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【Wリーグファイナル展望】前回王者JX-ENEOS vs.初優勝を狙う三菱電機

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Ⓒマンティー・チダ

ファイナルの顔合わせ 11連覇を狙うJX-ENEOSと初優勝を目指す三菱電機

Wリーグはセミファイナルが終了し、結果は以下の通りとなった。

JX-ENEOS(2勝)(81-54,80-60)デンソー(2敗)
三菱電機(2勝1敗)(81-58,65-75,75-71)トヨタ自動車(1勝2敗)

よって、ファイナルに進出する2チームは11連覇がかかるJX-ENEOS、初優勝を狙う三菱電機である。JX-ENEOSは、2試合とも失点を60点台に抑え、攻撃面でも#10渡嘉敷来夢ら計4選手が2試合連続で2桁得点を獲得し80点台と安定した戦いぶりを見せた。

三菱電機は、レギュラーシーズンで勝てなかったトヨタ自動車相手に、第1戦を大差で勝利したのが大きかった。トヨタ自動車#0馬瓜エブリンに21得点を許したものの、スタート5で出場した5選手が全員2桁得点を達成。トヨタ自動車を58点に抑えたことも大きかった。

【JX-ENEOS】連覇記録は気にせず油断をしないこと

JX-ENEOSは、レギュラーシーズンで残してきた勝率、平均得点、平均失点通りのパフォーマンスをプレーオフでもしっかり示す。セミファイナルの記者会見でキャプテン#10吉田亜沙美が「11連覇とかよく言われるけど、自分たちのバスケットをするだけ」と話す通り、選手は連覇に対して特別な意識を持っておらず、「シーズンの優勝を目指す」のみのようだ。

#10渡嘉敷来夢、#52宮澤夕貴といった選手たちが、しっかり得点やリバウンドに絡むことはもちろん、要所で出場する選手たちがしっかり繋ぐこと。そして、司令塔#1藤岡真奈美が、緊張感のあるファイナルで出だしからチームをコントロールできるのかも注目だ。皇后杯決勝のように流れを悪くして、シックスマン吉田の出番が早くなるようだと、厳しい展開も考えられる。

三菱電機とはレギュラーシーズン2勝。相性も抜群だ。過去のシーズンを遡ると、14-15シーズンから5シーズンに渡って負けていない。その中でも、死角があるとすれば「油断」だろう。レギュラーシーズンで負けた2試合は「気の緩みがもたらした」と吉田はコメントしている。そして、いずれも1Qでリードを許していた(対富士通8-27、対トヨタ自動車16-20)。出だしからいつも通りのディフェンスから走るバスケを展開できれば、11連覇も大きく近づく。

【三菱電機】初優勝で新たな1ページを加えたい

三菱電機は、トヨタ自動車相手に第1戦は圧勝したものの、第2戦は後半にリードを許し敗戦。第3戦は、3Qまで拮抗した試合展開となり、4Qでリードを奪いファイナル進出を決めた。

しかも第3戦は、スタート5に出場した5選手がほぼフル出場。そのうち4選手が2桁得点をあげた。三菱電機はこの試合にすべてを賭けて、レギュラーシーズン2位のトヨタ自動車からアップセットを達成したのだ。

三菱電機としては、まず第1戦をしっかり勝ち、リバウンド争いで優位に立ちたい。JX-ENEOSには渡嘉敷や成長著しい#33梅沢カディシャ樹奈が控えているが「リバウンドは気持ちが大事」とキャプテン#9小菅由香がセミファイナル記者会見で語った。気持ちに左右される部分が大きく、ポイントゲッター#45渡邉亜弥をはじめ、各選手が自分たちの役割に徹することができるのかも重要だ。

更には、セミファイナル第3戦でキーポイントになった「我慢の時間」をどう乗り切ることができるのか。2戦先勝方式であっても、必ずそのような時間はやってくる。我慢しきれずファウルトラブルや、ターンオーバーをしてしまうと、JX-ENEOSに主導権を渡すことになる。出だしから走ってくるJX-ENEOSの勢いをまともに受けずに、守備をしっかりやってディフェンスリバウンドをもぎ取ることが「初優勝」への近道だ。

三菱電機としては、セミファイナルの展開から考えて、第3戦まで持ち込みたいところだ。これまでJX-ENEOS(ジャパンエナジー・JOMO時代も含む)、富士通、シャンソン化粧品しか優勝経験チームが無い中、王者に勝利してWリーグに新たな1ページを加えたい。