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【Bリーグ】千葉ジェッツが夢の1万人アリーナ計画を発表

千葉ジェッツ,アリーナ,船橋,Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

千葉ジェッツがアリーナ計画を発表

観客動員はリーグナンバーワン。その千葉ジェッツが夢のアリーナ計画を発表した。ホームである船橋アリーナや千葉ポートアリーナは、連日満員御礼が続き、チケットが手に入らないという事態。これは動員成功とともに、千葉ジェッツが地域に認められる証にもなる。

これまでの体育館やアリーナは、どちらかというと行政が主体となって建設をしてきた。来年に控える東京オリンピックの会場についても、国や東京都及び周辺の都道府県が所有する競技場や体育館を使用する。

千葉ジェッツ,アリーナ,船橋,Ⓒマンティー・チダ

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故に、「千葉ジェッツがアリーナを作る」、この発表は「プロバスケットボールチームがアリーナを所有する」という画期的なことなのである。

船橋市とタッグを組んでトップチームに成長

Bリーグがクラブライセンスを交付する上で、重要視しているのが「平均入場者数」だ。そして、5,000人収容できるアリーナを確保することも条件としている。

このアリーナ確保に関しては、Bリーグ設立前から難航していたクラブが多く、実際に2019-20クラブライセンス交付において、アリーナ要件が基準に満たなくて、希望通りのライセンスを受けられないクラブもあった。一方、希望が通ったクラブの中にも、ここにきて既存のアリーナや新設アリーナにメドが立つなど、ようやく解決の糸口を見出すことができたクラブもあり、決して順風満帆というわけではなかった。

だが、千葉ジェッツにおいてはNBL時代にホームタウンを船橋市と発表し、船橋アリーナをホームアリーナとして、2016年秋に開幕するBリーグに備えていた。そして2015年9月には「ふなばし・千葉ジェッツ後援会」を設立。クラブと行政が早くからタッグを組んで、トップチームへの道を歩き始めていた。当時、筆者は後援会と、千葉ジェッツ島田慎二社長に取材していた。

「まさか、こんなに早く設立してもらえるとは思っていなかった。市長をはじめ、みなさんが精力的に動いてくれたので感謝している。まずやらないといけないのが、後援会から『熱く応援するチームが必要だろう』と動いてもらえるようにすることだ。バスケ界で後援会があるというのは少ない。手探りで且つお金を集めて事業をやる組織ではないし、有志でやっていただいているので大変だと思う」

当時、そのように語った上で、5,000人収容のアリーナ確保について続けた。

「5,000人の箱があれば良いという事ではない。5,000人を収容するというのは簡単ではないが、わっと盛り上がれば十分に可能。関東圏は地方と違って、メディアにどんどん出るシチュエーションにない。草の根的な活動が無いと何も起こらないので、後援会発足が良いきっかけになると思う。船橋の企業に入っていただいているので、そこだけの従業員だけでもかなりの数になる。デパートや駅やバスの会社などもあるので、そこで広告を張って頂ければ宣伝にもなる。これまではスポンサー頼みが主だったが、これからは入場者数にこだわらないといけない」

そう構想を明かし、当時は多くのイベントをシーズンオフに実施していた。だから、バスケ界では一番イベントが多いとも言われていた。

千葉ジェッツ,アリーナ,船橋,Ⓒマンティー・チダ

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なお、千葉ジェッツのホームゲーム1試合当たり平均入場者数は以下の通りである。(レギュラーシーズンのみ)

<NBL>
2013-14シーズン 1,438人
2014-15シーズン 1,909人
2015-16シーズン 3,575人

<Bリーグ>
2016-17シーズン 4,501人
2017-18シーズン 5,196人
2018-19シーズン 5,204人

2016-17シーズンでは、人気カードで5,000人を超えることはあったが、やっとという感覚だった。しかし、2017-18シーズンになると、当たり前に5,000人を収容できるようになり、チケットも買えないという事態まで発展した。

2018-19シーズンは、開幕節で川崎に連敗し、水曜開催という厳しい状況で5,000人を割ることもあったが、連勝街道を走りだすと、入場者数も軒並み5,000人を超えるところまで戻してきた。さらに、2階自由席上の通路は、立ち見客で溢れかえり、アリーナ内を移動しようとするにもだんだん厳しいものになっていた。

Bリーグが始まってから、常時5,000人を収容できるようになってきている。

あくまでも千葉ジェッツがアリーナを作り、ミクシィがバックアップをする

千葉ジェッツの中長期戦略が、先日船橋アリーナで行われた。戦略の一つとして「夢のアリーナ計画」を発表。クラブも8年目を迎えて、天皇杯3連覇、そして会見が行われた日にリーグ東地区優勝を決めていた。

「次なる成長を目指す為には、船橋アリーナのサイズでは毎試合立ち見となるので、どこかで成長のエンジンを吹かさないといけない」と、会見の冒頭に島田社長が語った。

「アリーナに関しては、したたかに考えていた」とした島田社長は、昨季が終わったあたりから動きを始めていたと明かす。

「10,000人を収容できるアリーナを作って且つ交通の便が良いところと考えている。行政では現実的に難しいだろうということで、民間で進めたい」とアリーナ構想の一端を明かした。そして、アリーナ建設を進める上で、千葉ジェッツ単独では難しいという判断で、2017年からパートナーシップ契約を結んでいるミクシィと、戦略的業務資本提携を結ぶことに至った。

「あくまでも千葉ジェッツがアリーナを作り、ミクシィがバックアップをする」と島田社長は強調する。日本では初のケースとなる、ハードとソフトの一体経営を目指す。建設場所は「できれば船橋で」と考えているようだが、具体的な場所や資金の細かい部分の公表は控えた。これから詰めていくようだ。

千葉ジェッツ,アリーナ,船橋,Ⓒマンティー・チダ

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Bリーグの模範となるクラブとして、リーグを引っ張ってきた千葉ジェッツ。リーグが目指している姿に『やっと届いた』というクラブがまだまだ多い中、千葉ジェッツは、次なるステージに一足先に進んでいくことに間違いはなさそうだ。