松井裕樹は先発2試合目で5回2失点の好投
今年の楽天は先発ローテーション争いが激しい。エースの則本昂大と岸孝之の2枚看板に加え、涌井秀章が金銭トレードでロッテから加入。さらには守護神だった松井裕樹が先発へと再転向したからだ。その他にも昨シーズンブレイクした石橋良太や、辛島航、塩見貴洋、弓削隼人といった3人の左腕、若手の藤平尚真とローテーション候補は数え切れない。
そんな中、先発に再転向した松井はすでにオープン戦で2試合に先発した。その初戦となった2月22日のDeNA戦では、初回から崩れ3回途中6失点、被安打8、与四球2と苦しんだ。球数も65球を要しており、いいところがなかった。
しかし、2試合目の登板となった2月29日のロッテ戦では初回に2本塁打を浴びたものの、5回をこの2点に抑え、球数も67球と見違える内容。「前回より良かった」と手応えを感じており、開幕へ向けて順調にきていると見てよさそうだ。
また、新加入の涌井は、3月1日に古巣であるロッテとのオープン戦に登板した。初回に2安打を浴び1点を失ったが、その後は無安打投球。4回を投げ1失点と結果を残した。三振も6個奪い、72球とまずまずの球数に収めている。西武とロッテの2球団で最多勝に輝いている右腕が、3球団目での最多勝を狙う。
新戦力のなかでは守護神候補シャギワが結果
今年も鈴木大地にステフェン・ロメロ、牧田和久、涌井とNPBで実績のある選手が新戦力として加わった。それ以外にもJ.T.シャギワやドラフトで獲得した新人もいる。
そのなかでも注目したいのが中継ぎ候補のシャギワだ。先発へ配置転換となった松井の後釜として期待される右腕は、オープン戦2試合で2失点(自責0)の内容。初登板となった2月24日の中日戦では2失点を喫したが、これは味方の失策が絡んでのもので自責点はついていない。150キロを超えるツーシームとストレート、さらにはスライダーがある。とくにツーシームに力があり、守護神も十分につとまりそうだ。
新人はドラフト1位の小深田大翔と2位の黒川史陽の「コブクロ」コンビが評価を上げている。小深田はオープン戦でもスタメン出場を勝ち取っており、離脱中の茂木栄五郎に変わって開幕スタメンを奪わんとする勢いだ。
一方の黒川は高卒野手としては12球団で唯一の一軍キャンプスタート。最後まで一軍に帯同し、練習試合やオープン戦でも出番を勝ち取ってきた。2月19日に行われたヤクルトとの練習試合では、守備でもたつく場面もあったものの、2安打を放ち、打点もマークしている。
本職である二塁は浅村栄斗という絶対的な存在がおり、すぐにレギュラーを奪うのは現実的ではない。今後、一軍に帯同させ勉強させるのか、それとも二軍で実戦をこなしていくのかは首脳陣の判断となる。数年後のレギュラーに向けて、まずは一歩目を踏み出した。
投手陣では同3位の津留崎大成がいる。オープン戦初登板となった2月24日の中日戦では四球を挟んで3連打を浴び2失点とプロの洗礼を浴びたが、3月1日のロッテ戦では1回無失点と持ち直した。その試合で、福田秀平、角中勝也、レオネス・マーティンといったロッテの上位打線を三者凡退に切って取ったのは自信になったはず。縦に曲がるカーブの精度が上がれば、セットアッパーとして起用されることもありそうだ。
伊藤智仁コーチも「新人王は決まり」と褒めるほどの逸材が、開幕一軍入りを大きく手繰り寄せている。
2020年プロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルス記事まとめ