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【Bリーグ】令和最初の「頂」へ チャンピオンシップクォーターファイナル展望

Bリーグ, チャンピオンシップ,Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

今季はGAME3も40分に

Bリーグは、2018-19レギュラーシーズンを終えて、26日から「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2018-19」が始まる。

各地区の1位・2位の6クラブ(3地区×2クラブ)と、残りの12クラブのうち勝率上位2クラブ、計8クラブがトーナメント方式で今シーズンの年間王者を決める。クォーターファイナルとセミファイナルは、チャンピオンシップ上位チームのホームアリーナで2戦先勝方式、ファイナルは、5月11日に横浜アリーナで1戦決着方式として開催される。

今シーズンの大きな変更点は“GAME3を別日で実施”することだ。過去2シーズンは、クォーターファイナルとセミファイナルで1勝1敗となった場合、第2戦終了後インターバルを置いて、前後半5分ずつのGAME3を行い、この勝敗で全てを決した。

しかし今シーズンは、“別日に前後半20分ずつの40分間”でGAME3を行う。たった10分で全てを決めるのではなく、GAME3で勝利したチームが次のステージに進むことになった。選手のコンディションやモチベーションを考えると、この方式は、選手自身のより良いパフォーマンスに繋がることだろう。

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新元号「令和」最初の王者決定戦となるチャンピオンシップ。レギュラーシーズンを勝ち上がった8チームが、新時代の「頂」を目指して、ノックアウト方式の戦いに挑む。大河正明チェアマンは「昭和はプロ野球がスポーツを娯楽としてくれた。平成は地域と向き合うということをサッカーJリーグが教えてくれた。そして、令和はBリーグの時代にしたい」と声高らかに宣言している。

令和最初の「頂」。最初の関門、クォーターファイナルの展望をカード毎で紹介していこう。

千葉(東地区1位)VS.富山(ワイルドカード下位)千葉・船橋アリーナ

まずはレギュラーシーズン最高勝率で東地区を制した千葉。対戦相手はチャンピオンシップ最後の椅子に飛び込んできた富山である。

千葉・#2富樫勇樹は「昨年、横浜のファイナルで敗れた記憶はすごく残っているので、今年こそはという想いはある。今季の成績は、3年間で積み上げてきたからこそのものだ」と過去の想いからの成長を語る。

反して、富山・#24大塚裕土は「選手、ヘッドコーチ、フロントがガラッと変わった。ホーム最終戦も5,300人を超える観衆が集まってくれた。クラブとして2季連続残留プレーオフに進出していたが、今季はチャンピオンシップに出場できるというのは、クラブとして素晴らしい変化を起こせた」と“変化”を以ての成果を強調する。

チームスタイルも対照的である。“激しい守備からリングに向かって走るバスケ”を展開する千葉に対して、富山は“ポストプレーから始まるバスケ”を展開。富山としてはインサイドの要#34ジョシュア・スミスが起点になれるかがカギとなる。

レギュラーシーズンでの成績は千葉が2勝と勝ち越しているが、脅威になるであろう存在がいる。昨季千葉在籍でファイナルにて悔しい想いを経験し、今季は富山に所属している#0レオ・ライオンズと#7阿部友和だ。千葉・富樫も「個人的には、レオ・ライオンズがキープレイヤーになる」と警戒する。

大塚も「大学の同期である石井には負けたくない」と大学時代に切磋琢磨した石井をあげるとともに、隣に立っていた富樫の名前を出した。レギュラーシーズンのホームゲーム前半終わりに富樫と1on1で抜かれて得点された苦い経験があるからだ。「あの光景は忘れられない。あれからどうやって止めようか考えている。対策はできている」と、意識しつつ富樫対策も万全にしているようだ。

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千葉のホームアリーナ、船橋アリーナは常に5,000人を超える観衆で相手を圧倒する。「GO JETS」コールに乗せられて、千葉が躍動するか?それとも富山が逆風を跳ねのけてアップセットできるのであろうか?

栃木(東地区2位)VS.川崎(中地区2位)栃木・ブレックスアリーナ宇都宮

ここは、Bリーグ初年度のファイナルと同じカードとなった。今季の対戦成績は、栃木が全勝。川崎#7篠山竜青は「多分みんな川崎が勝つとは思っていないでしょうけど、この感じが久しぶりで心地よい」と挑戦者としての立場を楽しんでいた。

川崎はJBLやNBL時代から、常に優勝候補としてマークされていたチームだった。今季開幕前も、#22ニック・ファジーカスが帰化選手となり、優勝候補にも挙げられていたが、中地区を制することはできなかった。

「チームの為、仲間の為に信じるというのが少しでも崩れると、どこのチームと試合をしても勝てない」と篠山は今季の課題を話す。以前にも、チームに足りないものとして「我慢すること」だとした。少しずつできているとはいえ、栃木の激しいディフェンスに対し、チーム全体が我慢しきれるかがポイントになる。

そして栃木は、シーズン当初はけが人に泣かされていた。記者会見上で#9遠藤祐亮は「前進」という言葉を挙げ、「各個人がレベルアップし、チームとして前進できた」とチームとしてアクシデントを前向きに捉えていた。そして、1月に入ると#6比江島慎が加入したことで、攻撃に厚みが増したと言う。

