大野雄大が3年ぶり3度目の開幕投手に
5位からの巻き返しを狙う中日の与田剛監督は、今年の開幕投手に大野雄大を指名した。昨シーズン、大野は2年ぶりに規定投球回に到達し9勝8敗、防御率2.58の成績で最優秀防御率のタイトルを獲得した。その大役にふさわしい成績だったと言えるだろう。大野にとって開幕投手は、2017年以来3年ぶり3度目となる。
初の開幕投手となった2016年、京セラドームで行われた阪神戦で、8回途中2失点の好投をみせ白星を手に入れた。この年は最終的に7勝10敗と負け越したものの、投球129.2回で防御率3.54と大きく崩れたわけではなかった。
前年に負け越しはしたが、大野は2017年も2年連続で開幕投手に選ばれた。しかし、東京ドームの巨人戦で6回6失点と打ち込まれ敗戦投手となってしまう。その後もなかなか勝ち星をあげることができず5連敗、この年の初勝利はなんとセ・パ交流戦に入った6月7日のロッテ戦だった。最終的には、7勝8敗、防御率4.02と持ち直したものの、開幕投手に選ばれたエースとしては物足りない成績に終わっている。
開幕から3連勝以上した年、中日のAクラス率は90.9%
中日は、開幕戦に関する記録を2つ持っている。
昨年の開幕戦で、日本ハムの中田翔がサヨナラ満塁本塁打で試合を決めた。プロ野球史上3度目、パ・リーグでは2度目のことだった。セ・リーグで唯一、サヨナラ満塁本塁打によって決着がついたのは2005年のこと。中日のアレックス・オチョアが、0対0で迎えた9回裏無死満塁の場面で一発を放った試合だ。相手は横浜(現DeNA)で、投手は三浦大輔(現二軍監督)だった。セ・リーグの開幕戦ではアレックス以降、サヨナラ本塁打も満塁本塁打も生まれていない。
チームとしてもセ・リーグ記録を持っている。1999年に開幕から11連勝を記録しているが、これはセ・リーグで唯一の2桁連勝だ。スタートダッシュに成功したこの年は、みごとに優勝を果たしている。ちなみにパ・リーグでは、1954年に西鉄(現西武)が開幕から11連勝を飾っており、こちらも優勝した。
また、開幕から3連勝以上をしたシーズンは11度あるが、そのうち4位以下となったのは1960年(5位)の1度だけ。それ以外の10度はすべて3位以上でシーズンを終えている。確率にすると90.9%である。11連勝はかなりのレアケースだが、3連勝は現実的な数字ではないだろうか。
今年は広島との開幕3連戦(マツダスタジアム)を3連勝で終えることができるだろうか。
2010年代の開幕戦は2勝8敗
中日の開幕戦を振り返ってみると、2010年代は苦しんだ。この10年間で2勝8敗、また2017年から3連敗中と相性が悪い。2000年代の6勝3敗1分と比べるとよくわかる。
開幕戦は長いペナントレースのうちの1試合であり、1勝、1敗の価値が違うわけではない。しかし、リーグ優勝2回、Aクラス9回と常勝軍団だった2000年代と、2010年、2011年に連覇を達成したものの、2013年以降7年連続でBクラスと苦しんでいる2010年代とでこれだけ違うのはおもしろい。
新たに2020年代となる今年。その初戦のマウンドに立つ予定の大野の仕上がりは順調だ。3月1日の広島戦(オープン戦)では主砲の鈴木誠也から三振を奪うなど、2回1失点とまずまずの内容だった。
近年のドラフトで獲得した根尾昂や石川昂弥といった金の卵たちが育っていく2020年代、中日は2000年代のようにAクラスの常連となれるだろうか。
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