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千葉、栃木、琉球、A東京、短期決戦乗り越え準決勝へ

2019 5/2 11:00SPAIA編集部
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シーズン通りだった栃木 誤算が続いた川崎

Bリーグ3代目の王者を決めるチャンピオンシップはクォーターファイナルが終了。千葉ジェッツ、栃木ブレックス、琉球ゴールデンキングス、アルバルク東京がそれぞれ勝ち進み、ファイナルを懸けてセミファイナルに臨む。

このうち栃木は、一昨季のファイナルで対戦した川崎ブレイブサンダースとクォーターファイナルで相まみえた。今季の川崎は、#22ニック・ファジーカス、#14辻直人のケガで新潟アルビレックスBBに続く中地区2位だったものの、1試合平均80.1得点を誇る攻撃力の高いチームだ。

しかし結果的には87−57、89−62で栃木がスウィープ。栃木は初戦で4人、第2戦は5人が2桁得点を記録し、アシスト平均23.3本、リバウンド平均43本とシーズン通りの戦いぶりを見せた。

栃木はシーズン中から、個人技ではなくボール各選手がシェアしながらノーマークを作り出し得点を奪取。シーズン平均13.3本というオフェンスリバウンドもこのシリーズでは10本、18本と健在だった。シーズン途中に加入した#6比江島慎、ケガから復帰の#0田臥勇太、#31喜多川修平も活躍し、好材料を得てセミファイナルに進むことになった。

一方川崎はファジーカスが2試合で33点と不振、他の2名の外国籍選手もサポートできなかった。肩のケガから復帰した辻も2試合で僅か3点。チーム全体としてもフリースローの確率が2試合ともに50%台、ターンオーバーも多くなるなど誤算が続いた。

この2年の川崎はファジーカスに続く得点源が不安定で、今季はファジーカスが帰化登録になったことで、機動力のある外国籍選手を獲得したが、あまり機能しなかった印象。

このシリーズでも高さでイニシアチブを取れるはずのリバウンドで37−42、33−44と差を広げられた。シーズンを通してみれば3Pシュートの試投数が1試合平均約2本減り、その分2Pシュートが増えることなくFG全体の本数も減少。自慢の得点力もダウンするなど、今季の悪い部分が全て栃木との2連戦で出てしまった。

接戦で地力を発揮したA東京 新潟は後半の立ち上がりが響く

栃木vs.川崎と同等に注目カードだったのが、新潟アルビレックスBBとA東京の対戦。今季オフェンス力でダークホースとなった新潟に対し、ディフェンディングチャンピオンのA東京がどう攻略していくかに注目が集まった。 結果的には78−72、71−68でA東京が接戦で新潟を下したが、両試合ともに後半の出だしが勝負を分けた。

今季の新潟は平均80.2得点という攻撃力が自慢のクラブだが、1〜4Qの得失点を見てみると、前半と後半の出だし、つまり1Qと3Qに課題を残していた。

それぞれのクォーターの得点と失点の差を見ると、1Qから20.3と19.2、18.4と16.9、20.8と19.5、20.1と17.3となっている。1Q の得失点の差は1.1で、3Qは1.3で失点も19点台だ。

この数字を元にA東京とのシリーズを見ると、1Qは16−15、27−17と立ち上がりに成功していたが、3Qに関しては18−29、第2戦は12−22と大きく差を付けられてしまった。エースの#54ダバンテ・ガードナーが後半に調子を上げていったものの、ガードナー以外の選手の得点が伸び悩んだ。ディフェンスでも#6馬場雄大、#53アレックス・カークの主軸に活躍を許してしまい、本来は強さを見せる4QでもA東京に試合巧者ぶりを発揮されてしまった。

また、シリーズを通して#7五十嵐圭、ガードナーの2メンゲームを封じ込められ、このラインからの得点が減ったことも痛手だった。その結果、2試合ともロースコアに終わり、本来の戦い方ことも敗因となった。その中でも#18森井健太、#30今村佳太の若手が活躍したのはプラス。あと一歩でセミファイナル進出は逃したものの、来季につながるシリーズとなった。

王者に向け準備万端の千葉 琉球に復調の兆し

レギュラーシーズンの勝率1位の千葉vs.富山グラウジーズは、千葉が難なく富山を退けセミファイナルに進出した。102点、96点とシーズン同様、攻撃力を遺憾なく発揮し、シーズンは出場機会に恵まれなかった#5田口成浩が14得点、12得点と仕事を果たし、これはセミファイナルにつながる収穫になるだろう。

エース#2富樫勇樹も得点とアシストでダブルダブルを達成し、初の2冠獲得へ死角はない。 セミファイナル進出クラブで最も苦しんだのが琉球。名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦したが、シーズン終盤の不振がこのシリーズでも続き、初戦は53−69とまさかの大敗。しかしその後は持ち前のディフェンスが復活し、連勝を飾った。

連勝した2試合の失点は53、43で、これはシーズン以上の数字。課題のオフェンスも日替わりでヒーローが生まれ、何とか復調の兆しを見せている。

こうして4クラブが顔を揃えた今季のセミファイナル。それぞれ状態を上げており、この週末も目の離せない試合が続くことになるだろう。