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栃木は、東地区で千葉、A東京と3強を形成し、厳しい地区を戦ってきた自負がある。「川崎はインサイド陣が強力だが、持ち味であるディフェンスを出せればよい。得点源であるファジーガスを全員で止めないといけない」と遠藤は川崎のエースを名指しで警戒した。川崎の得意な形に持ち込ませないことが重要だ。

川崎は栃木に今季勝利できていないが、自分たちの形で組み立てて、相手の守備に「我慢」して、アウェイながらも先勝すれば、栃木を追い込むことも可能だろう。

琉球(西地区1位)VS.名古屋D(西地区2位)沖縄・沖縄市体育館

昨季もチャンピオンシップクォーターファイナルで顔を合わせている両チーム。その時は、GAME3までもつれ込み、琉球が勝利を掴んだ。

今季レギュラーシーズンは琉球の5勝1敗。琉球は、西地区を2季連続で制したが、決して順風満帆ではなかった。#33アイラ・ブラウン、#40ジョシュ・スコットがケガで戦列を離れた時から、勝ち負けを繰り返し、1月27日三河戦からは5連敗した。しかし、スコットに代わって契約した#44ケビン・ジョーンズがチームに合流すると、徐々に勢いを取り戻した。

#14岸本隆一は「主力選手がケガでチームが揃わない中で、困難も多かったが、チームとして結束してここまで来ることができた」と言う。チームとして「結束力」を大事にして、シーズンを戦ってきたのだ。名古屋Dについては「個々のオフェンス能力は高い。武器であるディフェンスから戦いたい」と印象を話していた。

名古屋Dも琉球と同様に、主力選手が抜ける時があり、また、外国籍選手の入れ替えもあった。#9安藤周人は「チーム一丸となって、我慢するシーズンだった」とレギュラーシーズンを振り返る。ただ、昨季と違うのは安藤が日本人のエースに成長したことだ。大河チェアマンも「安藤が成長した」とコメントしている。

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青山学院大学時代から、抜群の決定力を誇っていたが、特別指定選手を経て今季はその力をプロのコートで示せるようになった安藤。1試合平均得点も8.0点(17-18シーズン)から14.6得点(18-19シーズン)と大きくジャンプアップ。名古屋Dが勝利する為には、安藤が得点を重ねることができるかだろう。

「2シーズン連続で対戦するということは何かの縁だから、リベンジをしたい」と安藤は琉球に対して勝利を誓う。

新潟(中地区1位)VS.A東京(ワイルドカード上位)新潟・アオーレ長岡

中地区を制した新潟に対するのは、昨季王者のA東京。壇上に上がった#7五十嵐圭は「我慢」という言葉でレギュラーシーズンを表現した。「60試合しっかり戦えた。ベテラン選手が多かったが、最後まで持ってくれた」とレギュラーシーズンを振り返る。

新潟の持ち味は、何と言ってもインサイドの強さだ。#54ダバンテ・ガードナーと#34ラモント・ハミルトンが形成するゴール下は、破壊力抜群。体型もよく似ていて、相手からすると、迫力に圧倒されて、リングにアタックするだけでも危険を感じるだろう。インサイドで優位に立てば、五十嵐を中心としたガード陣もノーマークになりやすく、アウトサイドからの得点が見込まれる。

中地区優勝を決めた川崎戦では、インサイドの得点が止まった後でも、アウトサイドから#32池田雄一らが3pを沈め、川崎に隙を見せなかった。中外でバランスを保てるようなゲーム展開になれば、新潟の思うツボだ。A東京については「若くて勢いのある選手が揃っている。勢いに負けないように頑張りたい」と五十嵐は話す。

昨季の年間王者A東京は今季は東地区3位に終わり、ワイルドカード上位でチャンピオンシップに出場。順位的にアウェイの戦いが続くが、ポテンシャルはリーグナンバーワンだろう。#24田中大貴、#6馬場雄大、#15竹内譲次といった日本代表勢に、機動力がある#53アレックス・カークが絡んだオフェンスは強力だ。そして、ピック&ロールで相手を翻弄し、ミスマッチを突いたディフェンスが機能すれば、優位に立てる。

「モットーであるハードワークで前へ進めたシーズンだった」と田中はシーズンを振り返る。前年王者として迎えるクォーターファイナルだが「ルカHCからも連覇は簡単ではないと言われている。チームにはハングリー精神を持った選手が揃っているので挑戦者のつもりでやりたい」と抱負を述べた。

新潟はチャンピオンシップ初出場だが、五十嵐をはじめ#3柏木真介、#11鵜澤潤、池田ら経験豊富なベテラン選手が揃う。冷静な判断で中外のバランスを保てば、新潟が優位に立つが、A東京も王者のプライドがある。田中のケガが気になるところだが、40分間持ち味を出し切れば、A東京が勝ち上がる可能性もある。

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以上、4カードの展望を紹介した。チャンピオンシップはレギュラーシーズンとは違う短期決戦ならではのスリリングな展開も魅力の一つ。「令和」最初の王者を目指す第一歩として、最初の関門を突破するのはどのチームか、楽しみである。