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【Wリーグ】東京羽田、ホーム開幕戦は日立ハイテクに土壇場で逆転負け

2018 11/14 15:00マンティー・チダ
東京羽田ヴィッキーズ,Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

【前半】本橋菜子が出だしから8得点 試合を優位に進める

4カード目のWリーグ。大田区総合体育館で日立ハイテク クーガーズ(以下日立ハイテク)とホーム開幕戦を迎えた東京羽田ヴィッキーズ(以下東京羽田)は、先日スペインで開催されたワールドカップ日本代表に#12本橋菜子、昨年50年ぶりに銀メダルを獲得したユニバーシアード日本代表に#25津村ゆり子が選出された。今後、躍進が期待できる東京羽田のホーム開幕戦に密着した。

試合の始まりは東京羽田ペースで、本橋がミドルレンジからの得点や3pシュート2本を入れるなど、一人で8得点を稼いだ。出だしのアドバンテージを生かして優位に立つ東京羽田は、#87奥田花の3p、#8丹羽裕美の3連続得点でリードを広げた。終盤には丹羽が速攻から得点をあげるなど、21-10で1Qを終了する。

2Qに入っても東京羽田が主導権を握り、丹羽、#7秋元千那実らが得点を重ね17点リード。残り2:43、日立ハイテクはタイムアウトを請求すると、#28北村悠貴の3pを皮切りに反撃開始。東京羽田の攻撃がシュートで終わらない中、日立ハイテクは再び北村の3pで差を詰めていく。終盤、北村はフリースローを含め4点を稼ぎ、前半終了時には8点差まで詰めた。

東京羽田ヴィッキーズ

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【後半】日立ハイテクに4Q終盤に逆転 ホーム開幕戦黒星に

後半に入り、東京羽田は本橋のミドルシュートから優位に進めるが、日立ハイテクも徐々にペースを掴んでいく。#7八木香澄がフリーでパスを受けて3pを沈めるなど5得点を稼ぎ、一気に6点差まで詰める。その後八木のオフェンスファウルから、再び東京羽田に流れは移るも、#21ヌンイラ玲美が3pも含め7得点で一気に4点差まで詰める活躍を見せた。東京羽田はタイムアウトを請求し、日立ハイテクに行きかけた流れを止め、7点リードで3Qを終える。

4Qを迎え、両チーム互角の戦いを続ける中、東京羽田・本橋が3pを沈め9点リードとしたところで、日立ハイテクは残り3:25タイムアウトを請求。9点差を追いかけフロントコートからプレスディフェンスを仕掛けた日立ハイテクは、#12北村悠貴の3pなどで62-69とし、さらに追撃態勢を強める。

東京羽田のパスミスからアウトオブバウンズでボールを獲得すると、北村が得点を決め5点差に。何とか流れを止めたい東京羽田だったが、#77柳瀬さつきがドリブルの際につまずいてフロントコートにボールを運べず、8秒バイオレーションとなり、相手にボールを献上。すると#13鶴見彩がバスケットカウントを達成し2点差に。

東京羽田の攻撃に移ると、ヌンイラがブロックショットを炸裂。続けて、東京羽田のパスミスから西沢がレイアップを入れて同点に追いついた。東京羽田のタイムアウト請求後は、互いに2点ずつ重ね71-71となる。迎えた残り11.7秒、タイムアップぎりぎりで日立ハイテク・西澤のレイアップが決まり、71-73に。敗れた東京羽田はホーム開幕戦を勝利で飾れなかった。

「最後まで粘りを発揮しヴィッキーズらしさを出していきたい」本橋菜子

東京羽田のホーム開幕戦は、最終Qの終盤までは主導権を握っていながらミスがきっかけで一気に逆転を許し、悔しい結果となった。主将の本橋は「お互いに3勝3敗。負けられない試合だった。最近出だしが悪い中、勢いよく一歩前に進めたのは良かったが、最後まで続かなかった。大切なところでミスがあり、リングまで攻めきれなかったのが悔しい」と振り返った。

終盤目立ったパスミスについては「相手もダブルチームから(パスミス)を狙ってくるので予測はしないといけない。パスもしっかり出す意識、ミートする方もしっかりもらう意識がすごく薄いので、一つ一つのボールを大切に扱っていきたい」と分析。結果的に現在3勝4敗となったが、今季は苦しくても最後まで粘ることができ、少しずつではあるが自分たちらしいバスケットができると手応えを感じているようだ。

ワールドカップ日本代表に選出され、一回り大きくなった本橋は「自分一人では戦えない。全員でコミュニケーションをとりながら、ヴィッキーズらしさを出していきたい」と主将らしくコメントを締めくくった。まだ上位チームとの対戦を残しているため、課題を克服できれば互角の勝負ができるだろう。

東京羽田ヴィッキーズ

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「ディフェンスから自分が先頭で走って得点したい」津村ゆり子

今シーズン、東京羽田に期待のルーキーが加入した。昨年、東京医療保健大学でインカレを制しMVPを獲得した津村ゆり子だ。彼女の持ち味は、走り回ってリングを果敢に狙い、アウトサイドからのシュート力。昨年のリーグ戦、インカレでもアウトサイドからここ一番で3pをねじ込む勝負強さがあった。

津村はルーキーとして今季から東京羽田に加入し、リーグ開幕戦から主力の一人として出場を続けている。試合を振り返り「チームとしては日立ハイテクに2勝することが目標だった。出だしが良かっただけに継続できずに勝ち切れなかったのは悔しい」と言い、自身の得点が伸びなかった点についても「(本橋)キャプテンに負担をかけず、自分がボールを受ける前に、勝負できるかどうかの見極めを大事にしたい」と課題を挙げた。また、本橋同様に継続できないとも話しており、「相手の流れをすぐに止められるかがすごく大事。相手が乗った時に止められなくて、ダラダラ行ってしまうことがある」と話している。

東京医療保健大学時代はチーム方針で選手交代が頻繁に行われていたので、どこで出場するのかも把握できていた。東京羽田へ加入後も起用方針が「よかったら出続けるし、自分次第」と話しており割と自由にやらせてもらっているようだが、「学生時代は如何に短い時間で結果を出せるかを問われていたので、コートに入ったら最初から全力で飛ばせた。しかし、東京羽田では時間が読めない。でもそれが普通かな」と口にしており、まだ慣れていない部分もあるようで無意識にセーブしてしまうことがあるようだ。


東京羽田ヴィッキーズ

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「学生の頃と比較すると、それほど違和感はない。ただもっと走って走ってというのが出せればよかった。ディフェンスで頑張って、チームとして速攻が出た時に、自分が先頭で走って得点をしたい」と意欲を示した津村は、東京羽田の顔になるために一歩ずつ成長の階段を上っていく。