東京医療保健大学が新人戦3連覇の偉業を達成
第8回関東大学女子バスケットボール新人戦が行われ、東京医療保健大学が白鴎大学を87-77で下し3年連続3回目の優勝を果たした。
2年連続の顔合わせとなった決勝では、後半だけで4本の3pシュートを沈めた#21加治屋、新人戦ではゲームキャプテンを務めた#34阿部が勝負所で得点を稼ぐなど、東京医療保健大学が優位に試合を進めた。4Qに白鴎大学は、#5神﨑らが果敢にドライブでインサイドに入る動きを見せ、点差を詰めていくが、東京医療保健大学が最後は逃げ切り3連覇を達成した。
新人戦は春の選手権や秋のリーグ戦とは違い、下級生が中心になって試合を進める。下級生をしっかりチェックできる良い機会でもある。今回は春に大学生になったばかりの1年生に注目をしてみた。順を追って紹介しよう。
「ガードとしてチームを引っ張って行くことが大事」東京医療保健大学・木村亜美
新人戦3連覇という偉業を達成した東京医療保健大学。中心選手の一人が1年生の司令塔、#12木村亜美。決勝だけで11本のアシストを数え、大会を通しても18本決めてアシスト王にも輝いた。守備においても、10本のスティールを獲得した。
東京医療保健大学と言えば、昨年の新人戦チームキャプテンを務めた岡田英里、日本代表候補にも選出されている永田萌絵などポイントガードは充実している。今大会を通じて「やるべきことをする。ガードとしてチームを引っ張っていくことが大事だったので、しっかりできた」と振り返る。下級生でも物おじせず試合に臨んだことが伺える。
「自分の持ち味はアタックとシュート。一から出直したい」と話す木村。秋のリーグ戦で、上級生に割って司令塔のポジションに座ることができれば、チームとしても多彩な攻撃ができるし、タイムシェアの選択肢も増える。
決勝戦後のインタビューで恩塚亨監督が「インカレ連覇という事は考えずにじっくりやっていきたい」と今後の抱負を述べた。春の悔しさを晴らすためには、下級生の成長がもっとも大事な事なのかもしれない。
「得点王を狙っていた」白鴎大学・小笠原彩香
2年連続の決勝戦進出で、東京医療保健大学の前で涙をのんだ白鴎大学。佐藤智信監督は「3pシュート12本やられているので、アウトサイドの守り方をもっと考えないといけなかった」と敗因を示したが、秋のリーグ戦、インカレに向けては「計算できるようになった」と手応えも示した。
特に1年生ながら新人戦得点ランキング2位で終えた#13小笠原彩香は大きく存在を示した。「得点王を狙っていた」と小笠原は大会前の目標を話してくれた。「同じチームのソハナさんが誰よりも多く得点を獲得していたので、抜かしたかった」と悔しさをあらわにした。
「大学のバスケはあたりも違う、スピードも違う」と適応する難しさもあった。秋に向けては「もっと点を稼ぐこと、ターンオーバーを減らすこと、激しく守備をすること」を目標に掲げた。スコアラーがもう一枚増えると得点面で大きく期待できる。成長を見届けたい。
「4番ポジションもできるようにしたい」白鴎大学・山下詩織
白鴎大学は、高さを武器にするチーム。#20シラ ソハナ・ファトー・ジャが大車輪の活躍を見せたが、上級生の佐坂樹も含め、インサイドの選択肢は増やしておきたいところだった。身長185cmの#10山下詩織は、持ち味の高さを存分に披露した。リバウンドランキングも全体7位。仮にソハナがファウルトラブルになっても、リバウンドで計算できる選手になりそうだ。
決勝戦後に話を伺うと開口一番「悔しい」と話したうえで、「3pシュートを何本も入れられたので守備はしっかりやらないといけない」と守備面で課題を挙げた。ソハナとツインタワーを形成したが、「ソハナさんとのプレーで被ってしまうことが何回かあった。違うポジションでどのようにやれるかが大事」と振り返った。これまではセンターポジション(5番ポジション)がメインだったが、「4番ポジションもできるようにしたい」と意欲を示す。
リバウンドに関しては「ボックスアウトを怠った時もあったので、ボックスアウトをしっかりした上でゴール下に飛び込んでいきたい」と課題を口にする。高さを生かしたチーム作りをする白鴎大学にとっても、大きな戦力であることは間違いないようだ。
※ボックスアウト リバウンドに入ろうとする攻撃の選手に対して自分の背中部分を相手の胸部分に密着させて相手の動きを封じること
山梨学院大学2年連続のベスト4、原動力となった1年生コンビ、山本美空・浅野瑛菜
残念ながら4位に終わったものの、大会を通じて印象を大きく残したのは山梨学院大学だった。その中でも2人の1年生は、チームの躍進に欠かせない選手となった。
まずは#10山本美空。どこかで突出したものはなかったが、彼女がコートでコントロールする時とそうでない時で違うチームにも見えた。そして、リバウンドが取れない時間帯が続いた場面もあった。「練習中でも3年生相手にリバウンドをたくさん取られて、意識が出来ていなかった。試合でもできていなかった。練習からしっかり頑張りたい」と話す。
大会を通じて「通用した部分もあった」としたが、「しっかり止められるようにしたい」と課題も挙げた。「チーム内で切磋琢磨していきたい」と目標を掲げた。
もう一人は#6浅野瑛菜。山本と同じく3戦すべてで先発出場し、インサイドの選手として活躍した。「3戦通して自分のプレーができなかった」と反省の弁を述べたが、「3位になれる機会を逃し悔しいが、チームとしてやるべきことをやってきたのでベスト4になった」と続けた。
昨年の新人戦も3位に飛び込み、2年連続でベスト4を達成した。春の選手権もベスト4となり、チームとしては上げ潮ムードになってきた。秋は2部Aリーグで戦うが1部昇格となると、来年の春はさらに充実した姿を見せてくれるだろう。
「自分の仕事はリバウンド、積極性を忘れてはいけない」筑波大学・出原菜月
準々決勝で山梨学院大学に敗れたものの、順位決定戦で勝ち上がり5位で終えた筑波大学。1年生の#72出原菜月は敗れた筑波大学戦以外、全て2桁得点とした。敗れた筑波大学戦も9得点なので、出場試合全て2桁得点を達成したと言っても過言ではない。
出原は、チームの大エース佐藤由璃果とインサイドのポジションを担当していた。「優勝を狙っていたので、山梨学院大学に敗れて悔しい気持ちと、悔しさをこの2日間で出そうと思っていたので最後勝利してよかった」と大会を振り返る。5位決定戦では出原のオフェンスリバウンドから流れを掴み、3pシュートなどで引き離した。「自分の仕事はリバウンドを取る事なので、積極性を忘れてはいけない」とリバウンドに対する意識について話した。
先輩の佐藤由璃果については「苦しい時にシュートを入れてくれて、自分自身シュートが入らない時。リバウンドを力強く掴んでくれることは勉強になる」と話す。