阪神には6年連続の負け越し
長いペナントレースを制するためには「天敵を作らないこと」が大事な要素のひとつになる。大きく負け越す相手が1チームでもいるとトータルで貯金を積み重ねることは難しく、また相手の貯金を増やすことを助けてしまい「優勝」の二文字は遠のいていく。
その意味では昨季苦手とした相手との対戦は序盤戦の見どころになるだろう。早い段階で「天敵」の意識を払拭し、良い流れを生み出していきたいところだ。
そこで、苦手チームとの対戦データから各チームの天敵攻略の鍵を探っていきたい。今回は昨季22年ぶりのリーグ2位へ浮上し、勢いに乗っているDeNAを取り上げる。
昨季のDeNAが苦手としたのは阪神だ。広島、中日、ヤクルトの同リーグの3チームに加えて交流戦でも勝ち越したが、阪神には8勝16敗1分けで8つもの借金を作った。球団史上初の本拠地開催となったクライマックスシリーズでもリーグ3位の阪神に敗れ、日本シリーズ進出への望みを断たれている。
DeNAの阪神への相性の悪さは昨季だけではなく、ここ何年も続いていることだ。勝ち越したのは2013年が最後で、昨季までで6年連続の負け越し。2018年は借金9つと、特にこの2年はカモにされている。戦力が充実し前評判の高い今季のDeNAだが、この苦手を克服しないことには頂点の座も見えてこないだろう。
「ポスト筒香」筆頭候補の佐野が阪神投手陣に好相性
DeNAの主な選手の阪神戦でのデータを振り返り、天敵攻略のキーマンを探っていきたい。
打者はメジャー挑戦の夢を叶えて退団する筒香嘉智が好相性だった。4本塁打、16打点、OPS.922はいずれもチームトップと頼りになった。
筒香の穴をどうカバーしていくかが今季のDeNA打線の課題となるが、心配なのは宮崎敏郎。阪神戦では打率.240、OPS.601に終わり、本塁打・打点もゼロと抑え込まれた。ただ、阪神とのクライマックスシリーズでは13打数7安打の打率.538と大暴れ。レギュラーシーズンでは苦戦したが、苦手意識を持ち越すことなくシーズンを終えることができたのは好材料だ。
筒香の後を継ぐ主砲候補としては、今季4年目の佐野恵太が期待されている。昨季の阪神戦は打率.289・OPS.889をマークし、シーズン本塁打5本のうち3本は阪神戦で放ったもの。天敵との相性は抜群だ。今季のオープン戦では4番で起用され、12球団トップの11打点をマーク。ここまでは順調な仕上がりを見せ、「ポスト筒香」としての足場を固めつつある。
投手はセットアッパー候補の三嶋が苦戦
先発投手は投球回上位4人がいずれも防御率3点台と、まずまず安定した投球でゲームメイクの役割を果たした。一方、リリーフは三嶋一輝が10登板で2敗を喫し、防御率も7.45と苦戦。リリーフ転向を成功させ復活した2018年に続き、昨季もリーグ2位の71登板とフル回転の働きでブルペンを支えた右腕だが、チームが苦手とする阪神戦では結果を残せなかった。
現在のDeNAのブルペン状況を見ると、昨季は不動のセットアッパーとして活躍したエスコバーの調整が遅れており、三嶋もセットアッパー候補のひとりに挙がる。より重要な役割を担う可能性も出てきただけに、今季は苦手克服を果たしたい。
2020年プロ野球・横浜DeNAベイスターズ記事まとめ