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八村塁、平均年俸7億円のNBA入りへ ドラフト1巡目指名有力

2019 5/23 07:00田村崇仁
NBAのドラフト1巡目指名が有力なゴンザガ大・八村塁Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

指名は1981年の岡山以来、入団なら日本人初

バスケットボール男子の本場米国で活躍するゴンザガ大のエース、21歳の八村塁はどのチームに指名されるのか―。

全米が注目する6月20日の米プロバスケットボール、NBAのドラフト会議まで約1カ月。NBA挑戦を表明した八村は1巡目指名が有力視され、注目選手の1人だ。日本人選手では、元日本代表の岡山恭崇氏が1981年にウォリアーズから8巡目指名を受けたことがあるが入団せず、ドラフトを経てNBA入りすれば日本人初の快挙となる。

ヒートが指名?

まさに「アメリカン・ドリーム」の世界だ。世界最高峰のNBAのドラフトは現在2巡目までしかない狭き門。全30チームが2人ずつ指名し、計60選手がピックアップされる。

ワシントン・ポスト紙(電子版)は、全体1位指名が有力視されるデューク大のザイオン・ウィリアムソンらをはじめとした各チームの指名選手を予想。ウィリアムソンは着用するスポーツ用品大手ナイキのシューズがプレー中に破損し、膝を痛めて大きな話題を集めたが、将来を嘱望される選手だ。

八村については1巡目13位でヒートの指名を予想し「体の強さと視野の広さ、万能ぶりが完璧にフィットするだろう。スカウト陣はダンクシュートだけでなく、3点シュートの能力もこれから伸びるとみている」と分析した。

1年目から8億円超えも

世界最高峰のNBAは米4大スポーツの中でも破格の高年俸で知られ、今季の平均年俸は約7億円。1年目から年俸8億円を超える高い評価を受ける選手もいる。

NBAでウォリアーズの2連覇に貢献したケビン・デュラントは2季連続でNBA決勝の最優秀選手(MVP)に輝き、2018~19年シーズンの年俸が約33億3000万円だ。八村も1年目から想像を超える年俸を手にできる好待遇が予想される。

田臥、渡辺はサマーリーグから

これまでNBAでプレーした日本人は田臥(現Bリーグ栃木)、グリズリーズとツーウエー契約の渡辺。ともに若手の登竜門とされるサマーリーグで実力を示して契約にこぎ着けた形だ。

約20年前から予想を続けている「NBAドラフト・ドット・ネット」は、5月15日時点で八村についてホークスの10位指名を予想。CBSスポーツも1巡目指名が確実と分析し、八村の富山時代の生い立ちから今に至る競技人生を詳細に解説。「スター性があり、才能が開花している。名前の塁は野球のベースに由来する」と紹介した。

5月14日にはプレーオフを逃した14チームによる指名順を決める抽選会が行われ、ペリカンズが全体1位指名の権利を獲得。各メディアは全米大学選手権(NCAAトーナメント)を沸かせた有力選手の行方を予想する記事であふれる。ドラフト指名を受けてNBA入りする日本人が誕生すれば、日本バスケットボール界も新たな時代を迎えることになるだろう。

身長203cm、東京五輪のエース

新世代の旗手でNBAも注目するスター候補に成長した八村は、グローバル時代を迎えたスポーツ界を象徴する1人でもある。「日本」という枠組みを超え、2020年東京五輪でもエースとして主役の一翼を担う。

西アフリカのベナン人の父と日本人の母の間に富山で生まれ、宮城・明成高を卒業後、米国に渡った。203センチ、104キロの恵まれた体格を生かした強烈なダンクシュートやブロックを武器に強豪大のエースとして全米を熱狂させてきた。全米バスケットボール記者協会や全米コーチ協会などでベスト5選手に選ばれトップクラスの存在。世界が熱狂する夢の舞台で、八村の笑顔が輝く瞬間が近づいている。

八村 塁(はちむら・るい)ベナン人の父と日本人の母を持つ。富山・奥田中時代にバスケットボールを始め、宮城・明成高で全国高校選抜優勝大会3連覇を達成。U―17(17歳以下)世界選手権で得点王に輝き、強豪の米ゴンザガ大へ進学。3年生の今季は1試合平均19.7点、6.5リバウンドを記録。チームの全米大学選手権(NCAAトーナメント)8強入りに貢献し、スモールフォワードの最優秀選手に選出された。日本代表として今年のワールドカップ(W杯)や来年の東京五輪での活躍も期待されている。203センチ、104キロ。富山県出身。21歳。