榎本喜八の記録更新リミットは7月29日
巨人の坂本勇人が、通算2000安打達成に迫っている。坂本は2006年の高校生ドラフト1位で、光星学院高から入団。1年目の2007年9月6日の中日戦(ナゴヤドーム)でプロ初安打を放ち、翌シーズンからレギュラーに定着する。
2008~2019年の間はシーズン通算安打が120本台を下回ったことがなく、昨季終了時点で1884本の安打を積み重ねてきた。直近3シーズンの通算安打は2017年が157、2018年が152、2019年が173。ケガなどでの長期離脱がない限り、今季中に残り116本に迫った2000安打を達成することは確実視される。
2000安打達成は大記録だが同時に坂本には、榎本喜八(東京オリオンズ/当時)が持つ、31歳229日での2000安打達成のNPB最年少記録更新にも期待が寄せられる(日米通算ではイチローの30歳6カ月)。坂本は1988年12月14日生まれ。31歳228日を迎えるのは、7月29日だ。
2000安打達成のXデーは95試合目?
今季は当初、7月18日までに公式戦99試合を行い、19、20日のオールスターゲームのあと、8月13日までの約1ヶ月間にわたって東京五輪のためペナントレースが中断する予定だった。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が3月20日から4月10日以降に延期。その後のスケジュールも不透明な部分が少なくない。坂本が榎本の記録を更新するには、7月29日までに2000安打を達成しないといけないのだが、4月10日までの延期になった17試合がどこに組み込まれるかなど、今後の情勢に左右されてしまう。
本来の日程通りであったなら、坂本が榎本の記録を更新するためには7月18日までの99試合で、1試合平均1.17本のペースで安打を放つことが求められた。直近3シーズンの坂本の1試合安打ペースは2017年が1.11、2018年が1.39、2019年が1.21と手が届かない数字ではない。
オープン戦での起用を見ると、今季も昨季に続いて攻撃型の2番を任される模様で、打席が巡ってくる機会が多いことは有利に働くはず。直近3シーズンの1試合安打ペースを平均すると、394試合、482安打で1.22。この数字を指針にすると今季の95試合目前後が、2000本安打達成のXデーと目される。
外角高めと低めは打率1割台
昨季の投球コース別打率を見ると、外角高めが37打数5安打の.135で最も低い。外角低めも118打数21安打の.178と、極端に外角を苦手としている。外角高めの3倍以上の打数があった外角低めでは、昨季の全123三振の34%にあたる42三振を喫し、これはコース別で最多。主に右投手の落ちる球、外角低めから逃げていく球、左投手であればシンカーなどに苦戦していると推察され、投手にとってはここが坂本攻略のポイントとなる。
内角高めの.212を除き、ほかのコースはすべて打率3割以上を記録するだけに、攻めどころは外角の高低しかない。だがコントロールを誤ると、坂本のホットゾーンだ。
真ん中高めは、ど真ん中の.483に次ぐ.429の高打率をマーク。真ん中低めは打率.343で、全40本塁打中最多の10本塁打が、このコースのボールを弾き返してのもの。投げミスが許されないプレッシャーとも戦わねばならない、投手の苦労が偲ばれる。
続いて、坂本の昨季のカウント別の打率を見る。上位は3-1が.583、2-1が.500、1-0が.429、0-0が.423で、打者有利のカウントではめっぽう強い。その一方で2ストライクを取られると、2-2の.250から0-2の.179まで低下する。
外角低めは打者を追い込んでから、打ち取るためにバッテリーが選択する有用なコースのひとつ。坂本は2ストライクを取られてから、外角低めを攻められて打ち損じ、あるいは空振りしている傾向が見て取れる。
2000安打を目前にしているほどの打者であるから当然、自身の傾向を把握しているに違いない。その上で、今季はどのように対応するのか。そしてストライク先行で早く追い込めた投手は、勝負球で外角低めを攻めるのか、あるいは裏をかくのか。
2020年シーズンが幕を開けたら、坂本vs相手投手が2ストライク後に、外角低めを巡ってどんな勝負を繰り広げるかに注目してみると面白いだろう。
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