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【Wリーグセミファイナル記者会見】4チームのキャプテンが明かす胸の内

Wリーグ,セミファイナル,吉田亜沙美,高田真希,三好南穂,小菅由香,Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

セミファイナルに勝ち上がった4チームのキャプテンが一堂に

第20回Wリーグは、レギュラーシーズン全日程が終了し、プレーオフへ突入。そして、秋田県立体育館で2月16日にセミクォーターファイナル、17日にクォーターファイナルが開催された。

セミクォーターファイナル、クォーターファイナルを通じて、勝ち上がってきたのは、三菱電機(レギュラーシーズン3位)とデンソー(レギュラーシーズ4位)。この2チームにJX-ENEOS(レギュラーシーズン1位)、トヨタ自動車(レギュラーシーズン2位)が加わってセミファイナルが行われる。

セミクォーターファイナル、クォーターファイナルは1発勝負だが、セミファイナルからは、2戦先勝方式に変わり、リーグ戦とはまた違った緊張感が漂うことは間違いないだろう。

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先日、セミファイナルに勝ち上がった4チームのキャプテンが一堂に会し、この後の戦いに向けて意気込みを語った。順番に紹介していく。

「藤岡麻菜美と梅沢カディシャ樹奈に期待したい」JX-ENEOS・吉田亜沙美

11連覇を目指す王者JX-ENEOSにとって最初の関門は、デンソーである。レギュラーシーズンでは、JX-ENEOSが2勝しているが、キャプテンの吉田亜沙美は「高田選手を中心に抑えていきたい」とまずはデンソーのキャプテン高田真希を警戒した。

JX-ENEOSは、レギュラーシーズンで20勝2敗と好成績を残したが、皇后杯6連覇達成後に、富士通とトヨタ自動車に黒星を喫していた。吉田は「この2敗は気の緩みによるもの」と理由をはっきりと語った。

そして、期待したい選手に「藤岡(麻菜美)と梅沢(カディシャ樹奈)」と挙げた。この2選手は、今季からスタート5に名を連ねている。皇后杯決勝で流れが良くない時に、藤岡に代わって吉田がコートに入り流れを変えていく場面もあったが、リーグ戦が進むにつれて、徐々に解消されているように見えていた。

しかし、吉田は同じポイントガードとして、藤岡には厳しい言葉を並べる。

「出だしのところで、もう少し自分たちのリズムを作れるような試合運びをしないといけない。ポイントガードとして、ゲームメイクが彼女の課題だと思う。セミファイナル、ファイナルに向けて、ポイントガードとしてのリーダーシップが必要不可欠であり、期待している。藤岡は今、悩みながらバスケットをしていると思うし、なかなかフィットせずに歯痒い想いでやっているのは見ていてわかる。彼女自身で乗り越えないといけない大きな壁だ。でも、期待を込めて、やってくれるのではないかというのはある」と厳しいながらもエールを贈った。

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梅沢に関しても「伸び代はたくさんある。JXの軸となるような選手にならないといけない」と気持ちを込めた。藤岡と梅沢を中心に据えて、Wリーグ11連覇を達成できれば、今後も強いチームを維持できることは可能だ。セミファイナル、ファイナルというより、藤岡と梅沢の成長に期待を膨らませているようだ。

「気持ちの持ち方が大事」デンソー・高田真希

デンソーのキャプテン高田真希は「スタート5の選手に元気がないのが気になる」と会見でコメントしていた。その理由として「気持ちが足りていない。消極的なプレーや、パスを探してしまい、シュートを打てるところで打てない」と話す。積極的なプレーや気持ちが求められる。

セミファイナルの相手、JX-ENEOSはディフェンスからブレイクを狙っていくチームだ。だからこそ、より一層気持ちが大事になる。

「(東京羽田に勝った後)ほっとしたという気持ちとこのままではだめだという想いがある」と高田はクォーターファイナルの反省をし、続ける。「やられてもいいので、切り替えて次に向かうことが大事」と、『気持ちの持ち方』を重要視する。

