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バスケ3x3男子日本代表 東京オリンピックへ「スピード」に磨きをかける

2019 11/25 17:00マンティー・チダ
3x3男子日本代表集合写真Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

男子は開催国枠としてオリンピックに出場決定

バスケットボール3x3男子日本代表の第3次強化合宿が、11月18日 (月)から20日(水)に行われた。今回参加した選手は以下の通り。

ブラウン アイラ(F / 大阪エヴェッサ)
小松 昌弘 (F / TOKYO DIME.EXE)
落合 知也 (F / 越谷アルファーズ / TOKYO DIME.EXE)
小林 大祐 (G / 茨城ロボッツ / UTSUNOMIYA BREX.EXE)
永吉 佑也 (F / 京都ハンナリーズ / KYOTO BB.EXE)
藤高 宗一郎 (F / 大阪エヴェッサ / EVESSA.EXE)
橋本 拓哉 (G / 大阪エヴェッサ)
保岡 龍斗 (G / 秋田ノーザンハピネッツ / SEKAIE.EXE)
杉浦 佑成 (F / サンロッカーズ渋谷 / TACHIKAWA DICE.EXE)
西野 曜 (F / 専修大学3年 / BEEFMAN.EXE)

日本の3x3男子は、東京オリンピックへ開催国枠として出場を決めている為、どの選手が代表として選出されるか、そこに注目が集まっている。なお、選出される上で重要なのが、2020年6月22日に発表されるFIBA個人ランキングである。

【選出される条件】
1)2020年6月22日に発表されるFIBA個人ランキングで日本人上位10位以内に入っていること。(2人)
2)2020年6月22日に発表されるFIBA個人ランキングで日本人上位50位以内に入っている、もしくは男子の場合は54,000ポイントを保持していること。

上記2項目のどちらかに該当すれば代表への扉が開かれる。2019年11月21日現在のFIBA日本人個人上位ランキングは以下の通り。

1位(世界80位): 落合 知也 569,560ポイント
2位(世界81位): 小林 大祐 568,760ポイント
5位(世界112位): 小松 昌弘 447,440ポイント
7位(世界188位): 杉浦 佑成 319,440ポイント
9位(世界241位): 保岡 龍斗 288,720ポイント


3x3男子日本代表合宿参加の橋本拓哉Ⓒマンティー・チダ



ランキングの変動は十分に考えられるが、FIBA個人ランキングで上位に位置する選手たちは、1点でも多く稼ぎたい。一方、合宿に参加していた中で、現時点でポイントが少ない選手(ブラウン、永吉、橋本)は54,000ポイントを獲得するための戦いがこれから始まるのだ。

日本のスピードが世界に対して脅威になる

「オリンピックに向けて10人のキープレイヤーを選びました」

ロイブル・トーステンディレクターコーチは、合宿に召集した10選手を基準に本大会へ選考する意向を示した。そしてチーム構成も“ガード2人、フォワード2人”と表明。

「世界に比べて日本はサイズの問題があります。日本の特徴はスピードでかなり速くなってきた。このスピードで試合が出来れば、海外のチームもこれに対応するのが難しいでしょう。自信を持ってできるように、鍛えていきたい」

ロイブルコーチは、日本の持ち味であるスピードに更なる磨きを求めた。

「スクリーンディフェンス、ポストディフェンス、トランディションディフェンスなどディフェンスのアドバンテージからオフェンスへ変えられるのか、日本のスピードが世界に対して脅威になる」

そうスピードで世界と勝負する意思を示した。

ヨーロッパに目を向けると、2mを超えるオールラウンダーな選手たちが揃う。しかし、日本には2mを超える選手がそんなにいない。だからこそ、一芸を持った選手たちを集めて、どのように組み合わせるのかも重要になる。

「どの組み合わせが良いかということを探っていかないといけない。大きな画用紙にどう色付けをするのか、コーチである私の大きな仕事」とロイブルコーチも認める。

3x3男子日本代表ロイブルトーステンコーチⒸマンティー・チダ


本大会では、54,000ポイント以上を獲得することを前提に、国内ランキングトップ10ではない選手を2人選出できる。その候補選手としてブラウン、橋本、永吉を呼んでいた。

「フィジカルが強い選手が必要ですから、そこは落合とアイラが担うことになります。彼らにはリバウンドも期待したい。2人以外の選手に必要なのはシュート力とドライブ。国際大会であれば、ドライブからキックアウトしシュートするパターンが増えると考えています。ドライブからのパス、そのパスを受けてシュートをできるのかが選手に求められる要素。例えば、橋本はすごい突破力ですが、そこにシュート力が備われば素晴らしいですね。ただ誰を選ぶべきか難しい」

ロイブルコーチは、来年の5月の時点で6人までに絞りたいとした。「シュート練習でもほとんどの選手が5割以上の成功率」とパフォーマンスには満足しているが、ランキングやポイント、練習の質などを考えると、どのように絞り込んでいくのか難しい作業になりそうだ。コーチがさらに頭を抱えるようになった時点で、日本の3人制バスケにおけるレベルが上がったことを意味するのかもしれない。

ブラウン アイラは3人制の理想的な選手

5人制でワールドカップアジア2次予選でも活躍したブラウンが、3人制でもキーマンとして日本代表の合宿に呼ばれた。「どういう形で来てくれるのか、どういった取り組み方でやってもらえるのか、非常に大きなクエスチョンマークがついていた事は事実。怪我も心配でしたが、心配する必要は無いなと。3人制バスケに対する取り組み方も素晴らしくて、エネルギーを相当チームに注入してくれています。彼自身もやるぞという気持ちを持っていますので、チームにとっては素晴らしいプラスになっています」とロイブルコーチもブラウンの存在感を認めた。

「アイラは3人制の理想的な選手」

手放しで評価するロイブルコーチ。「しっかりした体があって、ものすごい運動能力もあり、手も長くて色んなことができる。もし、3人制バスケの理想的な選手を見つけるとしたら、彼のような選手」と太鼓判を押す。

ブラウンは、2012年には3x3アメリカ代表としてFIBA 3×3ワールドカップに出場を果たすなど、3人制でも実績を残していた。

「2012年の頃と比べて、スキルのレベルが高くなっているかな。自分が貢献できるとしたらインサイドの強さ、外でプレーすることで助けることができるかなと思います。ワールドカップのビデオを見ても、大きな選手がたくさんいますが、それを超えるようなスキルや強さがあると信じています」

このように日本代表を見ていたブラウン。ロイブルコーチが掲げる“スピード勝負”についても「賛成ですね」とコメントする。

3x3男子日本代表合宿参加の橋本拓哉Ⓒマンティー・チダ


「サイズが小さいので、それをカバーできる俊敏性こそ大きな外国人選手に対してもうまく戦えると思いますし、手応えはもちろんあります。それが無かったらここにはいなかったかなと思うくらい。チームに欠けている部分として、フィジカルやリバウンド、スクリーンのかけ方やタフに戦うことも含めて、自分が補えるピースにはまると思う」

ブラウンは代表における自らの役割まで示してくれた。

ブラウンは現在個人ポイントが足りていないが、ロイブルコーチは「国際試合に出場し、2回ほどベスト8以上となる決勝トーナメントに進むことができれば、ある程度計算できる」とポイント加算というハードルがあるにも関わらず、ブラウンを敢えて招集したのだ。ロイブルコーチから「3人制の理想的な選手」として評価されたブラウンは、自国開催で迎えるオリンピックでメダル獲得を目指す日本代表にとって、必要な選手となるようだ。