初めてのキャンプは二軍スタート
2月1日からプロ野球12球団の春季キャンプが始まった。各球団ともに話題のルーキーや新外国人選手に注目が集まっている。そんな中、DeNAは初日から新外国人のタイラー・オースティンが柵越えを披露し、状態の良さをうかがわせた。
ドラフト2位の坂本裕哉は初日からブルペンに入り、アレックス・ラミレス監督ら首脳陣に好印象を与えている。一方でドラフト1位の森敬斗(桐蔭学園高校)は高卒ということもあり二軍スタート。嘉手納で汗を流している。
近年のDeNAはドラフトにおいて大卒の投手を1位で指名しており、高卒野手の指名は久しぶりのこと。高卒野手のドラフト1位はDeNAにチームが変わってからは初めてでもあり、横浜時代の2009年に指名した当時横浜高校の筒香嘉智(現・レイズ)までさかのぼる。高卒野手のドラフト1位が横浜の4番から日本の4番に成長し、さらには海を渡った筒香以来、そして地元神奈川県の高校出身となれば、否が応でも期待は高まるだろう。
また、今年からDeNAに復帰した大村巌二軍打撃コーチの存在も大きい。大村コーチは日本ハムで糸井嘉男(現・阪神)や中田翔を育て、DeNAでは筒香と二人三脚で練習を行ってきた。そんな大村コーチが一軍ではなく、二軍に配置されているのである。もちろん、森一人のためのコーチではないが、それでも門下生の顔ぶれを見ると、期待したくなるのは無理もない。
筒香嘉智、内川聖一は1年目に一軍では3試合の出場のみ
DeNA(前身球団含む)が獲得した高卒野手のドラフト1位は、筒香以外にももちろんいる。どのような選手がいたのか振り返ってみたい。
1965年にドラフト制度ができて以来、長らく横浜大洋(DeNAの前身球団)は高卒野手をドラフト1位で獲得してこなかった。初めて1位で獲得したのは、ドラフト制度ができてから23年が経過した1988年のこと。これはセ・リーグ6球団ではもっとも遅い。
この年、大洋は江の川高(現・石見智翠館高)の谷繁元信を1位で獲得したのである。その後は紀田彰一(横浜高/1994年)、古木克明(豊田大谷高/1998年)、田中一徳(PL学園高/1999年)、内川聖一(大分工高/2000年)と獲得。谷繁から数えて森は7人目の高卒野手のドラフト1位になったわけである。
そんな先輩たちも1年目から結果を残していたわけではない。谷繁は捕手というポジションながら80試合に出場し本塁打も記録する別次元の成績を残していたが、田中は途中37試合に出場していたものの、スタメンでの出場は1試合もなかった。また、古木、内川や筒香はわずか3試合のみ。紀田に至っては一軍出場のチャンスを掴むことすらできなかったのである。
内川は初の規定打席到達が8年目
当然ではあるがドラフト1位の選手には大きな期待がかかってくる。メディアからの注目度も高い。しかし、チームの先輩たちを見ても分かる通り、1年目から高卒野手が一軍で活躍するのは至難の業。出場機会を確保することさえ難しいのである。
これはDeNAに限った話ではない。セ・リーグの新人王をみても高卒1年目での受賞者が1988年の立浪和義(中日)以来、生まれていないことからもよくわかる。
ラミレス監督をはじめとした首脳陣も、森に対して1年目から一軍での活躍を期待しているわけではないはずだ。数年後に大和や柴田竜拓といった遊撃を守っているであろう選手たちと競えるよう、時間をかけて育成することを考えているはずだ。
内川が一軍に定着したのは4年目、規定打席に初めて到達したのは8年目のこと。筒香は3年目に規定打席に到達したが、セ・リーグ打率ランキングでなんと最下位だった。結果的に日本を代表する選手へと育った先輩たちも、一軍で結果を出すまでには時間がかかっている。
森も焦らず、内川や筒香のように日本を代表するような選手へと育ってほしい。
2020年プロ野球・横浜DeNAベイスターズ記事まとめ