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投打ともに再編図る西武 「1番・金子侑司」「甲子園優勝投手」が3連覇へのカギ

2020 3/3 11:00勝田聡
埼玉西武ライオンズの金子侑司ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

1番・金子侑司がオープン戦初戦で機能

パ・リーグ3連覇を目指す西武はこのオフシーズンに秋山翔吾(現レッズ)が退団し、「1番・中堅」が空席となった。NPBにおけるシーズン最多安打記録保持者である秋山の穴を埋めるのは簡単ではないが、現時点では俊足の金子侑司がその最有力候補となっている。

3月1日のオープン戦では金子が「1番・中堅」でスタメン出場。初回に安打を放つとすかさず盗塁を決め、つづく源田壮亮の三塁打で生還した。わずか10球で1点を奪ったのである。その後もあたりは止まらず、この試合で金子は3安打猛打賞を記録した。

とはいえ、昨シーズンの金子は打率.251、出塁率.324と物足りない数字に終わっている。ちなみに秋山は出塁率.392とリーグ5位だった。およそ.070の差があったわけだ。秋山と同等とまでとは言わなくても、さらに出塁率を上げることが今年も得点力を維持するカギとなってくる。

一方で金子には、秋山にはない「足」という武器がある。昨シーズンも41盗塁を記録しており、盗塁王を獲得している。「1番・金子」が定着すれば、これまでとは違った形の山賊打線が見られるかもしれない。

その金子を返す役割となる中軸はどうだろうか。中村剛也がケガのため出遅れたが、森友哉山川穂高外崎修汰といった中軸を担うであろう選手たちは、故障なく順調にきている。また、新外国人選手のコーリー・スパンジェンバーグも、2月27日に行われたソフトバンクとの練習試合で本塁打を放ちアピールした。秋山の穴を金子がどこまで埋めることができるかが重要となりそうだ。

外野のレギュラー争いも熾烈だ。、昨年惜しくも規定打席に届かなかった木村文紀に高卒5年目となる愛斗、アジア・ウインターリーグで結果を残した川越誠司、さらには鈴木将平と候補は数多い。中村が開幕に間に合うようであれば、スパンジェンバーグも外野に回ってくる可能性がある。はたして誰が開幕スタメンに名を連ねるだろうか。

甲子園優勝投手3人が先発ローテーションへ

新旧の甲子園優勝投手たちが、先発ローテーション入りを巡って争っている。まずは今シーズンから14年ぶりの古巣復帰となった松坂大輔。この春季キャンプではA班(一軍)スタートし、故障離脱なく最後まで完走した。

2月25日に行われた斗山(韓国プロ野球)との練習試合では、1回2失点、被安打3と結果はついてこなかったが、辻発彦監督は気にしていない。試合後には「形になっている」とコメント。これまでの実績と経験を評価しているようだ。開幕までにあと2回の登板が予定されているが、ここでイニングをこなすことができれば開幕ローテーション入りはぐっと近づいてくる。

そして、これからの西武投手陣を背負っていく立場になる高橋光成今井達也だ。高橋は斗山戦で松坂の後を受けてマウンドに登ると3回1失点、被安打5とやや打ち込まれたもののなんとか形にした。一方の今井は2月26日に行われたオリックスとの練習試合で4回無失点、被安打1と好投している。両投手とも大崩れしておらず、確約とまではいかないが、開幕ローテーションには入ってくるだろう。

昨シーズン、高橋と今井は規定投球回にこそ到達していないが、先発ローテーションを任された。現在のプロ野球は先発完投型の投手は減り、分業制が当たり前となっている。200イニング以上を投げる投手が同一球団から複数人も出る時代ではない。とはいえ、エース級の投手となれば200回とは言わなくても、規定投球回には到達してほしいというのが指揮官の思いとしてあるはずだ。

甲子園優勝投手という看板を背負った高橋と今井は、かつての松坂のようにチームを勝利に導くエースとなれるだろうか。今年がその試金石となる。

2020年プロ野球・埼玉西武ライオンズ記事まとめ