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冬の高校バスケの大会、ウインターカップの見どころとは?

2017 10/13 10:05Mimu
バスケ
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高校バスケ大会の最高峰と位置付けられたウインターカップ

全国高等学校バスケットボール選手権大会、通称「ウインターカップ」は毎年12月に開催される。高校バスケには夏に行われるインターハイ(総体)や、県の選抜選手たちが出場する国体など、大きな大会が3つほどあるが、このウインターカップは3年生が出場可能な最後の大会となる。
この大会を持って3年生たちは引退してしまう為、各チームの集大成を見せる場でもある。野球でいえば夏の甲子園、サッカーでいえば冬の国立といったところだろうか。

2017年から変更となった点について

2017年からの変更点がいくつかがあるので、そちらも補足しておこう。
2016年までは、全国高等学校バスケットボール"選抜優勝大会"、通称JX-ENEOSウインターカップとして開催されてたが、2017年より選抜大会が廃止され、冬の大会を全国高等学校バスケットボール"選手権大会"として行うこととなった。
選手権大会はもともとインターハイに統合されていたのだが、そこから分離・独立する形で行われることとなる。

ウインターカップという名称は変わらず使用されるが、大会回数などは従来の選手権大会のものを引き継ぐ。2016年のウインターカップが第47回なので、本来なら今年は48回大会になるはずだったのだが、選手権大会の記録を踏襲して、第70回選手権大会として開催される。

年単位で見るべき大会

このウインターカップの見どころは、やはり各選手や各チームがどれだけ成長しているかということだろう。ここまでの大会で結果を残せたチーム、残せなかったチーム。
彼らがどういった課題を持って練習に取り組んできたか、その成果が出てくるのがこのウインターカップなのである。

たしかにウインターカップ単体で見ても十分に面白い。だが、選手たちが限られた時間の中でどれだけ成長出来るかというのも、高校スポーツの奥深さだろう。過去の結果も見ながら、どれだけチームが、そして選手たちが成長してきたかという部分を楽しむのも、この大会の醍醐味である。

3連覇を達成したチームも最初から強いわけではなかった

2006~08年にウインターカップ3連覇を達成した洛南高校を例に見てみよう。2006年当時は、3年生に湊谷安玲久司朱選手(現:横浜ビー・コルセアーズ)、2年生に辻直人選手(現:川崎ブレイブサンダース)、1年生に比江島慎選手(現:シーホース三河)、谷口大智選手(現:秋田ノーザンハピネッツ) といい選手がそろっていた。
だが、決して前評判が高かったわけではなく、優勝候補には全く名前が挙がらなかったほどだ。

そこで、開き直った選手たちが「どうせ注目されないなら思いっきりやってみよう」とプレーした結果、なんとインターハイ準優勝・国体3位という好成績を残すことができたのだ。
ここから徐々に自信をつけていった彼らは「冬はいけるんじゃないか」という手ごたえのもと、地獄のような走り込みと基礎練習をこなし、心技体すべてを鍛えなおした。そしてその結果が見事に実り、ウインターカップで優勝を果たしたのだ。

翌2007年は、辻選手や比江島選手、谷口選手が残留していたこともあり、さらに強くなるだろうと期待されていたが、まさかのインターハイ敗退となってしまった。
しかし、これによってプライドを捨てた選手たちには「冬は絶対に取り返す」とリベンジの気持ちが芽生える。そして向かえた大会では、見事2連覇を達成した。勝利だけでなく、敗北も経験したことで、彼らはさらに強くなっていったのだ。

敗北を知ったチームほど強くなっていく

洛南高校は翌08年もインターハイで敗れながらも、再びウインターカップを制し3連覇を達成している。この「ウインターカップ制覇→翌年のインターハイで敗退」というお約束的な状況も、2017年大会の注目ポイントだ。

2016年は男子は福岡第一がウインターカップ・ウインターカップの2冠、女子は桜花学園が国体も含めて3冠を達成した。だが2校とも、この夏のインターハイで優勝できていない。福岡第一は準決勝で明成高校に、桜花女子は決勝で岐阜女子に敗退しているのだ。

福岡第一には松崎裕樹選手、桜花学園にも山本麻衣選手など、前年に下級生ながら活躍した選手がそのまま残っているという点も、洛南高校と同じだ。この敗退、誰よりも重く受け止めているのは彼らだろう。このウインターカップは、死にものぐるいで優勝を狙いに来るはずだ。この夏の敗退を糧に出来るか。本当のチーム力が試される。

夏の勢いがあるチームも注目ポイント

インターハイで優勝した福岡大大濠、岐阜女子の動向も見どころである。夏の大会を制し、選手たちは大きな自信をつけているだろう。特に岐阜女子は、昨年のウインターカップ決勝で桜花女子に敗れており、インターハイでは、その悔しさからのリベンジ優勝を果たしている。
栄光と挫折を知るチームということもあり、どちらにとっても負けられない大会となるだろう。この大会で有終の美を飾ることができるのは男女1校ずつだ。はたして、最後に笑うのはどのチームになるのだろうか。