので、人として選手として成長できた。最高の1年だったのかな」とした。田口は、成長した部分として“心の成長”をあげる。

「『心を込めて』とずっと言っている中で、心が折れたりとか病んだりしてしまえば、バランスよく立っていられない。どんな時も切り替える力は大事。ファイナルの舞台で勝ちには貢献できなかったが、結果を残せたのはよかった」

Bリーグファイナルで敗れたものの、悲観はしていなかった。田口は、秋田時代にBリーグの前身bjリーグファイナルを経験している。そのファイナルで敗れた後、田口は報道陣の前で号泣した。しかし、今回のBリーグファイナルでは「泣くような感じではなかった。本当悔しい。ただそれだけ」と明かす。

感謝祭での田口成浩Ⓒマンティー・チダ

Ⓒマンティー・チダ


「bjリーグファイナルで負けた時の悔しさとは違う感情だったのかもしれない。秋田時代のbjリーグファイナルは、地元出身ということもあって、チームを引っ張るという気持ちでやってきたからこそ、ブースターの皆様に勝ちを届けたかった。もちろん、Bリーグになっても変わりません。千葉に移籍して、立場が変わり、自分は何ができるのだろう? シュートを決めることはできたが、もっとディフェンスとかで貢献できたのかなと思う。その部分は心残りではないですが、悔しさはあります。相手の喜んでいる姿を見るのはつらかった」

田口は、ファイナルを終えてこのような感情でコートを見つめていた。

「ベスト3P成功率賞を捕れたのは大宮さんのおかげ」石井講祐

石井は、シーズン中盤からスタート5を担い、ベスト3P成功率賞を獲得した。

「シーズン全体で言えば、天皇杯3連覇、レギュラーシーズン史上最高勝率で東地区2連覇できたので、良いシーズンだったと思う。結果だけでなくて、自分たちの成長を実感しながらプレーできたシーズンとして終わったので自信にしてよい。やり遂げたことに自信を持って良いシーズンだった」

石井はこう振り返った。その石井、今季は試合前のルーティンを変えていた。

「今季から、試合前のハンドリングやシューティングのメニューを変えた。オフシーズン、スキルワークアウトをしたときに習ったもので、強度やその中で使えそうなものをピックアップしていた。内容もそうですが、それを続けることが大事で、続けて毎日同じ準備をすることがルーティンの意味だと思う」

ルーティンの重要性を説き、それを陰で見守っていた選手の存在を明かした。

感謝祭での石井講祐Ⓒマンティー・チダ

Ⓒマンティー・チダ


「大宮(宏正)さんは、それをわかっていて、コートに入ってルーティンと違うことをすると、大宮さんから『石井ちゃんやっていない』と指摘を受けていた。ルーティンには厳しく、大宮さんは僕のルーティンを把握していて、よく『次これだよ』と言われていた。ベスト3P成功率賞のタイトルを取れたのは、大宮さんのおかげかもしれない」

ベテランのアシストがあったことを、このように語った。

お互いにアドバイスを出し合っていた

では、石井と田口、お互いをどのように見ていたのだろうか?

「正直、今季は石井さんがいたからこそ、考えさせられたことが多かった。自分に足りなかったことを、見つめさせてくれた存在。お互いにアドバイスを出し合っていた」(田口)

「練習中に競い合ったことが、お互いにプラスに働いていた。相手の守り方、攻め方も試合前に良く話をしていた。僕にはない、勢いだとか雰囲気を持っているので、お互いの特徴を生かしながら、協力してチームの勝利に貢献できたのかな」(石井)

それぞれが協力しながら、ポジションを守っており、さらに田口は石井が良い見本になっていたと語る。

「開幕当初足りていなかった守備において、石井さんは曲者なスタイルで確率も良かった。自分が目指すところはここではないかと。寡黙で本当のサムライだと思う。ルーティンはしっかりしているし、食事も決まっている。本当にすごいとしか言いようがない」

「野球観戦」「休みたい」

ファイナルも終わり、これからやってみたいことを出してもらった。 “野球観戦”をしたい田口と、“休みたい”石井。

「ゆっくり(野球観戦に)行きたいですね。1回行ったときは、その週に試合があるのでという緊張感の中、明日からウエイトとか考えながらだったけど、千葉に1年間携わってきた中で、マリーンズの選手とも関わるようになった」(田口)

「今季は試合が詰まっていたし長かった。ウエイトとか入れるタイミングは試しながらだった。天皇杯からバイウィークまでは、試合が詰まっていたので、本当にきつかった」(石井)

二人とも、充実したシーズンを終えて、充電期間を迎える。次のシーズンは未定だが、今シーズン積み重ねてきた経験は、必ず生きるときがやってくるだろう。