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「強気」が持ち味のルーキー福田光輝 ロマン溢れるスイングはロッテの希望

2020 3/17 11:00浜田哲男
ロッテ・福田光輝選手ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

高まる存在感、開幕スタメンなるか

ロッテのドラフト5位ルーキーの福田光輝が強烈なアピールを続けている。2月の練習試合でコンスタントに安打を放つなど存在感を発揮。その後オープン戦に入ってからは少々当たりが止まっていたが、3月11日に本拠地ZOZOマリンで行われた日本ハム戦では、右翼席中段にたたき込む衝撃のアーチを放つ。

これで気持ちが吹っ切れたのか、3月14日の中日戦では1番三塁で先発出場を果たすと、広いナゴヤドームの左翼席に飛び込む先頭打者弾。続く打席では、高めの球を思い切りたたいて右翼席まで運ぶ2打席連続弾。全体的に低迷する打線において、その存在感は日に日に増している。

守備位置を途中から遊撃に移すなど、井口資仁監督は福田光をこれまで二塁、遊撃、三塁とフレキシブルに起用。三木亮平沢大河らが故障で出遅れ、尚かつ福田光のユーティリティー性も相まって開幕1軍の可能性は高いものと思われていたが、ここにきて開幕スタメンの座も現実味を帯びてきた。

目下のライバルといえる遊撃の藤岡裕大は、ここまでオープン戦9試合に出場して打率.316とある程度の数字を残しているものの、二塁の中村奨吾が9試合出場で打率.179と低迷。開幕が延期となり、今後各選手の状態がどうなっていくかは分からないが、現段階では、スタメンから起用してみたいと思わせるだけの活躍を福田光は見せている。

強烈な打球を生む完成されたフォーム

大阪桐蔭高校時代はどちらかというと守備型のプレーヤーという印象だったが、法政大学4年時に打撃が開花。春秋連続で3割以上をマークして注目を集め、2019年のドラフトでロッテから5位で指名された。

バッティングフォームについては、左右は違うが巨人の坂本勇人のようにトップ(スイングを始動する位置)を顔よりも高く設定し、バットを立てて構えている。加えて、足を早めに上げることでタイミングをはかり、来た球を迷いなく振り抜く。スイングを始動できる体勢を早めに整えることで、プロの投手の球にも振り遅れず押し込めている。

また、足を高く上げても軸がぶれないのは、強靱な足腰があってのものだろう。練習試合で、広島の剛腕フランスアの球を、初対戦にもかかわらず鮮やかに弾き返した打撃は見事だった。

オープン戦で放った4安打のうち3本が本塁打。ホームランバッターではないと思うが、下半身にパワーを溜め込み、下から上へと回転運動が連鎖していくような打ち方であるがゆえ、角度のある力強い打球になるのだろう。

今後も強気の姿勢を貫けるか

福田光にとって、ロッテはうってつけの環境であることも追い風だ。江村直也香月一也藤原恭大と大阪桐蔭出身のプレーヤーが多く、最初から溶け込みやすい環境であっただろう。また、内野で絶対的なレギュラーといえるのは現状でレアードのみで、そのレアードも助っ人外国人のため、将来的には三塁が空く可能性が高い。三塁であれば、安田尚憲らとのレギュラー争いになるだろう。

今後の活躍次第では二塁、遊撃、三塁のポジションが狙えるが、同じ守備位置をこなす鳥谷敬の加入も大きい。ゴールデングラブ賞5回を獲得した名手は、福田光にとってこれ以上ないお手本となりうるし、同じ左打者としても学ぶことは多いはずだ。

昨年行われた新入団選手発表会で、福田光は「強気」と書いた色紙を掲げ、自分の持ち味について「攻撃的な守備と攻撃」をアピールした。今後、一線級の投手と対戦することで多くの壁に当たると思うが、迷った時でも強気の姿勢と思い切りの良いスイングを貫き通してほしい。

ZOZOマリンの右翼席にたたき込んだオープン戦第1号は、無観客のスタンドだった。今後は多くのファンで埋まるスタンドへ、幾度となく爽快な一撃をたたき込むことを期待している。

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