全ての能力を兼ね備えるスモールフォワードの概要
スモールフォワード(SF)は、パワーフォワード(PF)と同じ「フォワード」に分類される。ポジションの番号では3番と呼ばれる。攻撃力、さらには得点力が求められることからフォワードの扱いとなっているが、プレーエリアではPFがインサイドなのに対しSFはアウトサイドと役割に違いがある。その意味でSFはシューティングガード(SG)にも似たポジションといえる。スピードと守備力、確かなハンドリングや3ptシュートなどSGが必要とする能力を踏襲しながら、ゴール下へドライブして得点を決める力も持ち合わせているのがSFだ。
つまりバスケットボールにおけるほぼ全ての能力を高いレベルで兼ね備えるのがSFであり、チームのエース的存在となっている。
NBAでも役者揃いのSF。チームのエースを名乗るための条件
「2番寄りの3番」とか「4番に近い3番」などと評されるように、SFは複数のポジションをこなせるだけの高い総合力が求められる。実際、多くのSFが必要に応じてSGを兼任できるだけの能力を持ち合わせている。相手の特徴やチーム戦術などによっても攻撃に比重を置くケースや守備的に振る舞うケース、マルチに対応するケースと様々な役割を担う。
SFとして総合力を発揮するには、身体能力や技術もさることながら高いバスケットIQがなければならない。コートで起きている状況を素早く察知し、瞬時にパフォーマンスへと移行させるには、戦況を俯瞰するような頭脳と判断力が不可欠だからだ。
史上最高のSFとも呼ばれるスコッティ・ピッペン氏が選手時代に見せてきたユーティリティー性とクレバーなバスケットセンス、戦術理解力がこのポジションにおける理想の1つではないだろうか。
多くをこなせるほどチームは強力に!スモールフォワードへの適性
攻守に幅広い能力が問われるSFだが、身長に関してはNBAの代表的な選手でも2m程度とセンターやPFほどのビッグマンは存在しない。しかし得点時には豪快なダンクシュートも決めるし、リバウンドに強いのもSFが持つ特徴の1つだ。つまり優れたジャンプ力が必須要素なのだ。ゴール下の密集地帯に切り込んでいけるフィジカルと勇気も必要だ。
一方で、ゲームメイクに必要なドリブル、パスといったスキルも問われる。ハンドリングや視野の広さに難のあるSFは、戦術によっては役割を全うできずベンチを温めることになりかねない。また卓越した3ptのシュート技術も大切だ。
アウトサイドとインサイドを行き来できる俊敏性や機動力、これらの総合的なプレーを持続できるスタミナやタフなメンタルも適性といえるだろう。
現役NBA選手の代表的スモールフォワード・1
現在、世界最高のスモールフォワードといえばレブロン・ジェームズ選手でほぼ異論はないだろう。SFに限らず、世界最高のバスケットボール選手と言っても過言ではない。
類まれな得点力を含む攻撃センスに目を奪われがちだが、彼の真骨頂ともいえるのが圧倒的なディフェンス能力。センターからポイントガードまで、あらゆるポジションをガードできる守備力は、2015-16シーズンのファイナルでも立証済みだ。
全てのポジションをハイレベルにこなせるオールラウンダーで「ポイント・フォワード」と称されるジェームズ選手。身体能力ではあのマイケル・ジョーダン氏の全盛期すら超越するとも言われている。
現役NBA選手の代表的スモールフォワード・2
得点能力に長けたSFの中でも群を抜く存在がケビン・デュラント選手。2009-10シーズンには21歳の若さで史上最年少のNBA得点王に輝くなど、非凡なスコアラーとして多くのファンを魅了してきた。
206センチという身長に加えて225センチのウィングスパンを持つデュラント選手の3ptシュートは、ブロックが至難といわれるほどの高角度を誇る。また、そのリーチを生かしたブロックショットやリバウンドといった守備も圧巻の一言。
長身ながらガード並みの俊敏性も備え、相手のガードをマークできるなどミスマッチを生み出すことでチームに貢献できるプレーヤーでもある。
まとめ
多彩な能力を併せ持つスモールフォワード。試合を観戦していても、その獅子奮迅な活躍ぶりには目を奪われるものがある。バスケットボールをプレーする方は、競技の醍醐味を満喫する意味でもスモールフォワードにチャレンジしてみてはいかがだろうか。