崖っぷちのWindow3に最強戦力加入
昨年11月から始まったワールドカップ アジア地区1次予選。FIBAが2019年に中国で開催されるワールドカップからホーム&アウェイでの予選形式を採用し、1年以上かけて出場国を決めることになった。
1次予選でオーストラリア、フィリピン、チャイニーズ・タイペイと同じブロックに入った男子日本代表は、11月のWindow1、2月のWindow2と全4試合で全敗。最後のWindow3を残して最下位となり、上位3チームが進める2次予選進出が危ぶまれていた。
また、2020年の東京オリンピックではバスケットボール競技の開催地枠がFIBAから保証されておらず、チームに課されたのはワールドカップでのベスト16相当の実力を付けること。つまり、ワールドカップに出場できなければ、東京オリンピックの扉も閉ざされるというわけだ。
崖っぷちに立たされている日本には、このWindow3に最強の戦力が加入。今年4月に日本国籍を取得しNBAでのプレー経験がある#22ニック・ファジーカスと、ゴンザガ大に進み今最もNBAに近い日本人と言われている#23八村塁である。
内外角でプレーできる2選手が名を連ね攻撃に厚みが加わった日本は、6月29日のオーストラリア戦(FIBAランキングはアジア1位の10位)で大金星を挙げた。その後チャイニーズ・タイペイにも40点差を付け土壇場の状態から連勝し、アジア地区2次予選に進んだ。
これまでの4戦と、ファジーカス&八村を加えた2戦では明らかな変化が多く見られた。まずはペイント内の得点。他国に比べて高さとフィジカルで劣る日本は、リングに近い位置からの得点は少なく、Window2までの総得点282のうちペイント内は96得点。最も確率が高いシュートにも関わらず、割合としては僅か3割を超えるほどしかなかった。
しかし、187得点中5割以上の96得点がペイント内で生まれたWindow3では、得点が増えた分おのずとフィールドゴール%も上昇。50%を切っていた数字は2人の加入で上回り、最終戦のチャイニーズ・タイペイ戦では7割近い数字を記録した。高さを生かしたファジーカスと八村のプレーが貢献していることは勿論だが、ディフェンスがこの2人をマークすることで、他の選手がよりシンプルな形で点を取れるようになったことも要因の1つと言える。