ソフトバンクに苦戦した日本ハム 天敵攻略のキーマンは……
昨季は後半戦急失速してリーグ5位に終わった日本ハム。オフの間に目立った補強は見られず、現有戦力の底上げと即戦力ルーキーの働きに期待して4年ぶりのリーグ王者を目指す。
長いペナントレースを制するためには「天敵を作らないこと」が大事な要素のひとつになる。大きく負け越す相手が1チームでもいるとトータルで貯金を積み重ねるのは難しく、また相手の貯金を増やすことを助けてしまい「優勝」の二文字は遠のいていく。
その意味では、昨季苦手とした相手との対戦は序盤戦の見どころになるだろう。早い段階で「天敵」の意識を払拭し、良い流れを生み出していきたいところだ。
昨季の日本ハムが最も苦手とした相手はソフトバンクだ。9勝15敗1分けで勝率は.375。リーグ内で唯一勝ち越したオリックスを15勝8敗2分けと圧倒したが、その貯金のほとんどをソフトバンク戦の借金で吐き出してしまった形となる。
「投」のキーマンはエース有原
昨季の主な選手のソフトバンク戦データから、天敵攻略のキーマンを探っていきたい。
投手は全体的に抑えている。特に金子弌大が5試合で防御率2.28、秋吉亮が8試合で防御率1.13と補強した新戦力が頼もしかった。
気になるのは有原航平の敗戦数。6試合で防御率2.45をマークし3勝を挙げている一方で、黒星も3つ付けられた。そのうち2試合はQS(6回以上3失点以内)を達成しており、試合を作る役割は果たしている。だが彼の「エース」という役割を考えれば、競った試合でも勝てるようになってほしいところだ。
今季のソフトバンクでは、昨季故障で38試合の出場にとどまった柳田悠岐の復帰が予想され、前ヤクルトのバレンティンがラインナップに加わる。よりパワーアップした打線と対峙することになるが、その相手に対してエースがどんな投球を見せてくれるのか注目したい。
「打」のキーマンは中田と大田、千賀ら右の好投手攻略に王、清宮の力も必要に
打者はソフトバンク戦で特別打ち込んだという選手はおらず、打線全体の奮起が必要だ。特に中田翔は打率.170・OPS.543。大田泰示も打率.224・OPS.561と主軸の右打者2人が苦戦した。ともにリーグ内での対戦チーム別打撃成績では、ソフトバンク戦が際立って悪く、彼らの「苦手克服」が今季の戦いの鍵を握るだろう。
日本ハム打線を苦しめたソフトバンクの投手の中でも、千賀滉大には完璧に抑え込まれた。5試合で防御率1.75、5勝0敗と、千賀からすれば日本ハムは「お得意様」。さらに森唯斗も11試合で防御率1.74、7セーブと日本ハム戦では危なげなく抑えている。
ひとつ気になるのが昨季新人王の高橋礼で、12勝を挙げたが日本ハム相手には1試合も登板しなかった。プロ1年目の2018年も日本ハム戦の登板は1試合のみ。アンダースローの軌道をあまり見ることができていないのは懸念事項といえるだろう。
投手ではエース有原、打者では主砲中田と攻撃型2番に定着した大田。また千賀、森、高橋と右の好投手に要注意と考えれば、左打者も重要となる。その面では昨季苦しんだものの、ポテンシャルは計り知れない王柏融と清宮幸太郎の飛躍にも期待したいところだ。キーマンの活躍で天敵攻略となるだろうか。
2020年プロ野球・北海道日本ハムファイターズ記事まとめ