40代での開幕投手は球団史上初
ヤクルトの高津臣吾新監督は、自身の公式戦初戦となる開幕戦の先発に石川雅規を選んだ。
石川はNPB通算171勝を挙げている球界を代表する投手であり、昨シーズンも8勝(6敗)、規定投球回には到達していないものの防御率3.84と結果を残した。これまでに8度も開幕投手を務めており経験も申し分ない。まさに大役にふさわしい人選だと言える。
そんな石川は今年の1月に40歳の誕生日を迎えた。球団史上40代の開幕投手は存在せず、初めてのことでもある。
球界を見渡しても大野豊(広島/1996年・1998年)、村田兆治(ロッテ/1990年)、佐藤義則(オリックス/1995年)、若林忠志(大阪/1949年)と4人(5度)しか記録していない。石川は1998年の大野以来22年ぶり、21世紀以降では初めて40代での開幕投手となったのである。
現在は以前に比べるとトレーニングの進化などで、40歳を超えても現役生活を続ける選手は珍しくなくなってきた。しかし開幕投手という大役まで任された選手はいなかったのである。このことからも石川の凄さはよくわかる。
開幕戦では5勝3敗、6度のQS達成と抜群の安定感
そんな石川は前述したとおり、今年が9回目の開幕投手となる。過去の8回における開幕戦の成績は5勝3敗と全試合で勝敗が付いており、防御率も3.24とまずまずの数字を残している。また、8回中6回QS(6回以上自責3以下)を達成しており、6回を投げきれなかったことは1回のみ。極めて安定した成績を開幕戦で残してきた。
特に2012年は、巨人相手にあわやノーヒットノーランの快投を演じ話題を呼んだ。惜しくも9回1死から安打を許したため快挙とはならなかったが、巨人が開幕戦において零封されたのはこの年が最初のこと。その立役者が石川だったのである。
今年の対戦相手である阪神との成績を見ると2勝1敗、防御率4.23と甲乙つけがたい数字だ。2005年、2006年と連勝し2勝を挙げているが、2009年に4回5失点と打ち込まれたため防御率はいまひとつとなっている。
一方で今年の開幕戦と同じ本拠地神宮球場での成績は、これまで3勝0敗と負け知らずで、防御率2.89となっている。石川そしてヤクルトにとっては嬉しいデータといえるだろう。
今年は9回無失点と好投を続ける
さて、そんな石川だが開幕投手に選ばれるだけあり、ここまでの調整は順調だ。今年に入ってからは、実戦で9回を投げ無失点と好投を続けている。
開幕戦の前哨戦となった2月24日の阪神戦(オープン戦)では3回無失点、被安打1と悪いイメージはない。新外国人のジャスティン・ボーアに対しては、ストレートと変化球の緩急で見逃し三振を奪っている。まさに石川らしい投球内容だった。
3月1日に行われた二軍の巨人戦(春季教育リーグ)では、4回無失点、被安打3とここでも結果を残した。これから2回の登板を経て3月20日の開幕戦へと向かうことになるはずだ。
節目となる200勝まで残り29勝。まずは開幕戦で1勝を積み上げ、一歩ずつ目標に近づいていくことを期待したい。
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