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リーグ首位を走るヒューストン・ロケッツ 今季好調のカギは?

2018 4/2 11:58OSはーでん
ジェームズ・ハーデン クリス・ポール
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Ⓒゲッティイメージズ

クリス・ポールとジェームズ・ハーデンの共存は成功

現地2017年6月28日NBAに激震が走った。クリッパーズに所属する無制限FAのクリス・ポールが、ロケッツの7選手+ドラフト1巡目指名権+金銭とトレードされたのだ。同じテキサス州に本拠地を構えるサンアントニオ・スパーズが、移籍先の最有力とされていたが、ポールが選んだのはジェームズ・ハーデン率いるロケッツだった。

そんなロケッツへの移籍に、周囲は不安視する声も少なくなかった。それはポール・ハーデン両者共に、ボールを長く保持しながら試合をコントロールする選手だったからだ。

しかし、NBAが開幕すると全く問題にならなかった。ロケッツのマイク・ダントーニHCが上手く時間配分をして、両選手が好きにプレイ出来るようにコントロールしているのだ。ゲーム開始時はもちろん両選手スタメンだが、ハーデンとポールを一人ずつ使う時間を多く作っている。基本的な二人の起用法は以下の通り。(赤:ハーデン・ポール 黄色:ハーデンのみ 青:ポールのみ)

ポール、ハーデン起用法

ⒸSPAIA

この起用法によって、両選手共に自分がゲームをコントロールできる時間が多く、ボールシェアの問題をクリアしている。また、両選手が一緒に出場している間は、ハーデンが優先的にボールを保持。ポールはハーデンのリズムが悪くなったり、試合の流れを見て自分で仕掛けるタイミングを見計らう。ここら辺の配慮は以前から所属しているハーデンを尊重、そして認めているということだろう。

ポールの加入によって、突出して数字に表れている部分はないものの、昨年ハーデンがいない時間帯にリズムが崩れやすかった部分をポールがカバーしている。その結果、今季のロケッツは波が少なく、10点差以上をつけての勝利が34勝(03/20時点)と、ゴールデンステイト・ウォリアーズと同率1位の成績を誇っている。

また、試合終盤のボールコントロールなどの「正当なガードとしての役割」を果たしてくれる、ポールの影響はロケッツにとってかなり大きい。

ダントーニHCが着手したディフェンスが一番のカギか

昨シーズンのプレイオフ、カンファレンス準決勝でスパーズに負けたロケッツ。その後、ロケッツのダントーニHCはディフェンスの強化を最優先に挙げた。その成果は見事に今シーズン表れている。

以下は、昨シーズンと今シーズンのディフェンス関係の平均数値を比較したものだ。

ディフェンス平均値比較

ⒸSPAIA

まず平均失点が昨シーズン-4.9ポイント。リーグ全体の平均得点が右肩上がりになっている近年、この数字を出していることはディフェンス強化の成功を物語っている。この失点減少の要因は、相手のシュート本数を抑えられていることが挙げられる。

試合を見ていると、昨シーズンよりもヘルプ・カバーディフェンスの意識がかなり高くなったように思える。その証拠に、被FG本数は昨年と比べて1本以上(2点分)減少。また、被フリースローも2.4本減少していることから、「ミドルレンジおよびインサイドで、ファウルをせずにいいディフェンスが出来ている」ということが言えるだろう。

今シーズン開始前、ロケッツはポールのほかにPJ・タッカー、ルーク・バー・ア・ムーテといった選手を獲得。ディフェンスに献身的な選手を入れ、見事守備力の強化に繋がった。

ハーデンは昨シーズンに引き続きMVP級の活躍。勝負強さも身に付けた

ロケッツの躍進のカギ3つ目は、エースであるハーデンの更なる成長だろう。今シーズンはその得点力に磨きをかけ、平均得点31.0点(2018/03/20時点)で2位のアンソニー・デイビスに3点差をつけて首位を独走。自身初の得点王をほぼ手中に収めている。

今季の得点力上昇の要因は3P。ウォリアーズのステフィン・カリーが怪我がちということもあるが、今季は現在までに2位以下を大きく引き離す240本を成功させNBAトップ、1試合の平均3P成功数でもトップに立っている。また、得意のファウルを受けてのフリースロー本数も、平均8.8本でNBAナンバー1。この2本柱がハーデンの得点力を支えている。

ハーデンはさらに勝負強さも身に着けており、開幕戦の対ウォリアーズ戦での終盤の活躍はこれぞエース! といったものだった。他の試合でも度々クラッチショットを決めており、”本物”のチームを勝たせるエースに成長してきている。ディフェンス面でもチームディフェンスを意識するようになり、昨季までの注意散漫なプレイは相当に減っている。

チーム・自身共に最高のシーズンを過ごしている、といっても過言ではないハーデン。昨季逃したMVPを眼前に捉え、その先にあるNBA優勝への階段を駆け上がれるか。

※成績は全て2018/03/20時点