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ウェストブルックNBA史上初記録 2季連続平均トリプルダブル達成

2018 5/3 10:00SPAIA編集部
ラッセル・ウェストブルック
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Ⓒゲッティイメージズ

トリプルダブルの達成者は2人のみ

NBA史上初の記録が誕生した。その記録とは、2季連続シーズン平均トリプルダブル。達成したのはオクラホマシティ・サンダーのラッセル・ウェストブルックだ。この記録の凄さを、歴史と数字から迫っていく。

はじめに、トリプルダブルとはどのような記録なのかを説明しよう。トリプルダブルとは1試合で得点、リバウンド、アシスト、スティール、ブロックというバスケット主要5部門のスタッツにおいて、3部門以上で2ケタ記録をあげることだ。トリプルダブルはほとんどの場合、得点、リバウンド、アシストの3部門で達成される。

トリプルダブルは、そう簡単に出せる記録ではない。一番記録が出やすい得点、アシスト、リバウンドの3項目でも、記録しやすいポジションがそれぞれ異なる。そしてスティール、ブロックに関しては2ケタ記録が出ること自体がまれで、1シーズンで一度あるかないかのレベルである。

今シーズン、トリプルダブルを記録した回数が多い選手は以下の通り。

トリプルダブル達成確立

 

1位はウェストブルックで回数は25回。約3試合に1回達成している。2位のレブロン・ジェームズが18回、3位のベン・シモンズで12回という結果だった。

今回ウェストブルックが達成した平均トリプルダブルとは、シーズン平均でトリプルダブルの成績を残すことである。確率的には3試合に1回程度であったが、それぞれ20近い数字を出した試合もありシーズン平均トリプルダブルを達成した。

ここまででも十分すごいのだが、ウェストブルックは昨シーズンに続き2シーズン連続での平均トリプルダブルを達成したのだ。これはNBA史上初の記録であり、今後破られることがないであろう大記録だ。なぜならば、ウェストブルック以外に平均トリプルダブルを達成した選手は、約50年前に活躍したオスカー・ロバートソンのみ。シーズン平均トリプルダブル自体、昨シーズンにウェストブルックが達成するまでは、再現不可能な記録と言われており、これを2シーズン連続で記録する選手が現れるなど、誰も予想していなかった。

昨シーズンと今シーズンの成績を比較

シーズン平均トリプルダブルを達成した、今季のウェストブルックの成績はどのようなものだったのだろうか。昨季の記録を交えて見てみよう。

ウェストブルック成績比較

 

どのスタッツもNBAトップクラスの数値である。今季はチームにポール・ジョージやカーメロ・アンソニーなどオールスター級の選手が加入し、得点はかなり減少した。しかし、昨季と比べて点取り屋が2人増えたにもかかわらず、平均25得点、10アシストを記録したところはさすがと言っていい。なにより平均トリプルダブルを達成するということは、本来複数の選手たちが担当するポジションを一人で行うため、体力的には他の選手たちの何倍も疲労する。それを昨シーズン、今シーズンの連続で達成しており、基礎体力もズバ抜けている。

NBAで最も優れたオールラウンダーと言えば、ウェストブルックの他にもレブロン・ジェームズやケビン・デュラントなど様々な意見が分かれている。しかし、数値だけでみれば彼がNBAでNo.1のオールラウンダーで決まりではないだろうか?

3シーズン連続の平均トリプルダブル達成も期待できる

2シーズン連続平均トリプルダブルを達成したウェストブルックには、3シーズン連続の平均トリプルダブルが期待されている。結論から言えば、私は十分に来シーズンも達成できると思っている。なぜならウェストブルックは現在、選手としての全盛期を迎えているからだ。

ウェストブルックのこれまでの成績を見ると、MVPを取った昨年がピークである。しかし、これは自チームに自分以外のスターがいなかったからである。今季はジョージやアンソニーといった”オールスター”級の選手が加わっており、チームはウェストブルックに頼らないオフェンスも可能となった。実際にシーズン序盤では、昨年のようにウェストブルックからのオフェンススタートではなく、2人にボールを持たせてからオフェンスを始めていた。

もしも、ウェストブルックが自分の好きなようにプレイをしていたら、得点やアシストはもっと伸びていた可能性が高い。

リバウンドも同様だ。それは今シーズン終盤に見せたリバウンド数に表れており、シーズン最後の5試合は、この偉大な記録のためと言わんばかりに、リバウンド数を稼いでいた。それぞれ15、16、7、18、20本のリバウンドを記録し、平均15.2本のリバウンドで自身のスタッツを押し上げた。このようにウェストブルックは、狙えば簡単に驚異的なスタッツを残せる力のある選手だ。

彼は現在29才。バスケット選手の全盛期が28~32歳くらいと言われており、その気になればシーズン平均トリプルダブルという記録は、3~5年連続という期間に渡ったとしても不思議ではない。しかし、いくら歴史に残る活躍を見せても、チームは周囲の期待ほど勝てていないのが現状だ。ウェストブルックが超人的な活躍を続ければチームは勝てるのか。それとも、よりチームプレイに徹して数字に出ない部分で貢献をしなくてはならないのか。ウェストブルックは近い将来、その答えを出さなければならないだろう。