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中日・石川昂弥はナゴヤドーム移転後、生え抜き2人目の30本塁打に期待

2020 2/11 06:00勝田聡
ナゴヤドームⒸTK Kurikawa/Shutterstock.com
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ⒸTK Kurikawa/Shutterstock.com

与田剛監督も大きな期待を寄せる

2月1日、12球団の春季キャンプがそろって始まった。昨シーズンの5位から巻き返しを図る中日は、例年通り沖縄県でキャンプイン。一軍は北谷、二軍は読谷で開幕へ向け練習を開始している。

当たり前ではあるが、高橋周平や京田陽太、大野雄大といった主力メンバーの揃っている北谷の報道が多い。しかし、今年は読谷の報道も負けてはいない。高校通算55本塁打を誇るドラフト1位のスラッガー・石川昂弥が汗を流しているからだ。

石川は東邦高時代にエース兼三塁手として2019年春の甲子園を制覇。夏の甲子園には出場できなかったものの、U-18日本代表に選出され「U-18 W杯」に参加。4番としてチームを引っ張った。同年のドラフト会議では中日を含む3球団が1位で入札。抽選の末、中日に入団したスラッガー候補である。

与田剛監督は石川を三塁として起用することをすでに明言。三塁のレギュラーであり、主将の高橋周平を脅かす存在になってほしい、と発破をかけている。この春季キャンプこそ二軍スタートだが、大きな期待を寄せていることがよくわかる。

現時点の状況を見ると、石川はスラッガーとして育成される方針であることは間違いない。しかし、中日の生え抜き選手でスラッガーに育った選手は久しく存在しない。

ナゴヤドーム移転後、生え抜き30本塁打以上は福留孝介のみ

スラッガーとしてひとつの基準となる30本塁打。中日でこの数字をクリアした日本人選手は、2010年に37本塁打を記録した和田一浩以来生まれていない。和田はFA権を行使して西武から移籍した選手であり、生え抜きに限定すると、2006年に31本塁打を放った福留孝介(現・阪神)が最後。つまり13年間誕生していないのである。

また、ナゴヤドームが開場した1997年以降で日本人選手が30本塁打以上を記録したのは、ここまで名前の挙がった和田と福留の名球会入会者2人だけ。

広くフェンスの高いナゴヤドームを本拠地としていることで、ドラフトでもどちらかというと投手に重きをおいた指名をしてきたこともある。しかし、スラッガータイプの指名が「0」だったわけではない。

2005年の高校生ドラフトでは当時、大阪四天王とも呼ばれていた大阪桐蔭高の平田良介を指名。平田は高校通算70本塁打、同年夏の甲子園では清原和博(元・オリックス他)以来となる1試合3本塁打を記録したスラッガー候補だった。

その翌年には愛工大名電高の堂上直倫を獲得。堂上も超高校級スラッガーとして名を馳せており、中日、巨人、阪神の3球団から指名を受けたほど。同年3位で指名した福田永将も横浜高で4番を任され高校通算49本塁打の実績があった。さらに2011年には高校通算71本塁打を記録した東海大甲府高の高橋周平を獲得している。

いずれもスラッガー候補として中日に入団したが、30本塁打には到達していない。20本塁打に到達したのも福田だけである。もちろん、鳴かず飛ばずで起用が少なかったわけではない。3人全員が規定打席にも到達経験があるにも関わらずである。

ラッキーゾーン設置の可能性

「本塁打は野球の華」と言われる。それだけ本塁打を欲しているファンが多いということだ。仮に負けたとしても「〇〇選手の本塁打を見ることができたから満足」といった声を聞くことも珍しくない。

また、ソフトバンクの孫正義オーナーは「本塁打が出ないと面白くない」とコメント。ヤフオクドーム(現・福岡PayPayドーム)にホームランテラスを設置し、2015年シーズンから球場を狭くした。その効果もあり、前年の95本塁打から141本塁打と本塁打の数は激増している。

ナゴヤドームでもホームランテラスに相当するラッキーゾーンを設置する構想がすでに発表されており、早ければ2021年シーズンから球場は幾分狭くなる。つまり本塁打が出やすくなるわけだ。

その球場が狭くなると同時に地元出身のスラッガー石川が本塁打を量産すれば、否が応でも中日ファンは盛り上がるだろう。石川が、福留以来となる生え抜き選手の30本塁打以上を期待できる存在であることは間違いない。縮こまることなく、スラッガーとして育っていくことに期待したい。

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