レギュラー2年目のさらなる飛躍が期待される渡邉諒
2019年シーズンはリーグ5位の560得点に終わり、チーム本塁打もリーグワーストの93本と打撃面で苦しんだ日本ハム。巻き返しには打力向上が絶対条件となるが、オフの野手補強は元巨人のビヤヌエバのみ。ドラフトも即戦力は投手中心と、頼りは既存戦力の底上げ以外にない。
昨季の戦いで収穫となった部分を挙げるとすれば、渡邉諒の成長だ。プロ6年目で初めて規定打席に到達し、打率.262、11本塁打、58打点をマークした。前半戦は6番や7番での出場が多かったが、7月途中からは中田翔の後ろで5番を任されるようになり、その打順でより良い結果を残している。
・渡邉諒:5番出場時(226打席)
打率.281/出塁率.345/長打率.392/OPS.737/4本塁打
・渡邉諒:6番出場時(238打席)
打率.250/出塁率.324/長打率.368/OPS.691/5本塁打
ただ、これから渡邉を「期待の若手」ではなく優勝を狙うチームの「5番打者」という目線で見ていくなら、まだまだ求められる数字は上にある。今季はレギュラー2年目のさらなる飛躍を期待したいところだ。
課題は6番以降の下位打線「誰かひとり」のキーマンではなく全体の底上げが必要
昨季のオーダーを振り返ると、1番・西川遥輝、2番・大田泰示、3番・近藤健介、4番・中田翔の上位打線はシーズンを通して安定。通算20本塁打、犠打0の大田が2番を務め強行型のオーダーが組まれた。
その中で課題となったのは6番以降の下位打線だ。6番打者OPS.614はリーグワーストで、OPS.700に届かなかったのは日本ハムのみ。6番打者の本塁打が9本と、1桁だったのも日本ハムのみだった。
打順が下がっていくにつれ成績が落ちていくのは仕方ないことだが、昨季の日本ハムは「下位打線」に突入するのが早すぎたといえる。DH制のパ・リーグならなおさらだろう。7番以降のどこかで盛り返すということもなく、選手層の薄さが浮き彫りとなった。この状況では「誰かひとりこの選手が」というわけではなく、全体的な底上げが必要になってくる。
だが今いるメンバーの顔ぶれを見ると、まだまだ可能性は未知数で、伸びしろが大きい打者が多いというのも事実だ。
打率.255・3本塁打に終わった台湾のレジェンド、王柏融の実力はこんなものではないはずだ。新外国人のビヤヌエバは巨人では出場機会が限られたが、2018年に大リーグで20本塁打を放った実績を持っている。早いもので入団から3年目を迎え、生え抜き大砲として覚醒を期待される清宮幸太郎や、横尾俊建も確定していない三塁手レギュラーを狙っており、大砲候補は豊富にいる。
また遊撃手を争う中島卓也、平沼翔太、石井一成、捕手を争う清水優心、宇佐見真吾など、守備が重視されるポジションを守るメンバーの打撃面での成長も必要になってくるだろう。
そして打線強化の指揮を執るのが、2006年オフのFA移籍以来、14年ぶりの古巣復帰となる小笠原道大一軍ヘッドコーチ兼打撃コーチだ。“次なる北の侍”と言っては要求が高すぎるかもしれないが、ガッツの指導のもと、ポテンシャルを開花させる打者がどれだけ出てくるのか楽しみにしたい。
2020年プロ野球・北海道日本ハムファイターズ記事まとめ