通算288本塁打のバレンティンを補強
2019年シーズンのソフトバンクは3年連続日本一を達成したものの、パ・リーグ制覇を逃してしまった。
このオフシーズンは、3年ぶりのパ・リーグ制覇を目指すべく複数の補強を行った。野手ではヤクルトで通算288本塁打を放っているウラディミール・バレンティンを獲得。今シーズンから日本人選手扱いとなることが大きい。投手ではMLB通算54勝、2013年には17勝をマークしている、左腕のマット・ムーアを迎え入れた。
ドラフトでは高卒社会人出身の外野手・佐藤直樹を1位で獲得。工藤公康監督も高い評価をしており、1年目からレギュラー争いに加わる可能性は十分にありそうだ。
また、キューバ政府との交渉ということで契約更改が長引いていたユリスベル・グラシアルとアルフレド・デスパイネもそれぞれ契約を延長。ともに2年契約を締結したのは、朗報だろう。
福田秀平が国内FA権を行使しロッテへと移籍したが、それ以上の補強を行っている。
内川聖一、松田宣浩の後継者は出るか?
3年連続日本一を達成していることからもわかるとおり、チームとしての戦力は充実している。しかし、主力選手の高齢化が目立ってきており、世代交代も考えていかねばならない。とくに一塁と三塁は急務となる。
一塁を守る内川聖一は今年38歳。昨シーズンは137試合に出場し、ゴールデングラブ賞も受賞。まだまだ働けるところを示した。しかし、打率.256(500打数128安打)は、規定打席に到達したシーズンではキャリアワースト。出塁率.296はパ・リーグ規定打席到達者のなかでワーストでもあった。打撃力が重要な一塁では物足りない数字が並んでいる。
今年はバレンティンが加わったことで、中村晃やグラシアルが一塁に回ってくることも十分に考えられる。その他にも三森大貴や育成の砂川リチャードと若手も育ちつつある。しかし、内川自身は「首位打者を取りたい気持ちは変わらない」とコメント。このオフシーズンに新打法を試しており、レギュラー死守に燃えている。一塁のレギュラー争いは熾烈を極めそうだ。
三塁の松田宣浩は今年37歳になる。2年連続30本塁打を記録しており、現時点で打撃面での衰えは見られない。しかし、年齢からするといつ衰えが来てもおかしくはない。チームとしては後継者を用意していきたい頃合いだろう。周東佑京、野村大樹、増田珠らが虎視眈々とその座を狙っている。松田も「ポジションを譲るつもりはない」と宣言しており、内川同様にまだまだ第一線でプレーを続ける心意気を持っている。
今シーズン、ベテランふたりの牙城を崩すような、若手選手の出現があるか注目だ。
柳田悠岐、サファテが復帰予定
故障からの復帰を目指す選手の状況も気になるところだ。まずは柳田悠岐。昨年11月に右ひじを手術しているが、すでに練習は再開している。キャッチボールや軽い打撃練習は行っており、順調に調整は進んでいる。柳田の存在は相手チームにとって脅威であることは間違いない。その回復具合は要注目だ。
そしてもうひとり。2017年まで守護神を務めていたデニス・サファテが、春季キャンプ初日から参加するという。アメリカではブルペンでの投球も行なっており、股関節の状態は悪くない。とはいえ、昨シーズンは1試合も投げていない。徐々に強度を上げながら、実戦復帰への道筋を作っていくことになりそうだ。
サファテの復帰は中継ぎ陣にとってこの上なく大きい。昨シーズンは森唯斗が守護神の座をしっかり守り、甲斐野央や嘉弥真新也、高橋純平、リバン・モイネロが7回・8回を締めた。
しかし、中継ぎ投手が何年も同様の成績を残すことは中々難しい。また、高橋は先発転向を希望しており、今シーズンの役割はまだ決まっていない。頼れる中継ぎは1枚でも多いほうがいい、というのが首脳陣の共通した思いだろう。
柳田、サファテが万全で戻ってくることはチームにとって最大の補強となる。
2020年プロ野球・福岡ソフトバンクホークス記事まとめ