「元西武組」が大量に……因縁の楽天に苦戦
長いペナントレースを制するためには「天敵を作らないこと」が大事な要素のひとつになる。大きく負け越す相手が1チームでもいるとトータルで貯金を積み重ねることは難しく、また相手の貯金を増やすことを助けてしまい「優勝」の二文字は遠のいていく。
その意味では昨季苦手とした相手との対戦は序盤戦の見どころになるだろう。早い段階で「天敵」の意識を払拭し、良い流れを生み出していきたいところだ。
そこで、苦手チームとの対戦データから天敵攻略の鍵を探っていきたい。今回は昨季リーグ連覇を果たしながら2年続けて日本シリーズ進出を逃し、今季、悲願の日本一を目指す西武を取り上げる。
昨季の西武にとって相性の悪かったチームは楽天。11勝14敗で3つの借金を作り、唯一苦戦したといえる相手だった。
楽天といえば、元西武の石井一久氏が2018年途中からGMに就任し、編成の分野で辣腕を振るっている。石井GMの人脈によるものとは必ずしも言い切れないが、2018年オフの浅村栄斗に続き、今季から涌井秀章、牧田和久と、かつての西武の主力が続々と楽天入りした。
過去には2016年オフに岸孝之、2017年オフに渡辺直人も移籍。西武にとっては、ここ数年ですっかり因縁が深まってしまった相手である。
打者では外崎が不振 チームはカモにしていた則本と立場逆転
昨季の主な選手の対楽天データを振り返り、天敵攻略のキーマンを探っていきたい。
主力打者には打率3割以上が1人もおらず、楽天相手には全体的に苦戦した。その中でチームトップの出塁率.393をマークした秋山翔吾がメジャー挑戦によりチームを去った。天敵攻略という観点からも、不動のリードオフマンの退団は痛い。
特に楽天戦で苦しんだのが外崎修汰だ。シーズン全体では打率.274、OPS.846をマークしたが、楽天戦では打率.209、OPS.616に終わった。浅村、秋山と中心打者が2年続けて退団したチーム状況では、打線における外崎の責任も大きくなってくる。今季の楽天戦では鍵を握る人物といえそうだ。
対峙した楽天投手陣に目を向けると、エース則本昂大が西武打線の前に立ちはだかり、3試合で2勝0敗、防御率2.25と抑え込んだ。
実は、則本は2018年まで西武を大の苦手にしており、2018年は4試合で0勝4敗、防御率9.70。2017年は4試合で1勝2敗、防御率5.76。これまでカモにしてきた相手に立場を逆転されてしまったのは、西武にとって懸念事項だ。
投手陣は浅村に大苦戦 若手の成長でリベンジなるか
投手は先発陣が揃って打ち込まれ、苦しい試合運びを強いられた。加入1年目で12勝を挙げ、救世主と呼べる働きを見せたニールも、楽天戦では2試合で防御率7.59と結果を残せていない。
ただ、楽天戦に7試合先発登板した今井達也をはじめ、本田圭佑、松本航、高橋光成と西武のローテーション投手は若い世代が中心。経験を積んだ若獅子たちの成長に期待となる。
楽天打線から見ると、特に西武投手陣をカモにしたのが浅村だった。昨季シーズン全体で打率.263、33本塁打92打点という成績だった浅村は、西武戦で打率.303、11本塁打、27打点をマーク。本塁打の3分の1は西武戦と、古巣から荒稼ぎした。
かつての自軍の主砲を抑えないことには、天敵攻略の道も開けてこないだろう。
2020年プロ野球・埼玉西武ライオンズ記事まとめ