二塁のポジション奪取へ
昨シーズン彗星のごとく現れたニューヒーロー周東佑京。開幕直前の3月26日に支配下登録されると開幕一軍入りこそならなかったが、4月6日に一軍昇格を果たす。そこからは一度も二軍に降格することなくシーズンを完走した。
そのなかで102試合に出場し25盗塁を記録。オフシーズンにはプレミア12の日本代表にも選出され「代走の切り札」として、優勝に貢献したことは記憶に新しい。支配下登録1年目としては上々の1年だったと言える。
しかし、本人は決して満足していない。日本代表に選ばれたと言っても切り札的存在であり、チームでもレギュラーではない。昨年の秋季キャンプ中にも「試合の頭から出たい、できれば内野で勝負したい」とレギュラーへの思いを吐露していた。
そんな周東は今シーズン内野でレギュラーを目指すことになる。昨年の秋季キャンプ時には三塁の練習をメインと言われていた。しかしチーム構成を見ると、三塁には不動のレギュラーでもある松田宣浩がおり、後継者候補としても育成契約ではあるが大砲候補のリチャードが控えている。もちろん増田珠や野村大樹といった若い選手もいる。どちらかというと三塁は長打力を優先するポジションであり、周東のようなタイプには不向きでもある。
それよりも不動のレギュラーがおらず、本多雄一(現コーチ)が引退して以降は争いが続いている二塁のほうが、レギュラーへの道は近いのは明らかだ。
オープン戦で本塁打を含む猛打賞を記録
昨シーズン、ソフトバンクの二塁はスタメンで9人が起用された。明石健志(62試合)、牧原大成(38試合)、川島慶三(14試合)、川瀬晃(10試合)、髙田知季(7試合)、三森大貴(6試合)、周東佑京(4試合)、福田秀平(1試合)、美間優槻(1試合)である。そのうち福田はロッテへと移籍し、美間は現役を引退。まずは残った7人の争いとなる。
このメンバーを見ると、抜きん出ている存在は一人もいない。周東も武器である足だけでなく、守備、もしくは打撃面での向上が見られれば、レギュラーを奪ってもおかしくはない。
とくに打撃面は周東にとって大きな課題となっている。昨シーズンも打率.196(102打数20安打)と打率は2割を下回っている。それでも四球を選び出塁率が高ければいいのだが、出塁率は.212とこちらもレギュラーとしては苦しい数字である。
かつて「世界の福本」こと福本豊氏も走塁の秘訣について問われた時、「まず塁に出ること」と答えていた。足のスペシャリストであっても、塁に出ることができなければ宝の持ち腐れである。
その周東だが春季キャンプでは打撃面でアピールしていた。打撃練習では柵越えもあり、柵越えとならなくてもライナー性の打球を連発していた。昨年に比べるとパワーは確実についている。
その成果なのか、2月23日に行われたオリックスとのオープン戦では、本塁打を含む3安打猛打賞を記録。打撃面で大きなアピールを行なった。守備でも二塁、左翼、そして三塁とユーティリティー性も発揮している。
天下一品の足に打撃が加われば、二塁のポジションもぐっと近づいてくる。開幕まで残り3週間ほど。最後の最後までアピールを続けていく。
【昨シーズン成績】
周東佑京(ソフトバンク)
102試合/打率.196(102打数20安打)/1本塁打/6打点/25盗塁
2020年プロ野球・福岡ソフトバンクホークス記事まとめ