右肩不安なく調整順調
鮮やかなライオンズブルーからネイビーにチームカラーは変わった。それでもライオンズのユニホームが似合う。西武・松坂大輔(39)が2020年キャンプで着実に調整を重ね、再復活を予感させる動きを見せている。
キャンプスタートから表情が明るい。昨年はキャンプ中に痛めた右肩の状態が思ったように回復せず、暗い顔を見せることもあった。だが、オフ期間中に手応えを掴み、14年ぶりに古巣に復帰。第1クールからブルペン入りするなど、不安を感じさせない滑り出しをみせた。
実際、シーズンを見据えた調整を実践しており「開幕にピークを持っていくという感じではなく、シーズン通してどう投げていけるかというイメージをしながら調整しています」と落ち着いている。キャンプ第3クールまでに連投を含む計378球のブルペン投球を行なっており、故障明けであることを感じさせない仕上がりを披露している。
西口投手コーチは「もちろん、年間のプランとしてローテを誰にどう投げてもらおうとかイメージはあります。ただ、現段階では大輔しかり、他の投手も横一線の状況で見ている。そこ(ローテ)に大輔が入ってくる可能性は否定しませんよ」と話すように、松坂を戦力として受け入れている空気がチームに漂っている。
リリーフ陣安定で中盤まで試合つくればOK
松坂が若手の時代とは違い、現在の西武は打撃のチーム。2019年のチーム打率.265、チーム得点756はリーグダントツのトップ。一方でチーム防御率4.35はリーグワーストだ。投手力の整備が課題となっているわけだが、松坂の加入は現実的にプラスとなると考えているチーム関係者も多い。
チーム防御率はリーグ最下位とはいえ、救援陣の成績は悪くはない。守護神の増田達至は65試合で4勝1敗30セーブ、防御率1.81と安定。中継ぎの小川龍也が55試合4勝1敗1セーブ15ホールド、防御率2.58、平井克典が81試合5勝4敗36ホールド、防御率3.50と勝利へつなぐ力を持っている。
他球団007も「2019年は浅村が抜けて、2020年は秋山が抜けても西武打線はまだまだ怖いですよ。松坂が一昨年の中日時代くらいの投球(6勝4敗、防御率3.74)をしたとすれば、かなりの白星を重ねても不思議ではないですよ」と語る。1試合の平均得点が5.29と打線がハイレベルなだけに、松坂が中盤まで試合を作ればチームの白星も伸びる計算だ。
ピンチを想定して投球練習
松坂の加入で投手陣の意識にも変化が出始めている。投球練習の序盤から「自分のペースで気持ちよく投げられることなんて多くはないですからね」と、ピンチの場面を想定して投球する姿に、若手も刺激を受けた様子。ブルペンでの投球といえば、自身の投球の球質や状態をチェックしていると思いがちだが、意識の違いを知らしめた形だ。
3連覇プラス、クライマックスシリーズを突破しての日本一を目指す辻西武。レジェンド・松坂の復帰がスパイスとなり投手力が強化されれば、その強さが盤石のものとなる可能性を秘めている。
2020年プロ野球・埼玉西武ライオンズ記事まとめ