昨季は広島に借金5つ 2013年を境に対照的な戦いの両軍
長いペナントレースを制するためには「天敵を作らないこと」が大事な要素のひとつになる。大きく負け越す相手が1チームでもいるとトータルで貯金を積み重ねることは難しく、また相手の貯金を増やすことを助けてしまい「優勝」の二文字は遠のいていく。
その意味では昨季苦戦した相手との対戦は序盤戦の見どころになるだろう。早い段階で「天敵」の意識を払拭し、良い流れを生み出していきたいところだ。
そこで各チームの苦手チームとの対戦データから、天敵攻略の鍵を探っていきたい。今回は7年連続Bクラスからの脱却を図る中日を取り上げる。
昨季の中日にとって最も相性の悪かった相手は広島だ。近年は対照的なシーズンを送っている両軍。2013年に16年ぶりのAクラス入りを果たすと、その後リーグ3連覇を達成して常勝軍団にのし上がった広島に対して、ほんの少し前まで黄金時代を築いていた中日は2013年からBクラスが続く。
昨季は広島に対して10勝15敗の借金5つ。2018年は広島に14勝11敗で3つ貯金を作り、リーグ王者に対してセ・リーグで唯一勝ち越す大健闘を見せたが、その立場は一転、カモにされてしまった。
チームが低空飛行する間に経験を積んだ若手や中堅世代が頼もしく成長し、戦力が固まりつつある今季は8年ぶりのAクラス浮上が至上命題。そのために広島への苦手は克服したい。
投手は守護神候補・岡田のリベンジに期待
苦手克服のキーマンを探るにあたり、昨季の中日の主な選手の広島戦でのデータを見ていきたい。
投手はブルペンに課題を抱えた。昨季の中日は前年まで投壊状況にあったリリーフをまずまず立て直すことができたのだが、広島戦に限っては各投手に黒星がかさみ、全体的に不調だった。
そのリリーフ陣の中でリベンジに期待したいのは岡田俊哉だろう。昨季は3年ぶりの50試合登板を果たして血行障害から完全復活を遂げるも、広島戦では防御率6.43と苦戦。今季は苦手な相手もピシャリと抑えて守護神の座を確立したいところだ。
先発投手はエース大野雄大が安定した投球を見せたほかに、ロメロの相性の良さも光った。来日1年目の昨季は8勝10敗、防御率4.26というシーズン成績。対してチーム最多の7試合に先発した広島戦では勝ち星こそ伸びなかったものの、防御率2.45と好投している。
しかし、そんな対広島のキーマンがオープン戦の登板で肩を痛めてしまった。復帰のめどは立たない状況。長期離脱となればその穴は大きく、開幕前に不安材料が噴出してしまった。
打者は京田が大ブレーキ 苦手克服が飛躍の鍵に
打者は平田良介が広島戦で打率.324・OPS.884と絶好調。昨季ブレークした阿部寿樹は打率.347・OPS.917と広島戦をレギュラー定着への足掛かりとし、福田永将はチーム最多の4本塁打と、主力の右打者たちは広島戦を得意とした。
一方、苦戦したのが左打者たち。大島洋平、京田陽太、高橋周平はそれぞれシーズン成績に比べて打率が下回り、特に京田は打率.174と大ブレーキになってしまった。
入団1年目から不動の正遊撃手に収まり、年々上達する守りでは抜群の身体能力と華麗なハンドリングを兼ね備え、すでに球界屈指の名手となりつつある京田。ただ、根尾昂、石川昂弥と続けて超大物内野手が入団してきている中、通算打率.249のバッティング面ではもう一歩成長を求められている。広島戦の「苦手克服」が飛躍の鍵であり、チームの命運も左右するだろう。
2020年プロ野球・中日ドラゴンズ記事まとめ