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デンソーは、高田が得点源となっている。吉田からもマークされているように、得点源が1人だと的を絞られやすい。「取れるところで取ることは重要。1人に集中していると相手に的を絞られやすい。ほかの選手も得点に絡んでほしい」と高田は考えている。

いかにデンソーは的を絞らせないバスケットを展開できるか。それは「気持ち」の持ち方がカギになりそうだ。

「経験を生かしてセミファイナルに臨みたい」トヨタ自動車・三好南穂

「新しいバスケスタイルになり、去年は競った試合を落とす場面もあったが、今年に入って競った試合を勝ち切ることが何回もできた。選手も自信を持ってできるようになったので、良い状態でセミファイナルに臨める」

トヨタ自動車キャプテンの三好南穂は、手ごたえを感じながら会見に臨んでいた。チームとして、大きな分岐点となったのは、皇后杯決勝。出だしからJX-ENEOSにペースを握られたままで終わってしまい、タイトルを奪取することはできなかった。しかし、レギュラーシーズンの最終カードとなったJX-ENEOSとの試合は1勝1敗で終える。DAY1は最終的には敗れたものの、エース馬瓜エブリンの得点が伸びなくても、周りの選手がカバーして前半終了時は同点に追いついていた。王者相手でもしっかり試合を作ることができたのは大きな収穫だった。

「皇后杯を終えた段階で、どの選手もJX-ENEOSに対抗できるなんて考えられなかった。しかし、リーグ戦の結果で『行ける』と感じることができた。監督からも『俺は勝てる。信じている』と言われていた。この結果で、チーム全員が『勝てるのではないか』という自信を持てるようになった。そういう意味でも、JX-ENEOSといい勝負ができたのは大きかった」と三好はチームが大きく変わってきたことを強調した。

「(馬瓜)エブリンや長岡萌映子が得点源だが、仮に2人が0点であっても、点数と同じぐらいにリバウンドなどで良い仕事をしているときは、しっかりチームに貢献できていることを伝えるようにしている」と話すように、他の選手が得点をするか、2人(馬瓜エブリン、長岡萌映子)が守備やリバウンドで頑張れば、得点をあげるのと同じぐらいの価値をチームにもたらす。

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JX-ENEOSとのリベンジの前に、三菱電機とのセミファイナルが控える。「ここまでの経験を生かして、セミファイナルに臨みたい」と宣言した三好は「手応え」を十分に感じながら、セミファイナルに向かう。

「どれだけ足を動かしてボールを掴みに行けるか」三菱電機・小菅由香

トヨタ自動車の相手は、こちらもサイズではトヨタ自動車の上になる三菱電機だ。昨季は6位に終わったが、今年はレギュラーシーズンを4位で終えて、クォーターファイナルもトヨタ紡織を下し、セミファイナルの舞台に上がってきた。

しかし、キャプテンの小菅由香は内容に満足していなかった。「勝てたことにほっとしたが、トヨタ紡織の中心選手である川原(ゆい)選手が本調子でなかったのに競ってしまったという自分たちの弱さが出てしまった」と反省する。

会見の中で小菅は、マークする選手として馬瓜エブリンの名前を挙げた。「1対1の得意な選手と思うので、ボールを持たせる前はもちろんのこと、持たれた後に周りの選手が、どれだけエブリンのドライブを止めることができるかが大事。エブリンが持ったとなれば、5人がエブリンを見ているというぐらい守っていきたい」と馬瓜エブリンに対しては、コート内の全員で止めに行くつもりだ。

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そして、三菱電機はトヨタ自動車よりサイズが大きい。だからこそリバウンドもカギになってくる。「どれだけ足を動かしてボールを掴みに行けるかだと思う。リバウンドは気持ちの部分もあるので、負けないようにしたい」と決意を述べた。

身体能力の高い選手が揃うトヨタ自動車に対して、リバウンドで優位に立ちたい三菱電機。躍進からの勢いでファイナルを狙う。