オフシーズンに鈴木大地、牧田和久を補強
昨年の楽天は序盤こそ優勝争いに顔を出していたが、最終的には3位でシーズンを終えた。前年が最下位だったことを考えると、まずまずの成績だったとも言える。しかし、このオフシーズンはさらに上を目指すために大きな改革を行った。
首脳陣では平石洋介監督が退任し、三木肇二軍監督が一軍監督へと昇格。戦力面では国内FA権を行使した鈴木大地をロッテから獲得し、同じくロッテから涌井秀章を金銭トレードで迎え入れた。さらにはMLBから日本復帰を目指していた牧田和久も補強している。年が明けてからは中継ぎ候補のJ.T.シャギワ、昨季までオリックスでプレーしたステフェン・ロメロ外野手の獲得と、手綱を緩めない。
その他には国内FA権を行使しロッテへと移籍した美馬学の人的補償として、酒居知史を獲得。中継ぎ陣はさらに厚みを増した。
このように多くの新戦力を迎え入れており、美馬学(国内FA/ロッテ)、フランク・ハーマン(自由契約/ロッテ)、嶋基宏(自由契約/ヤクルト)らが退団したものの上積みは大きい。昨年は浅村栄斗、アラン・ブセニッツ、ジャバリ・ブラッシュと補強した新戦力がそろって活躍した。今年も新戦力が同じように活躍を見せれば、優勝も現実味を帯びてくる。
先発、守護神ともに争いは激化
涌井の加入、そして松井裕樹の先発転向でローテーション争いがかなり激しくなった。
現時点での先発ローテーション候補を見ると、則本昂大、岸孝之の2枚看板は健在。昨シーズン飛躍した石橋良太、左腕の辛島航、塩見貴洋、弓削隼人、そして若手有望株の藤平尚真もいる。そこに涌井と松井が加わり、通常6つの先発ローテーション枠を9人で争うことになるわけだ。
もちろん、シーズンを通じて全員が怪我も不振もないということはないだろう。野手出身の三木監督が伊藤智仁投手コーチと、どのように連携を取り先発投手を決めていくのか注目が集まる。
一方、松井が先発に転向したことで守護神の座が空席となった。その座を森原康平やブセニッツ、そして新外国人のシャギワらが争うことになる。昨シーズン68試合に登板し38セーブ、防御率1.94という成績を残した松井の穴をどう埋めるかも先発ローテーション争いとともに注目となる。
ドラ1小深田も加わり内野が激戦区に
野手陣も激しい競争となりそうだ。
内野は一塁・銀次、二塁・浅村栄斗、三塁・ゼラス・ウィーラー、遊撃・茂木栄五郎と主力は揃っているが、ここに鈴木とドラフト1位の即戦力遊撃手候補・小深田大翔が加わってくる。石井一久GMは鈴木に関して「基本的にサードをやってもらいたい」とコメントしており、三塁での起用が濃厚だ。
しかし、三塁には前述したとおりウィーラーがおり、さらには、茂木と小深田のポジション争いに敗れた一方が回ってくることも考えられる。ウィーラー、鈴木、茂木、小深田のうち2人はスタメン漏れとなる可能性が高く、その他にもベテランの藤田一也や大砲候補の内田靖人も控えているというぶ厚い陣容だ。
外野も同様である。島内宏明、辰己涼介、田中和基、ブラッシュ、オコエ瑠偉に補強したロメロとレギュラー候補は多い。指名打者があるとはいえ、内・外野ともにレギュラー争いに加わりそうな選手はいつになく多い。
この状況をもったいないと感じてしまうかもしれないが、プロ野球のシーズンは長丁場のため、選手のコンディションに応じて、休みを取りながら故障の防止、疲労の軽減ができるのは大きなメリットとなるだろう。選手層に厚みがあるチームは強い。それは近年のソフトバンクを見ればよくわかるはずだ。石井GMは「つねに優勝争いができるチームを目指す」と公言しているが、そのための戦力が整ってきた。
2020年プロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルス記事まとめ