DeNAは過去5年で見ても苦戦する相手
長いペナントレースを制するためには「天敵を作らないこと」が大事な要素のひとつになる。大きく負け越す相手が1チームでもいるとトータルで貯金を積み重ねることは難しく、また相手の貯金を増やすことを助けてしまい「優勝」の二文字は遠のいていく。
そういった意味で言えば、昨季苦手とした相手との対戦は序盤戦の見どころになるだろう。早い段階で「天敵」の意識を払拭し、良い流れを生み出していきたいところだ。そこで、苦手チームとの対戦データから天敵攻略の鍵を探っていきたい。
今回は佐々岡真司新監督の下、2年ぶりのV奪還を目指す広島を取り上げる。
昨季の広島が、最も低い勝率に終わった同リーグの相手はDeNA。11勝13敗1分けで大きく負け越したわけではないが、最近5シーズンを振り返っても対戦成績は59勝64敗2分けで勝率.480。この間にリーグ3連覇を達成した中でもDeNAには苦戦している。
そして広島とDeNAといえば、思い出されるのが2017年のクライマックスシリーズだ。リーグ連覇を果たしながら、3位から勝ち上がってきたDeNAに下剋上を許した。苦い記憶を残す因縁の相手である。
投手はアドゥワがDeNAを「お得意様」に
昨季の広島の主な選手のDeNA戦データを見ていきたい。
先発投手はジョンソン、床田寛樹と左腕2人が安定した投球を見せた。大瀬良大地は6月28日の登板で5回途中7失点KOされたことが響き、防御率は4点台後半に達しているが、8月16日の登板では2失点完投勝利。エースがしっかりリベンジを果たしてシーズンを終えることができたことは好材料だ。
さらにサプライズといえる活躍を見せたのが、昨季から先発転向したアドゥワ誠。シーズン防御率は4.32だが、DeNA戦では4試合で2勝を挙げ防御率1.86と封じ込めた。まだ先発ローテーションへ定着するには至っていない高卒4年目の若手右腕だが、鬼門のDeNA戦ではキーマンとして大いに期待できる。
先発陣が好相性だった一方、ピリッとしなかったのがリリーフ陣だ。フランスアが防御率4.30、遠藤淳志が防御率8.31を記録するなど、退団したレグナルトも含めて全体的に苦戦した。今季の広島はスコット、DJ・ジョンソンと2人のリリーフ右腕を獲得。もちろん中﨑翔太の復活も待望される。昨季とは違った顔ぶれになるだろうリリーフ陣の奮起が求められる。
打者は菊池の「苦手克服」が鍵
打者は主砲の鈴木誠也がDeNA戦でも好結果を残した。また、中堅手として丸佳浩の後釜におさまった西川龍馬が打率.330。西川にポジションを奪われた形の野間峻祥も48打席ながら打率.349をマークと、中堅手を争ったライバルの2人が躍動した。
一方、DeNA戦で絶不調だったのが菊池涼介。シーズン全体では打率.261を残し、打率.233の打撃不振に陥った2018年から立て直したが、DeNA戦では打率.170の大ブレーキだった。
オープン戦の選手起用を見ると、佐々岡監督は2番打者に新外国人のピレラを試し、3連覇を支えた「2番・菊池」の変更も選択肢として考えているようだ。そうなれば、菊池は5番や6番での出場が予想される。これまでとは違った形になるかもしれないが、いずれにしても打線の中で重要な役割を担うことには変わりない。「苦手克服」はV奪還のためには欠かせないだろう。
2020年プロ野球・広島東洋カープ記事まとめ