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バスケ3x3女子日本代表 第5次強化合宿「次の大きな目標に向かって貪欲に」

2019 11/12 17:00マンティー・チダ
3x3日本代表第5次強化合宿参加選手集合写真Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

開催国枠は男子のみ、女子は予選からオリンピック本戦に挑む

バスケットボール3x3女子日本代表の第5次強化合宿が、11月5日(火)から7日(木)に行われた。今回の第5次合宿に参加した選手は以下の通り。

伊集 南 (G / デンソーアイリス)
篠崎 澪 (G / 富士通 レッドウェーブ)
内野 智香英 (G / 富士通 レッドウェーブ)
三好 南穂 (G / トヨタ自動車 アンテロープス)
田中 真美子 (C / 富士通 レッドウェーブ)
西岡 里紗 (C / 三菱電機コアラーズ) ※都合により欠席
永田 萌絵 (F / 東京医療保健大学 4年)
馬瓜 ステファニー (F / トヨタ自動車 アンテロープス)
山本 麻衣 (G / トヨタ自動車 アンテロープス)

合宿には、10月に中国・蘭州市で開催した「FIBA 3×3 U23 ワールドカップ2019」の優勝メンバーでもある馬瓜、山本、永田も参加(西岡はメディア公開日では不在)。合宿に参加していた8選手が2チームに分かれてスクリメージを繰り返していた。

3x3日本代表の永田萌絵選手Ⓒマンティー・チダ

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3×3の2020年東京オリンピック本戦の出場権を獲得した4チーム(男女各8チームの内)の発表は11月1日にされている。男子はセルビア、ロシア、中国とともに開催国枠である日本が出場権を獲得したが、女子はこの段階で出場権獲得とはいかず、来年3月に行われる2020年FIBAオリンピック選考会(OQT)へ回る事が決まった。

併せて、OQTの大会概要も発表され、イラン、ウクライナ、トルクメニスタン、オーストラリアと同じプールBとなった。全体の上位3チームに入ればオリンピック出場権を獲得し、できなかった場合はFIBAユニバ―サリティ方式のオリンピック選考会に出場し、最後の1枠を争うことになる。

永田が速い展開をチームに持ち込んでくれた

今回の合宿は、「FIBA 3×3 U23 ワールドカップ2019」優勝後初めて行われた。

「U23ワールドカップを優勝できたので、そのエネルギーをこの合宿に持ってくることができたのは素晴らしい事。これがスパイスとなって良い合宿になった」とロイブル トーステンディレクターコーチは合宿の成果を強調する。

3日間に渡って行われた合宿の目的として“5人制では使わないような技術を忘れないようにする。5人制と3人制の違いに慣れること”を掲げて臨んでいた。“OQTの前に長期の合宿を実施するというのは、うまくできないのではないか”と考えたロイブルコーチは、合宿をできるだけ毎月実施し、今後も何回かに分けてキャンプを実施する意向を示している。

メディア公開日となった合宿最終日。U23ワールドカップメンバーの西岡は不在だったが、残りの8人が2チームに分かれて、ひたすら試合形式のスクリメージを繰り返していた。その中で馬瓜や山本と同じ白いビブスを着用し、コンビネーションの良さを随所に見せていたU23日本代表の永田に注目した。永田は先日開催のU23ワールドカップが対外試合初出場だったのだ。

「3日間の合宿は密度が濃くて、良い経験になりました」

永田は合宿を経て、一定の手応えを掴んでいた様子だった。しかし同時に、U23ワールドカップ優勝メンバーである馬瓜や山本と一緒にプレーした感触から、成果と反省を次の通り語った。

「オフェンスは手応えがありましたが、ディフェンスはコミュニケーションミスもあったので、もっと会話をしないといけないと反省しています。自分たちの意識次第で変えられると思うから、もっと多く会話をしていけるなと思います」

馬瓜と山本には、永田が入ったことに対してのストロングポイントを聞いた。

「永田さんは速い攻めというのが一番の持ち味。これまで日本はボールを展開してズレを作ってから1対1に持ち込んでいた。永田さんのおかげで、展開の速い新しい日本らしさが出てきた」(馬瓜)

「トリッキーなプレーとチームに勢いを与える事が彼女の強み。チームが悪い状況でも一人だけ生き生きしていて、勢いづけるプレーを彼女はやってくれる役割なので、チームにとってはすごく助かりました」(山本)

速い攻めを得意とする永田はチームに活力を与えていたようだ。実際、コート上でも三好を含めて4人が縦横無尽に駆け巡り、お互いの持ち味を生かそうと協力し合いながら試合を進めていた。

左:馬瓜ステファニー選手、中央:山本麻衣選手、右:永田萌絵選手(背番号19)Ⓒマンティー・チダ

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「永田さんは3人制の国際大会が初めてで、今まで経験している私とかステファニーさんとかが引っ張ることにしていました。コートの中でも外でもたくさんコミュニケーションを取っていました」(山本)

「指示とかそういうことに従うタイプではなく、自分の気持ちに従って動いているので、それに周りが付いて行くという部分では良いことだと思います」(馬瓜)

こうしてコミュニケーションを図り、プレー面で永田を生かせるようにしていた。

来年3月のOQTは「今回の合宿メンバーから選抜する」とロイブルコーチは宣言。当初は開催国枠の出場が見込まれていたが、女子は本戦に進むために、予選を勝ち上がる必要が出てきた。そうなったことにより「選手からは、次の大きな目標に向かって貪欲にやろうという意識が見えた」という。選手自身のやる気にも火が付いた模様だ。

U23ワールドカップで結果を残してきた選手を中心に、これまで3x3女子日本代表として招集されてきた選手たちがどこまで意地を見せられるのか。来年以降に合宿を実施しながら、ロイブルコーチをはじめとした首脳陣が誰を選ぶのか注目したい。