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鳥谷敬のロッテ入り決定!特別待遇なし、開幕延期は追い風?

2020 3/10 13:05楊枝秀基
鳥谷敬Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

背番号00、「感謝の気持ちしかありません」

虎のレジェンドの行き先がついに決まった。昨季限りで阪神を退団、現役続行を目指し準備を続けていた鳥谷敬内野手(38)が、ロッテとの入団交渉に9日までに合意し、10日に球団から発表された。背番号は「00」。

鳥谷はロッテの公式サイトで「千葉ロッテマリーンズの一員となれることを嬉しく思います。今は感謝の気持ちしかありません。とにかくチームの優勝に少しでも貢献できるように精一杯、プレーをさせていただきます」とコメントした。

数々の憶測も流れる中、水面下でロッテが獲得調査を継続。キャンプ期間を既に過ぎた状況で、通常の編成のタイミングからはかけ離れているが、何とか鳥谷の現役続行の希望が叶った形だ。

キャンプ中、ネット裏には各球団の編成担当やスコアラーがグラウンドに目を光らせる。取材陣も新戦力の分析など、各球団担当者の見解を探りにかかる。それでもしばしば「で、鳥谷はどうなってるの」と、鳥谷が話題のネタになっていたほどだ。

その中でも当初から有力とされていたのはロッテだった。井口監督と鳥谷が長年、1月の沖縄自主トレを共にしていた縁もあった。同監督も昨年10月には、獲得に前向きな発言を行っていた。とはいえ、若返りを図る球団の方針に合致しないなど、プラス要素ばかりとはいえず、慎重に調査を進めていた。

その間には、鳥谷サイドが立てた代理人が年俸や、出場試合数に条件を提示し、交渉が難航しているなどと噂が飛び交った。球界関係者からは「鳥谷はそんなこと言っている立場じゃないでしょ」という批判的な声まで出始めた状況だった。

ただ、球界が鳥谷中心に回っているわけはではない。練習試合、オープン戦と実戦が始まるにつれ2020年シーズンへ関心は向いていく。そうした中で各球団も自軍の補強ポイントが見えてくる流れとなり、鳥谷の話題も聞こえてこなくなった。

ショートのレギュラー定まらないチーム事情

ところが、ロッテに目を向ければ、遊撃のレギュラー筆頭候補の藤岡裕大は盤石とはいえず、平沢大河は右肘の故障が完治しないまま2軍キャンプスタート。昨季89試合出場で複数ポジションを守れる三木亮も、昨年10月に右膝を手術し調整中だ。ドラフト5位ルーキー・福田光輝の存在もあるが、FAで流出した鈴木大地の穴を埋めるには程遠い状況だ。そうなれば、鳥谷の獲得に再び動くのも自然な流れだった。

鳥谷は阪神退団後のオフもトレーニングを続行。1月にはハワイでの自主トレを行い体を作ってきた。無所属のままキャンプ時期を迎えたが、兵庫県内の施設や鳥取県内の施設を利用して、コンディション維持に努めてきた。

元阪神のスターが「裸一貫」出直し

噂が飛び交った条件面でも、年俸は1軍最低保証の1600万円程度になるとみられる。出場試合数保証などの付帯条件もない模様だ。通算2085安打を重ねた阪神のスター選手だが、特別待遇はない。これまでストイックに試合への準備を続けた通り、元々の鳥谷のスタイルで若手との勝負に挑む。

球界関係者の間では「キャンプなしで活躍できるほど、プロの世界は甘くない。でも、ロッテが契約したということはそれなりの準備をしていると判断したからでしょう。開幕が延期され、準備期間が少しでも延びたというのは不幸中の幸いですかね」との声もある。

とはいえ、プロ野球歴代2位の1939試合連続出場を記録したレジェンドが球界に残ることは朗報。諦めなかった男が、2020年もNPBのユニホームを着る姿を、多くのプロ野球ファンも待っていたはずだ。

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