ブロック不可能な必殺技「フックシュート」
バスケットが好きな方なら誰でも一度は練習したことがあるであろう「フックシュート」。
ゴールに対して横を向き、肩幅の分だけディフェンスとの距離を離すことでブロックされにくくなるシュートの一つだ。通常のシュートと異なりリリース時にボールを見ることができないので、指先の感覚を練習を繰り返すことで体に染み込ませる必要がある。
ただしマスターすると、身長の低い選手でも高いブロックに対応でき、身長が高い選手ならブロック不可能な必殺のシュートになる。NBAでこれまでフックシュートを武器に活躍してきた選手たちを紹介する。
「スカイフック」を操るカリーム・アブドゥル・ジャバー選手
フックシュートを武器に今でも史上最高のセンターと呼ばれているのが、カリーム・アブドゥル・ジャバー選手だ。1970年・1980年代の20年に渡りNBAの第一線でプレーした。大学生時代には彼の活躍で一時ダンクシュートが禁止され、その時にフックシュートを習得。
218cmという恵まれた体を活かして、ゴールよりも高い位置からシュートを放つため、文字通りブロックが不可能なシュート(ゴールより高い位置の落下するシュートに触れると反則になるため)でスカイフックと呼ばれた。活躍に敬意を表して彼の背番号33は永久欠番となっている。
最低限の動きで決める「ベビーフック」のマジック・ジョンソン選手
スカイフックを操るカリーム・アブドゥル・ジャバー選手からフックシュートを学び、必殺の武器としたのがマジック・ジョンソン選手だ。206cmと長身でありながらPGとしてプレーし、卓越したパスセンスで1980年代レイカーズの黄金期の中心的プレーヤーだ。
彼のフックシュートはベビーフックと呼ばれる種類のシュートで、スカイフックが高い打点からシュートを放つのに対して、ベビーフックは肘を曲げて指先のスナップで放つ小さいモーションなため、試合中にシュートチャンスが多くなる。実際ベビーフックを体得したマジック・ジョンソン選手は1986-1987シーズンでチーム得点王の活躍を挙げている。彼の背番号32も永久欠番になっている。
「ドリーム」のニックネームで愛されたアキーム・オラジュワン選手
1990年代のフックシュートと使い手と言えば、アキーム・オラジュワン選手だ。213cmの高い身長にも関わらず、パワーではなく俊敏な動きや繊細なテクニックを使うプレースタイルから「ドリーム」と呼ばれた。
ゴール前のディフェンス相手に、フックシュートをはじめ、フィンガーロール、フェイドアウェイなど巧みな個人技を組み合わせて使うことで、ディフェンスは何もできずに夢でも見ているかのように棒立ちになってしまうことから彼のゴール前のオフェンスはドリームシェイクと呼ばれたのだ。彼の背番号34も永久欠番となっている。
218cmのテクニシャンセンター ロイ・ヒバート選手
現在も現役のフックシュートの使い手ならデンバー・ナゲッツで活躍するロイ・ヒバート選手が有名だ。身長218cmの長身センターでパワープレイに加えて、広いシュートレンジや繊細なステップなどテクニシャンな一面も持つ特徴的なプレーヤーだ。
とくに、ゴール下でパワープレイやスピンムーブの後に左右両方の手から繰り出される打点の高いフックシュートはディフェンスにとって、非常にブロックするのが難しいシュートだ。
まとめ
1970年代から現役まで、フックシュートを使って活躍した選手たちを紹介した。フックシュートはリリース時に目で見えないので、体得するのに多くの時間がかかるが、ブロックから距離を置いたリリースポイントから放たれるシュートは必殺技になる。かつての名プレーヤー達に倣ってフックシュートをマスターしよう。